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First world〜Devil side〜  作者: カイト
7/10

ダンダルドの退屈

 私はギリン村を配下に加える小国の王、リュネス=クジャル。

 私は魔王城の現状を見て今こそ好機と思い兵を招集した。

 兵士達が喝采を上げながら進軍する。

 今の魔王城にまともな人員はいない。

 あんな小娘一人しか担ぎ出せないようでは城内の戦力もたかが知れている。

 四天王は不在で魔王様と妃もいない。

 残るはエクセリア殿下のみだがこれも大したことはなさそうだ。

 ギリン村の領主などというつまらんことをやっている場合ではない。

 天使と和解するのに必死で足元を見ていない愚か者どもに少し思い知らせてやらねば....。

 ギリン村を支配していたのは国力を高めるためだったが、あんなに強力な魔物が湖に住み着くとは予想外だった。

 我が自慢の兵達ですら太刀打ちできない強力な魔物だ...、後で聞いた話では小娘が森へ向かったようだがもう死んでいる頃合であろう。

 あちらは役人に任せてある、小娘がもしも湖の魔物に恐れをなして逃げ出したとしても熟練の使い魔を扱う役人にから逃げて帰れるものか。

 我が国は小国だが2万の兵達がいる。

 これだけの数で魔王城を攻めいれば今の状態であれば陥落も夢ではないだろう。

 そして魔王城の中の財宝さえ押さえれば軍力を拡大して、いずれは魔王キュリアや四天王全員打ち取ってくれるは!。

 高笑いを繰り返し意気揚々と進軍する。

 この先の渓谷を抜けると魔王城の城下町が見えてくる、その時が開戦の合図だ....。

 だがふと気づくと先陣の者が足を止める。

 それに気づいた私は前方からの報告を待つ。

 報告が届いた時には少し冷や汗が出てしまったが、自分がでなければ会話しないというので偽りなく前方へと向かう。


「私はクシャルの王リネス=クジャル!」


 私は名乗りをあげると彼もまた名を名乗った。


「儂は四天王が一人ダンダルド!、こんな大軍を率いて魔王城に何用か?、嘘偽りなく話すが良い」


 なぜか笑顔で対応してくるダンダルドが不気味に見える。


(なぜ四天王がここにいる?役人の奴が図ったか?)


「私はエクセリア殿下に献上品をお持ちしたかったのです、此度のこの軍勢は私自ら献上品を渡しに向かう為の護衛です」


「にしては護衛の数がちと多いみたいだがのう?」


 ダンダルドは疑いの目を私にかけるので献上品と偽り、毒の入った酒を部下に持って来させる。


「これが献上の品となります、我が国で取れた果実を絞り酒に加工したものです」


 深々とお辞儀をしてダンダルドに酒の入ったグラスを渡す。

 ダンダルドはそれを受け取ると匂いを嗅ぐ。


「ほう、なかなか良い品のようだな...」


 ダンダルドはそれだけ言うと私にグラスを渡してきた。


「これだけ良い品ならさぞ美味いのだろうが少し心配じゃのう...、そうじゃ!主から飲むが良い」


 唐突にグラスを渡された私は戸惑う。


「さあ、ぐいっと飲むが良い、遠慮はいらん!このダンダルドが許す!」


「い、いえ旅路の途中ですので頂くわけには....」


 ダンダルドは先程とは変わって険しい表情になり私を睨んでくる。


「どうした?、それともなにか飲めない理由でもあるのか?」


 疑いの目が濃くなっていく。

 何か機転を聞かせようとするが何も思いつかない。


(仕方がない.....周りには伏兵の気配もない、ダンダルド一人なら2万の兵でゴリ押せる筈だ)


 私は密かに攻撃のサインをした。

 それに気がついた後ろの兵士達がダンダルドの背後気づかれないように回り込み、首をかっさばく。

 しかし、ダンダルドの首は傷一つ付いていない。

 ダンダルドは頭をかきながら不満げな表情で兵士の頭を掴む。

 兵士の一人が足をバタバタさせながら浮き上がる。

 片手で人一人を持ち上げたまま頭を握りつぶした。

 その隙に私は軍の後ろまで駆け出した。

 兵士の頭を握りつぶしたのを火種に戦闘が始まる。

 まず後方から魔法攻撃を10秒に一回の感覚に放射、その後弓兵の集中放火を浴びせる。

 魔法と矢の雨で煙が舞い上がり、視界が全く見えなくなる。

 これだけでも充分だろうが念のため槍兵を進軍させる。

 煙が落ち着いて来ると私は目を見開いて現実を直視した。

 ダンダルドには傷一つ付いておらず退屈そうな顔をしていたのだ。


「つまらん....、小童どもが.....」


 私にはそう言っているように見えた。

 ダンダルドが地面を蹴りあげると地響きがなる。

 こちらの兵士達が倒れこむと渓谷の両側の谷が一気に我が軍を押しつぶした。

 私の周りだけ綺麗に穴が空いたように無事だったがどこを見ても壁しか見えない。

 唯一の希望のように空だけは見えていた。


「今ので5千は死んだな.....、まだやるか?」


 ダンダルドが後ろの軍勢を見下ろしながら私のいる穴へと会話して来る。


「いや....もう充分だ.....」


 私は目を瞑り静かにそう呟いた。

 ダンダルドはますます不満そうな顔をする。


「そうか....、ここにも強者はおらんか.....」


 ダンダルドは手を頰において退屈そうに呟く。


(そうか....、これが魔王に付き従う四天の一角なのか....完敗だな....)


 後ろの兵士達の士気がどれくらいあるかわからないが、そんなものでどうこうなる相手ではないということが今の一撃でわかってしまった。

 ダンダルドの力がこれほどまでとは思っても見なかったのだ。

 ダンダルド一人にこのざまでは他の四天王がいた場合に勝ち目などないだろう。


(つまらん....、実につまらん.....、大戦の時に戦った猫の小娘....、やつともう一度戦ってみたいのう...)


 ダンダルドは勝利したにもかかわらず暗い顔で向こうの空を見上げていた。




本当ならここはすっごくグロく書く予定でした。

頭を握りつぶしたところから脳みそが見える。とか、すぐに壁で押しつぶすのではなく、まず兵士の一人の上半身と下半身を引きちぎって全員の戦意を削ぐなどの行為をしっかり描写しようと思ったのですが...、そこまでするとR15指定としないといけないかなと思い簡易的に仕上げています。

そういうのが好きな方には申し訳ない。

次回、エクセリアVSダンダルド

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