押せました
◯ 道
道を歩いている映画部の生徒たちと俊とウミと高橋兄弟。
高 橋「打ち上げは俺の家でやろう。金はいらない、料理も任せておけ。なんてったって俺はオールラウンダーだからな」
真 希「いいんですか。それは助かります。友達とご飯食べるとかワクワクですね」
達 子「私も何か家から魚介類持ってくるから先行ってて。昇太、あんたも手伝いなさい」
今 永「はいはい」
真 希「ではそのほかでスーパーに行きましょう」
達 子「じゃあ、昇太行くわよ」
今 永「じゃあ、みんな後でな」
別れる今永と達子。
残ったメンバー歩いている。
ひろ子「で、何で生徒会がついてきてるのよ」
◯ 道
歩いている今永と達子。
今 永「今日は楽しかったな」
達 子「うん、そうね。映画部、私も入ろかな」
今 永「暇な時遊びに来ればいいと思うよ」
達 子「演劇部にはもう来ないの?」
今 永「ああ、行く理由もないしな」
今永の横顔を見ている達子。
◯ 高橋家・夜
エプロン姿の高橋。
高 橋「さあさあ、お前ら食え食え」
テーブルの上の料理、魚や肉やらいろいろ。
料理に手を出す映画部生徒たちと高橋兄弟。
五 平「にいちゃんの料理は美味しいんだぞ」
公 平「こらお前が自慢げに言ってどうする」
真 希「今永さん、どれもこれも美味しいです」
喉に詰まり咳をする真希。
今 永「おちついて食え、急がなくても料理は無くならねえよ」
今永をみている達子。
今 永「そんなことよりだ。何でこいつらもいるんだよ」
俊とウミを睨む今永。
今 永「こいつらは映画部を潰そうとした張本人だぞ」
真 希「(ご飯が口に入ったまま)ほへはへふね。(咳をしてご飯を飲み込んで)この人たちには映画部に入ってもらうことにしたんです」
立ち上がり、落ちていた黒板ボードに殴り書きする真希。
真 希「映画部生徒会係を発足します!」
映画部「えっ?」&「はっ?」&「ばっ?」
今 永「どういうことだよ」
真 希「生徒会はなくなりました。しかし生徒会の仕事は大事です。なので俊さんには生徒会係長をやってもらいます」
俊 「慈悲をもらった。ちゃんと責務は請け負おう」
真 希「ということですので映画部は総勢10名を超える大所帯となりました。みなさん明日からもがんばりましょう」
今 永「って言ってもよ。具体的にはどうするんだよ」
真 希「大丈夫です。今日もバッチリカメラに収めましたから。今もどんどん回してますよ」
ため息をつく今永。
真 希「大丈夫です。今永さん以外は普段は好きにやてもらって構いませんから」
ニコニコしている真希。
真希を見て呆れて再びため息をつく今永。
高橋に近づくソラ。
ソ ラ「(高橋の袖をひっぱり)あの・・・」
高 橋「なんだ」
高橋の耳にこしょこしょと話をするソラ。
高 橋「ああ、いいぞ」
立ち上がる高橋とソラ。
高 橋「公平、ちょっと出かけてくる。みんなの面倒を見ててくれ」
出ていく高橋とソラ。
真 希「高橋さんとソラさんも隅に置けませんね。ということで・・・」
◯ 道・夜
歩いている高橋とソラ。
高 橋「本当に届くようになってるのか?」
ソ ラ「大丈夫、毎日、鉄棒にぶら下がっていた」
高 橋「(笑って)あの時からあまり変わっていないように見えるがな」
ソ ラ「それはそう。私の星の人は成長をしない。でも大事なのは気持ち」
高 橋「あれからずっと通っているのか」
ソ ラ「うん、届かないからお汁粉飲んでた」
高 橋「そうか、そうか」
自販機の前につく高橋とソラ。
お金を入れる高橋。
高 橋「ほら、押せるか」
背伸びをするも押せないソラ。
笑う高橋。
お汁粉のボタンを押すソラ。
高 橋「いいのか?」
ソ ラ「うん、そういう約束」
高 橋「そうか、家に帰るぞ」
◯ 高橋家・夜
廊下を歩いている真希と引っ張られている高橋。
今 永「なんだなんだ」
真 希「探しに行きますよ」
今 永「何をだよ」
真 希「高橋さんが楽器をやっているかどうかの証拠をです」
◯ 道・夜
歩いている高橋とソラ。
ソ ラ「ということなのです・・・なので勝負がしたかったんです。勝ったら・・・」
高 橋「流石に宇宙まではいけないな、オールラウンダー高橋でもそれは厳しい頼みだ。でも勝負ならしてあげよう」
ソ ラ「・・・」
高 橋「逆にだ。初めて断った。初めてだぞ。この俺が断るほどの難題がこ宇宙では起きているのか」
星を見る高橋。
お汁粉を飲んでいるソラ。
◯ 高橋家・夜
ドアを開ける真希。
真 希「ありましたよ、今永さん」
綺麗に磨かれた楽器が置かれている部屋に入る2人。
真 希「やはり・・・」
穴が二つ空いている紙袋を見つける今永。
真 希「ARTとはアートではないんですよ。あのyoutuberはAll rounder takahashiの略だったんです!」
高橋の声「ただいま」
真 希「今永さん戻りましょう」
部屋の電気を消して出る2人。
宴会部屋、みんな高橋の方を見ている。
高 橋「よし、みんな!」
部屋に戻ってくる今永と真希。
高 橋「高橋家はこういう時に必ず飲むものがある。みんなは少し待っててくれ。ソラ、手伝ってくれ。公平、いつものを」
公 平「わかった」
冷凍庫からジップロックに入ったコーンを出す公平。
今 永「一体何が」
ミキサーに生クリームやコーンなどを入れてかけるとコップ一つ一つに入れていく。
コップの中を見るソラ。
ソ ラ「コンポタ?」
高 橋「かしてみろ」
電子レンジに四つ入れて温め始める。
中を開けてコップを出すとソラに渡す高橋。
ソ ラ「コンポタだ!どうやって?」
高 橋「みんなに渡してこい」
こくりと頷くとみんなの場所に持っていくソラ。
最後の二つのコップをソラに渡す高橋。
高 橋「俺、洗っとくからそれを電子レンジに入れてボタンを押してみろ」
電子レンジに入れてボタンを押すソラ、不思議そうに見ている。
チーンと音がなり驚くソラ。
高 橋「ほら開けてみろ」
開けて取り出しコップを見るソラ。
真 希「とても美味しいです。大事に育てられたとうもろこしです」
ソ ラ「押せました・・・」
熊原「うん、すごく甘いね」
ソ ラ「押せましたよ。高橋さん」
ソラを見る今永。
今 永「まさか・・・」
高 橋「やっとだな」
ソ ラ「高橋さんをかけて勝負です。私が勝ったら私の星を助けてください」
にこりと笑うソラ。
高 橋「ああ、いいだろう」