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ニュクスの灯ビザーファイル・黒蝶の羽撃きは、異世界の煌めき。  作者: 七枝 繁
イスー連続少女殺人事件編
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第三十三話 それぞれの想い

第三十三話 それぞれの想い



六花草(りっかそう)が広がる自然が生み出した白い花畑。

六花草(りっかそう)とは、一本の茎に小さな白い花を必ず六つつけることからこう呼ばれていて極わずかな範囲にしか生息しない珍しい草だ。

そして、その花の蜜を狙って飛んでくるホワイトパピリオという小柄な白いアゲハチョウも又、六花草(りっかそう)と共にしか生息しない珍しい蝶である。

そのホワイトパピリオが私の周りを優雅に舞っている。私の黒い髪が気になるのか止まっては飛び、また止まっては飛んでいた。

すると、草を足で掻き分ける音が響き人影が近づくと、ホワイトパピリオ達は一斉に遠くへ飛び去ってしまう。

飛んで行ってしまった蝶を名残惜しそうに見送っていると声を掛けられる。


「ノア、こんなところにいたのね」


振り向けば、長い黒髪を纏ったスラリとした10代後半の女性が立っている。


(ねぇ様・・・」


私は故意でないにしろ結果的に蝶を追っ払ってしまった(ねぇ)様を少しだけ恨めし気に見つめる。


「ごめん、ごめん。でものそろそろ移動した方がいいと思うわ」


そう言うと、筋肉で引き締まった50代の渋いジーニィ男性のいい声が響く。


「ボス、この辺でどうやらワリゲードンの群れが大移動しているらしいですぜ」


ワリゲードン、確か四足で蟹股歩きの肉食爬虫類だったはず。四足なので高さは70センチ程しかないが長さは2メートルくらいになるんだったかな?


「そうですか。ここで時間ばかり費やしても仕方ありませんものね、名残惜しいですがそろそろこの国を離れましょう」


「まぁボスのご命令と在れば、ワリゲードンの群れの一つや二つ、オレのソウルウエポン "デストラクションメタルアーマー" で壊滅させても構いませんが・・・」


「いけません、ヴェイグディー。魔物ならともかくワリゲードンは、私達と同じこの世界の命ですよ」


「元より承知していますさぁ、ボス。だが、ボスの身に危険が降りかかるのであれば、俺は命令違反と罰せられたとしても同じ命であれ潰さしてもらいますぜ」


「そうね、貴方に危害を加えるなら私もそいつらをぶちのめすわよ」


(ねぇ)様まで。私だって戦えるんですからね。自分の身は自分で守ります」


「フフフ・・・とりあえず、やり合わないならヤツらの進路妨害で襲われない様に先に移動ですな。この旅はボスの好きなこの美しい自然を焼け野原にしない為の旅なんです、今は名残惜しくても使命が果たせれば好きなだけのんびりでますさ」


「そうですね、ヴェイグディー。それでは行きましょうか」


そう言うと、周りが一瞬で白い霞がかかり何も見えなくなる。


・・・


・・・・


・・・・・


眼を開けば木目の天井。私は生きている・・・?

いや、その前にどうなったんだっけ?確か、セバスと殺りあって、何とかソウルアーツの弾丸でセバスも公爵も倒した記憶があるが・・・。


「イッて!」


胸に手をやると何かが刺さった。見ると、胸の上でリリィがへばりついて寝ている。どうやら角の先が刺さったようだ。リリィめぇ罠はってやがったな。

だが御蔭で目が覚めた。どうやら夢じゃないらしい。

そういえば、何か夢を見ていた気がするが何だったけかな?何か凄く懐かしい気がしてたけれども、どうにも思い出せないな。


(あ、起きたのね?おはよう。どう、痛い所とかはない?)


(痛い所はある。どっかの誰かさんのが人の胸の上で寝てたからな。角が指に刺さった)


(え?ええ??あ、うん、ごめんなさい)


そう言ってモソモソと私の身体から移動する。いつもと違う神妙な感じでなんか調子狂うな。


(まぁそれはいいとして、アレからどうなったんだ?私は死にそう、というか死んだつもりだったんだが・・・)


(うん、アレから死にかけてたわよ。でもね、オタク侯爵がねユニークスキル持ちで貴方を回復させたのよ。ただし、左目と左腕を失ったけど)


(・・・はぁ!?)


侯爵ってそんな能力もってたのか。しかし、そのせいで目と腕を失わさせてしまったとなると申し訳ないな。

起き上がって腕や足を動かしてみる。至って普通に動かせた。

するとリリィがメガネを持ってきてくれたので礼をいい掛けてみる。此方も問題ないようだ。


(ああ、それでセバスと公爵は倒したんだよな?)


