私、気がついたんです!
◯ 浅虫高校・校庭
校庭の4分の1が畑になっていてカボチャのツルが出てきている。
◯ 同・教室
ダラダラしている今永。
空席の恵の席。
外を見る今永。
雨が降っている。
教室に入ってくる真希。
真 希「今永さん、大変です!」
真希を見る今永。
目元のクマがすごい真希。
今 永「お前、その目元どうした」
真 希「それがですね。夜通し脚本を考えていたんですよ。それで私、気がついたんです!」
今 永「何に?」
真 希「私ですね!脚本書いたことないし書けないんですよ」
今 永「今更何を。熊原」
熊原、今永の方を見る。
熊 原「なんだい?昇太」
今 永「こいつに脚本を教えてやってくれ」
熊 原「僕は、今自分のことで忙しいんだ」
教室に入ってくる恵。
恵 「そうです」
熊 原「恵、どうして」
恵 「体調良くなったから来てみたの。学校に来るのが学生の仕事でしょ?」
真 希「それはとてもお利口さんな学生ですね」
恵に近づく熊原。
熊 原「雨に打たれてない?大丈夫?」
恵 「うん、大丈夫よ」
恵と熊原を見ている真希。
鳴るチャイム。
席に戻る生徒たち。
教室を出ていく真希。
◯ 同・視聴覚室・夕
原稿用紙に脚本を書こうとしている真希。
真 希「ああ、もう、やっぱりできないです」
頭を抱えている真希。
今 永「そりゃ、書いたことないのに最初からやろうとしても無理に決まってるだろ」
真 希「こんな雨続きですとカボチャも見に行けませんし」
今 永「よくそんな申請降りたよな。お前が突然トラクターで校庭を肋れ回った時は驚いたけどな」
真 希「はい、私有地ですし、おばあちゃんの横で見てて運転は去年なんて教えてもらいましたし。やってみたかったんです。今永さんも夏になったら手伝ってくださいね」
今 永「トラクターに乗るのはゴメンだぞ」
真 希「誰でもできる簡単な作業です」
スマホを見ている今永。
今 永「明日、熊原が参考になる本を持ってきてくれるそうだ。昔、書いたものも持ってきてくれるらしい」
真 希「本当ですか?それは助かります」
雨が止んでいる校庭。
真 希「雨止んでますしまた降られると嫌なので今日は早めに帰りますか」
今 永「ああ、そうだな」
◯ 道・夕
歩いている真希と今永。
合羽を着て先の外から幼稚園を見ているひろ子を見つける。
ひろ子「今日は流石にいないか」
今永と真希を見るひろ子。
ひろ子「あっ」
今 永「やはり俺はこういう奴は通報したほうがいいと思うんだ。あ、もしもし」
ひろ子「やめて、違うの」
真 希「同じ部活の部長としては悲しいですが、映画部に損害が来る前に切ったほうがいいかもしれませんね」
ひろ子「そんな損害とか何も出さないし、やましいことをしているわけじゃないから」
今 永「はい、今。浅虫幼稚園の近くにですね不審者が」
ひろ子「であんたは、いつまで電話してんのよ!」
幼稚園の中の女の子がひろ子に気がつき手を振る。
振り返すひろ子。
女の子は宏人を連れてくる。
口パクでババアと言っている宏人。
ひろ子「何がババアよ!」
あっかんべーをすると走ってさる。
今 永「親戚とかなのか?」
ひろ子「違うわよ、腐れ縁ってとこかしらね」
今 永「年は結構離れてるのにか」
ひろ子「3歳の時から知ってる」
今 永「お前が付き纏ってるだけじゃねえのか」
ひろ子「今はそんな感じかも。じゃあ私そろそろ帰るわ」
今 永「ああ、真希、俺たちもそろそろ帰ろうぜ」
真 希「はい!そうしましょう。あれなんか違和感?」
歩いている今永の横にいく真希。
◯ 今永家・夜
家に入る今永。
今 永「ただいま」
孝司の声「助けてくれ、昇太!」
逃げている孝司を追いかけている京子。
京 子「待ちなさい!」
孝 司「今日の味噌汁はカレーパンが入っている!」
京子に捕まる孝司。
孝 司「気をつけろ、とても食えたもんじゃない」
京 子「失礼です。憂鬱な日々の良いアクセントです」
孝 司「せめてカレーの中にカレーパンを入れろと俺は行ったんだ。それで良いじゃないかと。だが世界は救えなかった。お前だけでも逃げろ、俺を置いて、ぎゃああああああ」
首を掴んで部屋に引っ張られる孝司。
今 永「賑やかな夫婦だな」
今永の部屋に入ると寝る今永。