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Z軸上の遥か遠くへ  作者: 水原翔(みずはら・しょう)
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BREAK OUT

「……3,517コインになります」


 素数だ。と頭の中で思ってしまった。

 そんなことで喜ぶなんて。

 まあ、楽しみの少ない世界。こういうことで喜びを見つけないと、やってられない。


 それはさておき、あのペンギンのことが頭から離れない。

 彼は自分のことを介入者と呼んでいた。


 ……いけない。今は仕事をしなければ。この前も危なかったんだ。

 周囲に目配せをする。

 怪しい動作をしている人間がいる。

 カゴに、古い商品を入れている。

 その商品をもってきて、レジにかざそうとしている。

 万引、ではない。

 犯罪ではないが、迷惑行為にはかわりがない。


 監視カメラやいくつもの目があるのに、誰も気が付かない。

 いや、違う。

 気が付かないんじゃない、気がついちゃいけないんだ。

 彼は人間で、私はげっ歯類。

 人間サマがやっていることには、誰も文句をいってはいけない。

 私のレジに来るな。

 

 そう思った瞬間だった。

 私の目線に気づいたのか、人間はニヤリと笑みを浮かべて、私のレジへ。

 

「会計……頼む」

「えっと……」


 自分の店の商品じゃないものがかごに入っている。

 しかも消費期限切れのもの。

 システムで管理されているから、弾くはず。

 私は何も言わないまま、人間が持ってきた消費期限切れの商品のバーコードをリーダーにかざす。


「ピッ」

「……っ!?」


 システムは、何も反応しなかった。

 あたかも自分の店の商品として認識し、バーコードを読み取ったのだ。

 そんなことがあってたまるか。

 しかし私は声を出すことは許されていない。


 人間サマは、この世界のカースト上位だ。

 彼らに逆らったら、命はない。その場で処刑される。

 だから不審な行為であったとしても、私は声を出すことはできないし、命の保証はない。

 

 まあ、単なるいたずらだろう。

 私はそう思うことで、このあと起こることを、あまり深く考えずにいた。


 “人間サマ“は、再びニヤリと笑みを浮かべて、お会計を済ませレジを去っていった。


(……やっていることは、ただのいたずらだけど)

《警告、警告、人間への消費期限切れ商品への販売行為を発見、直ちに処罰します》

「嘘でしょ……」


 どうすればよかったのよ。

 人間が店を出ていったあと、すぐにアラームが鳴り、私はすぐさま捕まった。

 手錠がかけられ、やってくる車に収容される。

 

 私は、牢に入れられた。

 

「あまり、変わらないわね」


 普段自分が住んでいる部屋と変わらない。

 変わったことといえば、さらに行動が制限されたことだろうか。

 たかが。

 たかが偽商品をレジにかざしただけで。

 しかもそれを告発することなんてできなくて。

 それで処罰されるなんて。

 人間サマは、なんて酷いのだろうか。

 聞けば、動物によってはこのまま処刑され、人間サマの食料として食べられるものもいるとか。

 リスを食べる話は聞いたことがないから、私はそんなことはないかもしれないけれど。

 けど、あまりにも。


「……私が、私が何したっていうのよ!!」

《警告。発声は禁止されています。このまま続けると罰則期間を延長いたします》

「……」


 イライラして、少し歩く。

《警告。牢屋内での歩行は許可されていません。このまま続けると罰則期間を延長いたします》

……うるさいなぁ、もう。

 こんなに、行動を、思考を、制限された世界で、私は何が楽しくて生きているんだろうか。

 それに、私はなにか大切なことを忘れている気がする。

 それはわからない。

 私自身に関わる問題?



 その、瞬間だった。


「ティッ!!」


 ペンギンだ。

 間違いなく、隣の部屋に住んでいたペンギンが、私の目の前に現れた。


「な、何!?」

《警告、警告、暴力行為を発見、速やかに静止せよ。命令に従わなければ処刑する》

「はっ、うるせーよ」


 警備ロボがペンギンのもとへ近づいていく。

 ペンギンは、ゆっくりと歩き、自分が持っていたスマートフォンを取り出した。


《Transformation!! Ready》

「変身ッ!」

《OK,Human》


 某ライダーのように高らかにペンギンが叫ぶと、姿が変化し、人形になる。

 嘘、あいつ人間だったの!?


「喰らいな!!」


 人間は、銃で警備ロボットを撃ち抜いた。

 


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