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Little kabotya’s story  作者: 富田林喜志
コンポタが好きな君
5/17

わかりました。それでは野球で決めましょう。特に 真意はありません

◯ 道・夜


     歩いているソラと今永、ソラはコンポタの缶をたくさん抱えている。


今 永「お前本当に好きなんだな」


ソ ラ「うん。これよりおいしいものを飲んだことがない。毎日買いに行っている」


今 永「身長届かないのにか。あんな力があるなら作ったりもできるんじゃないか」


ソ ラ「自分で押さなきゃダメ。約束」


◯ 道・夜・5年前・回想


     雪が降っている道。

     柵の上に座りイヤホンをして星を見ているソラ(11)星を掴もうとする。

     コンポタの缶を5本持って走っているある男がソラに気づく。


ある男「お前そこで何している」


ソ ラ「なんだ、人間」


ある男「寂しいのか。故郷でも思い出しているのだろう」


     ある男の方を見るソラ。


ある男「ほらやるよ」


     ある男、ソラにコンポタの缶を渡す。


ある男「大丈夫だ。弟たちの分は確保してある。それは俺のぶんだ。誰も喧嘩しない」


ソ ラ「そんなことをしても私はねがえったりしないぞ人間」


ある男「違うんだ、困っている人が見過ごせないだけだ」


     開けて渡すある男。

     コンポタを飲むソラ。


ソ ラ「お前こんなにおいしいものをどうして知っている。さてはお前も宇宙人だな。勝負しろ」


ある男「勝負か・・・そうだな勝負したかったらそん時はコンポタでも返しにこい。お前身長小さいから最上段のコンポタを買うのは無理だとは思うけどな。お前が晴れるならそれでいい。だからそんな寂しそうな顔すんな。それから私は宇宙人ではない。私は・・・」


◯ 道・夜


     止まっているソラ。

     歩いている今永。


今 永「ほら、止まってないで帰るぞ」


ソ ラ「うん」


     追いつくソラ。


今 永「優しい人もいるもんだな」


ソ ラ「今永さん、夏になるとコンポタは無くなります。私は今年国に帰らなければなりません。どうかボタンに届くまで私を見守っててください。」


     ソラを見る今永。

     今永にコンポタの缶を渡すソラ。


今 永「できるだけな。でも俺は優しくないぞ」


ソ ラ「いえ、きっと今宮さんは優しいです。ボタン押してくれましたもん。あの人の次にですけど。約束ですよ」


◯ 今永家・玄関・夜


扉から入る今永。


今 永「ただいま」


     リビングから飛び出してくる孝司。


孝 司「助けてくれ昇太」


京 子「(孝司の首根っこを引っ張って)好き嫌いはダメです」


孝 司「昇太、今日は食パンは封じたんだ。そしたら味噌汁の中にバターロールが入っていたんだ。気をつけ

ろ。気をつけろ」


     リビングの中に引っ張られる孝司。


孝 司「ああああ」


     閉じる扉。


今 永「いつまで経っても元気だな」


     2階に上がる今永。


◯ 同・今永の部屋・深夜


     起きる今永、寝ぼけ眼で部屋を出る。


◯ 同・リビング・深夜


     バターロールの味噌汁を飲む今永。


今 永「なんだ、意外とおいしいじゃないか。バターロール」


     部屋に入ってくる孝司。


孝 司「お前そんなものがよく食えるな。京子が最近ずっとお前が元気ないって言ってたからな。きっと朝起

きて京子も喜ぶ。明日から授業だろ。いっぱい食って早く寝ろ」


     部屋から出ていく孝司。

     味噌汁を再び飲み始める今永。


◯ 浅虫高校・3の1教室


     ホームルーム前。

     空いている熊原の席。

     席を見る今永。


今 永(今日も休みか)


     恵に話しかける今永。


今 永「熊原、今日も休みなんだな」


 恵 「はい」


今 永「お前何か知ってるのか」


 恵 「教えません」


今 永「どうしてだよ。俺も心配なんだよ」


 恵 「あなたも野暮ですね、女性が秘密にするときは一つしかないじゃないですか」


     恵の左足には包帯が巻かれてある。

     恵の足を見る今永。


今 永「わかった。あんまこんつめんなよって言っといてくれ」


 恵 「はい、伝えておきます」


今 永「・・・」


     包帯を見る今永。

     先生がドアを開ける音。

     静かになる教室。

     前を見る今永。


◯ 浅虫高校・視聴覚室・放課後


段ボールからフィルム缶を取り出している真希。


真 希「ついに来ましたよ。今永さん。フィルムです」


     ネガフィルムを見る今永。


今 永「なんだこれ、色変じゃないか」


真 希「それはネガフィルムです。色が反転されたいわば原本です。大事に扱ってください。こちらがポジフ

ィルムです。ちゃんと映ってますよ。今永さんとても慌てふためいて変な顔をしていますよ」


     フィルムを見る今永、蛍光灯にすかして見ている。


真 希「露出もばっちり、どうですかこれがロマンです」


     ふんぞりかえる真希。


今 永「ああすげえよ」


真 希「これでいろんなものを撮りますよ。素材はいくらあってもいいですからね」


     ドアが開く。

     部屋に入ってくる宇海と俊。


俊 「生徒会だ。誰の許可を得て視聴覚室を使っている。映画部とやらができていると聞いてやってきたがそんな部の届出は来ていない」


真 希「部長の工藤です。まだ4人しか集まっていなくてまだ出せていませんが顧問の佐藤先生にはここの使用は許可をもらっています」


 俊 「部活の発足を認めるのは先生ではない。生徒会だ。毎年毎年部費の無駄遣いなどの意見書も数件きてい


る」


宇 海「そうです。生徒会は忙しいのです。あまり迷惑をかけないでください」


今 永「誰に迷惑がかかってるって言うんだよ」


宇 海「生徒全体です」


     突然現れるソラ。


今 永「お前どうやって」


ソ ラ「今永その人は気をつけたほうがいい。何か変な匂いがする」


ウ ミ「俊、この人。お汁粉の缶を持って入学式に遅刻してきたと言う生徒」


     睨み合うウミとソラ。


真 希「今永さん、後5人呼べと言われたらできますか」


今 永「は?あと足りない部員を一人呼べないやつにどうやって呼べって言うんだよ」


真 希「お願いです。今永さん。これは私も流石に燃えてきましたよ。生徒会長」


 俊 「なんだ」


真 希「生徒会は映画部が邪魔だ。映画部は生徒会が邪魔だ。そう言うことでいいですか」


 俊 「そうだ」

真 希「わかりました。それでは野球で決めましょう。特に真意はありません」


今 永「何言ってんだ」


真 希「映画部が勝ったら生徒会が生徒会が勝ったら映画部がなくなると言うのはどうでしょう」


 俊 「いいだろう」


今 永「どいつもこいつもバカばっかり。まともなやつはいないのか」


真 希「勝負日時は来週の日曜日。場所は浅高野球グラウンド七回戦でどうでしょうか」


 俊 「たかが、文化部の分際でこの私が率いる生徒会に勝てるとでも思っているのか」


真 希「はい、勝てますよ」


 俊 「いい度胸だ。帰るぞ。ウミ」


ウ ミ「はい。あなたには負けません」


ソ ラ「あなたでは私には勝てません」


     部屋を出ていく俊とウミ。


今 永「お前さ、そんなことして大丈夫なのかよ」


真 希「今永さん燃えませんか。野球ですよ。ついにできるんですよ」


今 永「お前やったことないのか?」


真 希「はい、そうと決まればメンバー集めです。頑張りますよ。今永さん」

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