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プロローグ
初作品です。
温かい目で見守っていただけると幸いです。
ーー空を見上げる。
灯りひとつない暗闇では月の光だけがその存在を主張している。
月の光を一身に受け、その存在をこれでもかと主張する存在がいる。
その存在はただただ無表情に月を見上げていた。
その姿はこれ以上ないほど美しく、まさしくこの世の最上と呼ぶに相応しい。
月の光に照らされて、わずかに発行する白銀の髪も、
感情を読み取れない血のように紅い瞳も、
白い陶器のような肌も、
その全てが彼女の美しさを際立たせている。
彼女は孤独だった。
当たり前だろう。
その空間の支配者と呼べる彼女以外に、この空間には
誰もいないのだから。