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ニュクスの灯ビザーファイル・黒蝶の羽撃きは、異世界の煌めき。  作者: 七枝 繁
ルーガス王国と胡蝶の歌姫編
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第三十五話 騎士団長からの依頼

第三十五話 騎士団長からの依頼



武器屋から出た私は、皮革店に向かった。捜すのは鞄だ。


(どうしたの~?急に皮革店になんて来て)


(鞄をな。お!これはどうだ?)


頭にのり長い尻尾を首に巻いているリリィをひっぺ替えして鞄に入れてみる。


(え!え!?なに??)


(リリィ用の鞄だよ。使う武器が大鎌になるだろ、あれは刃が内側に向いてるからフラフラ長い尻尾が動いてたら、そのうち尻尾なくなってるぞ?ウッカリ首と胴体がサヨナラしてる可能性もあるしな)


(ヒャッ!私の大事な尻尾切らないでよ!)


そう言うと尻尾を丸めて大事そうにしている。


(その為にこれからは大人しく鞄に入っててもらわないと困るんだ。それに存在を隠せればリリィが強襲を仕掛けることもできるだろう?)


(うう・・・仕方ないわね。大事な尻尾には代えられないわよね)


(で、どうだ?居心地は)


余り厚みのある鞄ではないが、リリィの身体の細さならそんなに問題なさそうだが、自分が入って確認できるわけじゃないからな。


(うーん。もう少し厚みがあると楽ねぇ)


ふむ、少し薄すぎたか。だが厚すぎても私が動くのに邪魔だし難しい所だ。

自分の鞄探しに興味を示したのか珍しく自分でパタパタ飛んだり、歩いたりして具合がよさそうな物を見つけると頭を突っ込んで確認したりしている。

なんていうか、ヤドカリとかが自分の貝を探すときってこんな感じなのかね?とか思ってしまう。

お、全身入ってたと思ったらすぐ出て来た。なんかコレじゃないって顔してるな。ドラゴンの表情は良く分からんけど何となくそう伝わってくる。

そんなこんなで暫く待っていると具合のいいのを見つけたらしく私を呼んで見せる。

所謂A4サイズのカバンで、ベルトと取っ手も大きめについていてトートバックやショルダーバックにもなると言う便利機能つきだ。

中はというと、ファーっぽいので包まれていてモフモフ感があり、外の色は白を基準にした黒いラインやアクセントがある。なんだか高そうなのが気になるが、ウダウダ揉めても面倒なのでこれでいいだろう。

カウンターで店員と値下げ勝負をしたが殆ど負からず15万ゴールドだった。まぁ大鎌より安いので余り文句も言えない。

ついでに、近くの洋服店に行って幾つか服を見繕った。最近、ちょっと服を買うのが楽しいと思うのは、何かに引っ張られているのだろうか?

