第1話 冒険者はじめました
契約の代償として肉体を奪われ魂を異世界に飛ばされた……俺、佐藤 慶次(人族・16歳・♂)は、冒険者ギルドの受付嬢アンナ・ハーリン(人族・22歳・♀)のヒモ(×)・性奴隷(○)として第二の人生をスタートさせた。
あん? 契約の内容? 言いたくないが一度だけ言ってやる。
幼馴染の石原 ナオが、片思いの野郎と付き合いたいがために、俺を生贄にしたからだ。
さて、元童貞の俺は、死んだばかりの売れ残りの性奴隷の肉体に転移させられ、奴隷商人のバズレッドも驚く異世界生活をスタートさせたのだ。
取り敢えずバズレッドに事情を説明したのだが、奴隷の契約は肉体に宿るらしく、「くっくっく……。大人しく奴隷として人生を全うしろ」と言われ……泣いた。
そんでもって、サーチャ(ゴブリン族・8歳・♀)に童貞を奪われ、性交の極意を叩き込まれた。
サーチャのお気に入りになってしまった俺は、毎日・毎日・毎日・毎日・毎日……。
はぁ……。もう言わなくてもわかるだろ?
性奴隷を買いに来るような連中の眼は、光を失っているか、禍々しい光を放っているかだ。
どちらにしろ、そんな連中に買われれば3日と経たずに俺はボロボロにされ、飽きられれば即エンドだ。
だから俺はそんな連中と目を合わせず下を向いてやり過ごしていた。
そんなある日、偶然まともそうな人間が現れた。
それこそ、友達の付き添いで来ていたアンナ・ハーリン、俺様のご主人様との運命の出会いだ。
俺は必死に土下座で頼み込んで買ってもらった。
性行為だけじゃなく、日本での生活では経験のない料理やら掃除も積極的に挑戦した。
あぁ、頑張ったさ。
また奴隷商人に売られたくないからな!!
そんな努力が実ったからなのか、僅かながらも自由な時間を与えられた。
であるからして?
異世界を堪能するべく、冒険者の門を叩いた。
自分のお小遣いも欲しいからね。
「てへへ。来ちゃいました」
「全く、男の子って馬鹿なんだから……。怪我して夜の……」
俺のご主人様である冒険者ギルドの受付嬢アンナ・ハーリン様は、ブツブツと小言を言いそうになったので即答する。
「理解ってます!! 最初は無難に街の中のクエストを受けますから!」
「うんうん。お利口さんね♥」
初回クエストは、ご主人様セレクションで、おじいちゃんの家の草むしりだ。
早速、おじいちゃんの家に向かう。
ちなみに俺にだって、異世界チートの代名詞であるレア固有スキルくらいは持っている。
ずばり『ミニチュア・モンスター・メーカー』だ。
だが戦術級のような戦場の優劣をひっくり返すような力でも、ドラゴンを一撃で葬るような力でもない。
それこそ、今から行くおじいちゃんの家の雑草を一瞬で消すような力でもないのだ。
「本当に、しがない……転生者だよな」
だからと言って、元凶である幼馴染の石原 ナオを恨んではいない。
元々、それほど元の世界の環境に依存もしていないし執着もない。
名残惜しいのは、土下座して一度くらいナオとエッチさせてもらえばよかったかなって程度だ。
それと、別にこの異世界が好きってわけでもない……。
正直に言うと生きていることに喜びを感じていないってことだ。
恐怖も痛みも感じなければ死んでもOKってことなのかと真剣に考える。
「待て!! 返せ!!」
「返せって言って返すバカがいるかよ!!」
その大声にうつむいていた俺は顔を上げる。
すると後ろを向き叫んでいた背の低い少女とぶつかり、俺達は地面に倒れた。
ラッキスケベが発動して、少女の胸を鷲掴みに……するほど膨らみがなかった。
フード付きの外套で素顔を隠したため少女の素顔は見れない。
「ったく……。どこ触って、違う!! 見て歩いてんだよ!!」
少女はすぐに立ち上がる。
そして立ち去る間際に軽く蹴りを入れてきた。
ふうふむ、これはお仕置きが必要だな……。