表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Little kabotya’s story  作者: 富田林喜志
コンポタが好きな君
2/17

俺はオールラウンダーだ

◯ 浅虫高校・第一体育館・放課後


     入学式の看板。

     入学式の準備をしている生徒会の生徒たち。

     その中にいる生徒会長の高山 俊(17)と高山 ウミ(15)。


高 山「やはり他の生徒も呼ぶべきだったな」


ウ ミ「大丈夫だよ。宇海も頑張るし」


高 山「まだ入学前なのに悪いな。宇海」


◯ 同・廊下・放課後


     外では雨が降っている。

     廊下を走っているサッカー部の生徒。


サッカー部生徒A「マジでお前はやめた方がいいって。大谷はさ、俺に惚れてるんだって。山本」


サッカー部生徒B「いやいや、弱い生徒が成り上がるそんな物語に女の子は惚れるんだって」


サッカー部生徒A「そんなこと言ってるからお前彼女できねえんだよ。


サッカー部生徒B「それは違うだろ!最後の一周勝負だ。行くぞ」


     走っていく二人。

     歩いている熊原と恵。

     横を通り過ぎるサッカー部の生徒。


熊 原「恵、一緒に帰ろう」

 恵 「いや、それは厳しいかな」

熊 原「どうして」

 恵 「女の子には秘密がつきものよ。そんな野暮なこと聞かないの。健人くんならわかるでしょ?」

     外を見る恵。

     達子がやってくる。


達 子「熊原、部活行くわよ」


熊 原「いや、今日は休もうと思ってたんだけど」


達 子「いやだめよ、あなたが早く脚本を済ませないと私たちは動けないんだから」


恵を見る熊原。


 恵 「健人くんいってらっしゃい」


熊 原「わかったよ。恵を玄関まで送ってくから、たっちゃんは先行ってよ」


     ×  ×  ×。


     歩いている今永と達子。


達 子「何なの?みんな好きだの付き合うだの」


今 永「柴田、お前何言ってんだ」


達 子「今朝の話よ。ホームルームの・・・」


今 永「いや、あいつは俺の演技に悪魔で惚れてるんだって」


達 子「何の話?(朝のことだと勘づいて)そのことじゃないわよ!私もう演劇部行くから、じゃあね」


今 永「ああっいってらっしゃい」


     別れる二人。


◯ 同・下駄箱外・放課後


     雨の強さを見ている今永、校舎内へ入る。


今 永「仕方ねえ、いくか」


     タクシーに乗る恵を見る今永。


◯ 同・廊下・放課後


     視聴覚室の看板。

     看板を見る今永。窓を覗くと中には真希がいる。暗くしてスクリーンで映画を見ている真希。

     今永静かに中に入ると後ろに座って映画を見始める。


◯ 同・視聴覚室・放課後


     映画のキャストロールが終わり電気がつく。

     伸びをする真希。


真 希「ああっ面白かった」


今 永「なんて映画なんだこれ」


真 希「うわっ?いつからいたんですか」


今 永「そうだな、フェリックスという友達ができたあたりには」


真 希「そんなに前からいたんですね、で。どうでした。この映画サンドイッチの年って言うんです」


     真希の手元にある「サンドイッチの年のDVDパッケージ」を見る今永。


今 永「そうだな。俺の人生は辛子マヨネーズだけがいいなって」

真 希「それもいいですね。とても楽しそうです。人生には5度や6度そんな時期があるでもそれはハムの薄

   切れのようなものだ。ですか。でも私は厚くてジューシーなカツサンドがいいです」


今 永「とんだどMだな」


真 希「はい」


     時計を見る真希。


真 希「いけない。こんな時間だ。行きますよ。今永さん」


     今永の腕を引っ張る真希。

     廊下へ出ていく二人。


◯ 同・廊下・放課後


     走っている今永と真希。


今 永「どこに向かってるんだ」


真 希「第二体育館です。部員集めです」


今 永「今日はなんかあるのか」


真 希「はいハンドボール部の試合があります」


◯ 同・第二体育館・放課後


     シュートを決める高橋純平(17)。

     鳴るホイッスル。

     響く声援。並ぶ生徒たち。


審 判「浅虫高校の勝ち。礼」


選手たち「ありがとうございました」


     体育館の扉の前に行く汗だくの高橋。


ハンド部生徒A「純平ありがとう。また今度もよろしくな」


高 橋「ああ、暇だったらな」

     扉を開けて外に出る純平。

     走ってやってくる今永と真希。


真 希「いました」

     止まる二人。

     息が上がっている今永。


真 希「あなたが高橋純平くんですか」


高 橋「そうだ。私は高橋純平だ。オールラウンダーだ」


今 永「何なんだこいつは頭悪そうなやつだな」


高 橋「頭が悪そうなやつではない。私はオールラウンダ―だ」


真 希「生徒のお願いは断れない何でも屋だと聞きました。形だけでもいいので入部してくれませんか」


高 橋「その望みは叶えられない。そして私は何でも屋ではない。オールラウンダーだ」


真 希「オールラウンダー高橋さんにお願いです。幽霊で構いません。今は部員はこの二人しかいません。お

   願いします」


高 橋「オールラウンダー、ふん。いい響きだ。いいだろう。手伝ってやろう。ただし幽霊ではない。何か頼

   まれたものをこなすまではたまに顔を出そう」


今 やはりこいつばかだ


真 希「では名前を記入してください」


高 橋「わかった。何部だ」


真 希「映画部です」


     入部届に文字を書く高橋。

     高橋の指のタコを見る真希。


高 橋「いいが、私はこの学校で16個中14の部活に所属している。これても月1か2程度だ」


今 永「逆に何部に所属してないんだよ」


高 橋「ボランティア部と吹奏楽部だ。ボランティア部が他の人にボランティアをしてもらうのは違うと言う

   ことらしい。それと楽器はできない」


     紙とペンを真希に渡す高橋。


真 希「今永さん」


     高橋の書いた紙、新しい入部届、ペンを今永に渡す真希。

     紙を見ると「オールラウンダー高橋純平」と書いてある。


今 永(相当嬉しかったんだろうな)


真 希「今永さん何してるんですか。あなたも早く書いてください」


今 永「はっ何でだよ」


真 希「言ってたじゃないですか。手伝ってくれるって」


今 永「いやいや俺は入部するなんて」


高 橋「男で言い訳は見苦しいぞ。ノーマルボーイ今永」


今 永「変んなあだ名つけるな」


     今永を見ている真希。


今 永「ああもう、わかったよ。書けばいいんだろ、書けば」


真 希「ありがとうございます」


     入部届に書いて渡す今永。

     窓の外を見る今永。

     雨は止んでいて綺麗な夕景と雨つゆが広がっている。


今 永(雨が止んだ)


今 永「よし、雨止んだし帰るぞ俺は」


     歩き出す今永。


真 希「今日の部活お疲れ様でした」


     今永の横にいく真希。

     歩く二人の後ろ姿。


真 希「今永さんは毎日来てくださいね」


今 永「なんで高橋はたまにで俺は毎日なんだよ」


高橋の声「高橋ではない。オールラウンダー高橋だ」


今 永「うるせえまだいたのかよ」


真 希「ほら高橋さんも言ってますし」


今 永「できるだけな」


真 希「ありがとうございます。オールウェイズ今永さん」


今 永「変なあだ名つけんな」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