今日は結構出費してしまったので金策をしたいところだが、冒険者ギルドの依頼をこなす程の時間はなさそうだ。

仕方がないので、特に依頼は受けずに大鎌の素振りをする為に街の外にでた。


改めて大鎌を出して持ってみる。本来よりも軽く感じ扱える感はある。槍、薙刀、長巻あたりの武器の動きに大ハンマーの容量で動けばまぁ使えるだろう。

だが、いかんせんバランスの偏りが激しい。作りが悪いのではなくコレは大鎌という武器の特性だろう。

まず、大鎌の刃の部分を地面と水平に保って構えるだけでもコツと力がいる。むしろコレは必要がないなら水平に構えない方がいいと思うほどだ。

色々と確認しながら素振りをしてみる。なるほど、予想はしていたが少し武器についたスキルが悪さしている。

それは、スキルのおかげで持っている側のみが軽くなっているだけど、その他の現象については本来のそれ相応の物理現象が通常通りに働いている。

つまり、遠心力、向心力、反作用、慣性モーメント等の加わる力が、経験上の "この重さならこのくらい" 感覚よりも、かなり大きく返ってくる。

なので、持っているモノの感覚と自分に返ってくる実際の反動に誤差が激しく慣れないと上手く動けないどころか、体を痛める事になるだろう。

だが、逆に言えば慣れてその大きな質量を自在に扱えるようになれれば、かなりトリッキーな動きすら可能という事になる。

どうなるか分からないのでリリィの入った鞄は身に付けづ地面に置いて練習する。

実際、調子に乗りすぎると自分の髪を数本きってしまったり、危うく自分自身をも切りそうになったりする。

なんだか何時もと勝手の違いすぎる武器が思ったよりも楽しかったのか気が付けば夕方になっていた。

振り返ると、長身の引き締まったプロポーションの女性が立っている。

クアイトヒル騎士団、団長キャロルルだ。


「いやぁ、お見事。扱いの難しい大鎌をあれほど自在に操るとは感服した」


「御機嫌よう、サー・キャロルル。いえいえ、まだ修練を始めたばかりで見苦しい物をお見せしましたわ」


「フフフ、なるほど。己への厳しさがその強さの秘訣というわけか」


「いえいえ。ところで本日は私に何かご用件でも?今の所、騎士団の皆さんにご迷惑をかけるような事はしてないと思いますが・・・?」


「ああ、そ、そうだな。本日の要件は、その、私用だ。うん、ミス・プロテノアには特に非はないぞ」


なんだか妙だな、サッパリとして物事を言い切るタイプのキャロルルにしては言い淀でいるな。


「そうですか、それならばよかったですわ」


「えっと・・・そうだな、あれだ。小耳に挟んだんだがミス・プロテノアはルーガス王国の首都オンダーバーラーにいくんだ・・・よな?」


「え?ええ、侯爵様の依頼により向かいますが・・・?」


なんだかこんなキャロルルは調子狂うな。なんだろうか?困ったことに薄暗くなってきてるので表情が完全に読む事が出来ない。


「えっとだな、その、だな、暇があったらと言うか、ついでで構わんのだが、そのぅ・・・お願い事があってだな・・・」


そう言いかけると、キャロルルらしからぬギコチナイ動作で自分の腰につけた鞄をあさり始める。


「はい?」


返事をすると、探し物が見つかったのか私に向かって差し出す。


「その・・・。これを、新環騎士団(ノーヴスサキュラス)の団長、エインに渡してほしい!も、勿論報酬は払う」


渡されたのは手紙である。・・・う~ん?これはもしかして・・・。


「はい、構いませんが、確か新環騎士団(ノーヴスサキュラス)が女王直属の騎士団。その団長となると身分はかなり高い可能性があり会えるかどうか不明ですが、それでよろしいです?」


「本当か!ああ、会えない場合はしかたない。本当についででいいんだ。本来なら冒険者ギルドを通す所なのだが、侯爵や貴族みたく秘匿権が行使できないので手紙の内容を確認されるかもしれなくてな。その内容が内容で・・・あっ」


ほほぅ。


「ええ、分かりましたわ。サー・キャロルルの想いは出来る限りの範囲でお届けしますわ」


「ありがとう!本当にありがとう」


喜び方が半端ないな。いつもはクールでサッパリしたイメージだが、キャロルルも人の子の乙女だったって事だな。なんだかホッコリしてくるな。

キャロルルらしからぬ喜び様で礼を言うと、まだ仕事があるからといって街の中に帰っていった。

・・・スキップしてないか?あのまま街に入ったら、門兵とか目を丸くするぞ?


(へぇ・・・なんだか、面白い事になって来たわね)


鞄から顔だけ出してやり取りを覗いていたリリィが思念を飛ばしてくる。


(そうだな。あの恋愛に無縁そうなキャロルルが、想いを馳せる新環騎士団(ノーヴスサキュラス)の団長ってのに是が非でも会いたくなってきたな)


(そうねぇ。だけど、あそこまで乙女になるなんて私も予想外だったわね)


(フフフ、まぁキャロルルの可愛い部分も見れたし帰るとするか。宿屋の女将にはまたここを離れる事を話しなきゃならないしな)


(明日、出発するつもり?)


(ああ、面倒な事も多そうだが面白そうな事も出来たしな。色々気になって来た)


そんな会話をしながら私達は宿に帰るのだった。







次回は、新しい武器と依頼を抱えて新たな冒険の始まりです。

どうぞよろしく。

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