第三話 異世界上陸
「で、何すればいいんだ?」
頭で思った事がそのまま口から溢れた。
それもそうだ。俺は魔王からこの世を守るべくティアに異世界へ飛ばされたが、実際問題何をすれば救えるのかなど一切聞かずに来てしまった。
ゲームでは村人全員と会話してからでは無いと進めないし、十分過ぎるほどにレベリングしてからで無いとボスに挑む事すらしない程慎重なのに、いざ実際に勇者になってみると好奇心が勝ってしまい慎重な性格は消えてしまっていた。
ーーマズイな。
素直な感想だった。
地図も無ければ仲間もいない。そもそもティアは同行しないのか?こういう所謂『異世界モノ』には女神とか妖精とかそういった案内役の様なものが付いて回るんじゃないのか。
開始早々途方に暮れていた時。
「わっ!!!!!!!」
大声と共に、ティアがいきなり目の前に現れた。
というより、元々俺の上に浮いていてタイミングを見計らい目の前に現れたと言った方が正しい。
ティアが俺を驚かせようとしていたならベストなタイミングだったと言えるだろう。
俺は盛大に尻餅をつき、「ハギャッ」と、だらし無い声を上げ、みっともなく地べたに座り込んでしまった。
ティアはというと、そんな俺に触れる事も無く、驚かせた事など無かったかの様に淡々と話し始めた。
「勇者って言ったって、今はレベル1の貧弱だし。一人じゃすぐに死んじゃうから仲間を探そうか!という事で!街に行こう!」
脅かしてきたティアがそんな態度だから、俺も俺が転んで無い事にして、ティアの言う街へ歩き始めた。