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ニュクスの灯ビザーファイル・黒蝶の羽撃きは、異世界の煌めき。  作者: 七枝 繁
ルーガス王国と胡蝶の歌姫編
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第四十四話 ペノリア男爵

第四十四話 ペノリア男爵



翌朝、私はロワールと朝食の支度を一緒にして、食事を共にした。

彼はストレートには表情を出さないが、やはり楽しそうである。この一人で住むには大きすぎる教会ではやはり寂しすぎるのだろう。

それを見ていると本当はここに今少し留まってあげたいと思うところではあるが、これからどうなるかも分からないので約束は出来ない。

だからこそ、私は戻ってくる約束をせずに彼を置いて教会を去ることにした。


それから予定通りにペノリア邸に向かう為、貴族街を歩いていた。

フードを被っていたため貴族街に入る前に兵士に止められたが、来るときに渡されたオタク侯爵の紋章を見せ、依頼の要件を伝えるとすんなり通してもらえた。

有り難いことにオタク侯爵が地図を用意してくれていたのであっさりとペノリア邸を見つける事ができた。

ペノリア邸の造りは周りの他の貴族と同様に豪華で大きい物であったが、流石にオタク侯爵の様な門から建屋の入口まで馬車で移動するようなおかしな造りではなかった。まぁ普通はそうだよな。

門の警備の兵士に、先ほど貴族街に入った時と同じようにすると直ぐに建屋に入ることができた。

建屋に入ってフードを取ると、出迎えた執事やメイドが私を見て一瞬ギョッとするが、何も無かった事の様に職務を遂行しだす。中々に出来た使用人ではないだろうか。

それから丁重に応接室に案内され、出された紅茶を楽しんでいるとヒューマーの男が現れる。

年齢は、40代後半ぐらい、身長は175ぐらいはあるだろうか。鍛えられた引き締まった身体つきで少なくとも武芸をそれなりに嗜んでいる動きだ。オタク侯爵とは真逆のイケおじだろう。

今はこの身体だが、地球に帰ったらこの位のイケおじの身体にしてくれると有り難いのだが、そんな都合のいい話はないか。


「唐突な訪問の対応に心から感謝致します。(わたくし)、ソールデースペル皇国 オ・タクルゥティオ・テンプレーベード侯爵の使いで参りました、プロテノア・スパングルと申します」


何時もの様に丁寧にお辞儀をする。


「いやいや、此方こそこんな要件で来てもらって申し訳ない。私は、ルーガス王国 男爵 ルーディン・ペノリア。しかし、驚きましたな本当に話の通りの聖女様だとは」


「いえ。(わたくし)、たまたまそういう姿をしているただの冒険者ですわ。祈ったり、民を導く事よりも、魔物と命のやり取りをする方が性にあっている武骨者。聖女様とは真逆の存在ですわ」


「フフ・・・。実は私も昨日の話も既に聞いていていましてな。貴方の姿を今確認するまでは、民草の誇張されたゴシップネタと思っていましたが、どうやら本当の話だと確信しましたよ」


何故か嬉しそうにそう言う男爵。


「はぁ・・・一体どんな噂が飛び交ってるのか聞くのが怖いですわ・・・。あ、そうでした。テンプレベード卿からの手紙をお渡しします」


そう言って手紙を渡すと、男爵は受け取りその場で、封を切り手紙を一目見ると笑いだす。


「ハハハ・・・流石は、テンプレベート卿だ」


そう言うと、私に手紙を内容をぺラリと見せる。

そこには、ただ一文 "よしなに" だけが書かれていた。最初どういう事か今一つ理解出来なかったが、この国の状況が一瞬脳裏をかすめた瞬間理解出来た。

なるほど、あの侯爵めそういう事か。手紙を渡すのはただの口実で、本当の目的はこの国に入りペノリア卿に合わせる事が本命か。

いや、私がこの国でフラフラ人目につくだけでも十分、今の国の体制に打撃を与える事が出来るとも言える。


「はぁ、そういう事ですか・・・。テンプレベード卿とどんなお話をしてるか知りませんが、(わたくし)は、手紙を届ける依頼だけを受けているので要件が済み次第、失礼させてもらいますわ」


少しきつめに言う。面倒事にかかわらせようとするオタク侯爵の目論見を少しでも潰しておかないと後で酷いことになるからな。


「ええ、御心配なさらなくても、特に此方から依頼などを強要するつもりはないので、好きなタイミングで帰ってもらって構いませんよ」


逆に、素直にそう言われるとそれはそれで怪しんでしまうのが人間という物。だが気にしたところで仕方ないだろう。言葉通り受け取って退散する事にする。


「それは、助かりましたわ。これから別の用事もありますので、少し早いですがここらで失礼させていただきますわ」


「そうですか。私としては、貴女の武勇伝でもお聞かせ願えればと思っていましたが致し方ありませんね。また、お会いした時にお話しを聞かせてください」


「ええ、そうですね。次会うときには互いに時間があるといいですね。それでは御機嫌よう」


そう言って来た時と変わらぬように丁寧にお辞儀をしてペノリア邸を後にした。

少しばかり取り急ぎすぎで、礼を欠いている気もしたが正式な使者ではなく、ただ冒険者として依頼をこなしただけという事なので気にする事はやめた。

その後、結局オタク侯爵の目論見通りに外をフラフラしなきゃいけないと言う腹正しい事になるが、フードを被っているので少しはましだろう。







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