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最弱勇者の成り上がり〜最強スキルは使いません〜  作者: 水無月かえで
第一章 異世界勇者
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第二話 まるでゲームの様に

 本当に平凡な人生だった。

 成績は平均、運動能力もそれなりで。友達もいたし虐められてたりした訳では無かった。

 実家も貧乏でも裕福でも無いまさに平均平凡で、彼女の一人や二人いた事もあったが、激しく感情が揺さぶられる様な事は無かった。

 このまま一生平凡な人生を歩むと思っていたのだが…。


 俺は今、例えるなら宇宙の様な場所に居て、


「おめでとう!柊木暁斗(ひいらぎあきと)くん!君はこの世界の勇者に選ばれました!よって、ここに強制召喚させてもらいました。」


 と、目の前の少女が、まるで俺の望みを叶えてやったと言わんばかりのテンションで誇らしげに言った。

 その少女は、腰まで届くくらいの白髪をツインテールにしていて、ガラス玉の様に綺麗に透き通った瞳で、俺の反応を今か今かと待ち侘びるように見つめる。

 身長は150cm前後で、純白のふわふわなワンピースの様な服装と透けてしまうくらいに透明感のある肌が相まって、天使にすら見えた。

 強制召喚?俺は死んだのか?などと疑問は湧いて来るものの、少女の綺麗さに見惚れてしまい思考は完全に停止していた。

 それを察したのか、それとも反応の無さに痺れを切らしたのか、少女は俺の額にパチンッとデコピンをし、「聞いてるのー?」と、顔を覗き込んできた。


「聞いてるよ。ただ、強制召喚とか急に言われてもピンと来なくて…。」


「そっかー。うんうん。そうだよね!じゃあ優しい優しいティアちゃんが一から教えてあげよう!」


 それから、自分の事をティアと名乗る少女から全て教えてもらった。

 ティアが言うには、この世界は近い将来魔王により滅ぼされる運命にあり、それを救う為に勇者が必要。

 勇者の選出方法は詳しく教えてもらえなかったが、俺が選ばれたと。

 また、俺はこの世界を救う為に召喚された為元の世界では生きていて、尚且つ元の世界の時間を止めているらしい。なので、この世界を救い次第すぐに元の世界に戻すと約束してくれた。

 俺としては、元の世界は平凡だしこっちで勇者の異世界ライフを楽しむのも悪く無いとは思ったが、この世界の住民では無い俺が長居すると、色々と問題があるらしい。


「俺が召喚された経緯は分かったけど、どうやって魔王を倒せばいいんだ?地道にレベル上げとかするの?」


「まさか〜!勇者として召喚した責任と言っちゃあなんだけど、完全無欠のスキルを授けるよ!俗に言う最強?チートスキルだね。」


 異世界転移して最強スキルなんて、THEありがちだなと思った。

 そんな俺の心を読んだかの様に、


「ありがちだな〜って思ったでしょ。実はもう一つ方法があります。それは、スキルを受け取らずに勇者として地道にコツコツレベルアップする方法です。暁斗くんは後者かな?」


 俺は平凡な人生を歩んでいたと言ったが、唯一心が動くものがある。それはゲームだった。

 ゲームをしていると、自分がその中の主人公になった気持ちになって平凡な人生から抜け出せた様な気がするからだ。

 そんなゲーマーな俺が、後者を選ばない理由なんて無かった。二つ返事で後者を選んだ。


「よし。じゃあ本当に異世界に飛ばしちゃうけど準備はいいかな?あ、スキルを受け取らない場合はスキルの存在を忘れてもらう事になるからね。まあ、暁斗くんには関係無い事だから気にしないで!では!よい異世界ライフを!」


 そう言った後ティアが何か呪文の様な言葉を発する。すると、俺の身体は青白い光に包まれた。

 ーー刹那。例えるならジェットコースターの様に内臓が口から出るくらいに急降下した様な感覚があった。

 落ちていく感覚の中、青白い光に包まれていく時のティアの顔を思い出していた。

 その時、何故かティアは悲しそうな顔をしていた。だがその疑問をかき消すかの様にすごい衝撃が身体に走る。

 尻餅をついた。召喚ってもっとこう瞬間移動みたいな感じかと思っていたが、案外雑なんだな。

 そう思いながら能天気な俺は、目の前に広がる異世界に隠しきれない程興奮していた。

 



ーーーこの後に起こる悲劇なんて想像もせずに。

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