(ええ、倒したわよ。よく頑張ったわね、セバスがアレほど強いとは思わなかったわ)


(そうだな。純粋な武術では完全に負けていた。殺し合いというなんでもありの駆け引きと前準備があったからこそ勝てた、いや引き分けれた。あんなに強いなら色々教わりたかったな)


本当に勝ったというより残念な気持ちで一杯だった。少しだけ落ち込んでいると、ドアが開きナリンが入ってくる。


「あ、起きてる」


そう言うと近づいてきて人の顔を眺めている。ナリンはナリンで腕や足に包帯を巻いている。


「お早うございます。ナリンさんも敵を倒せたようですわね」


「うん、あれくらい余裕」


そう言うので包帯を巻いている個所を見つめてやる。


「余裕!」


すると少しムキになってナリンは言い返す。彼女は負けず嫌いと言うかそう言うキャラなんだな。

微笑ましく見つめていると何かを思い出したかのように会話を続けるナリン。


「あ、そうだ。ノアの服洗って置いた。着替えを手伝ったのは私とリィノー。侯爵はいなかったから大丈夫、ただちょっとリィノーがノアの胸揉んでただけ」


「はぁ?」


ていうか、この身体揉むほど胸はないのですが?


「でも大丈夫、リィノーは女だし、私もよく揉まれる」


それは、大丈夫の答えになってないのではないかい?ナリンさんよぅ。


「はぁ・・・まぁいいわ。減るもんじゃないし」


そう言いながらベッドに腰かけ直して、服装を確認する。下着の様な無地の白いワンピースだ。

すると、どこで会話を聞いていたのかエロ侯爵が叫びながら開きっぱなしのドアから顔面ダイブしてくる。


「ノアたーん!減るもんじゃないなら、僕も揉みたいんだな~~!デュフフフ~」


「お前が触ると減るわ!」


そう言って顔面に前蹴りをかましてドアの向こうの壁に叩きつける。


「デュフフフ・・・ノアたん・・・今日は・・・穿いてい、ぐぇ!」


侯爵が全てを言い終わる前に太ももに着けっぱなしになってたポシェットからトゲ付き金属バットを取り出して侯爵に投げつけノックダウンさせる。

そのドタバタ劇を聞きつけてか、貴族軍団とその取り巻きが現れる。

ドエムローが侯爵を介抱し何があったのか聞いているが、前後の記憶がないと答えている。よしよし、我ながらナイスヒットだ。

すると、ケスノーが現れて私の前に跪く。


「聖女様、お目覚めになられて何よりです。このケスノー、聖女様が満身創痍でお帰りになられた時はもう胸が張り裂けそうでした」


流石はケスノーさん、侯爵を放置プレイですか。貴方の使えるべき相手はあんなんでも侯爵だとは思うのだけれど。


「ええ・・・おかげさまで」


そう答えるとケスノーは両手を組んで祈りを捧げている。

やれやれ一気に騒がしくなったもんだ。

さて、とりあえず着る物をちゃんと着ていないので着替えよう。いつ侯爵に襲われるかわからないしな。


「さて、私着替えたいのですけれどそろそろ皆さん出て行ってもらっていいかしら?あ、ナリンさん一応あの変な魔法生物いないか確認してもらえるかしら」


「うん、大丈夫。最初に着替えをした時に1匹いたから処分しといた」


最初にいたのかよ!この世界の覗き技術ぱねぇな!おい。この世界は、一家に1人はナリンが必要な世界じゃないのか?


「ありがとう。それでは皆さま、後程ですわ」


そう言って部屋から追い払うと、ポシェットを確認して服を探してみる。とりあえず、囮捜査で買った服の一つを出してそれに着替えることにした。勿論下着も忘れない。

着替え終わると、私はリビングに向かう。すると見知らぬ者達が何人か作業をしていた。

リリィ曰く、皇王陛下直属の騎士達や、国の官僚らしい。本格的に調査をしているとの事。

その騎士達や官僚達は、私に気が付くと一斉に顔を見てくる。僅かに「おおぉ」という感嘆の声も聞こえた。

後から聞いた話によると、どうやらあの目玉の覗き見魔法生物は、盗撮魔法生物だったらしく映像が魔晶石に保存されていたとのこと。

その映像から、私がド派手な魔法を使ったり、セバスと戦闘をしていた映像がしっかりと残っており確認したらしい。

だが、アレだけの事をする黒眼黒髪の少女が実在するとは、にわかには信じられないといった状況だったようだ。

そこに私が現れたのだから、まぁ、ガン見するわな。

その後、私も聞き取り調査をされたが、かなり丁寧な扱いだった。

そりゃそうだ、映像見た後なら尚更だろう。下手に機嫌損ねて怒らせば骨も残さず消されるかもしれないと思うものな。私だってそんな相手の機嫌を損ねたくない。

その後、他の者が調査の手伝い等に捕まって、侯爵と二人きりになる場面があった。

眼帯と片方、空の袖がゆらゆら揺れる隻眼、隻腕姿は、中々どうして男っぷりが上がってるじゃないか。あの、オタクで変態な所を見せなければ等身が低くても、渋くてカッコイイと言って差し支えないだろう。

それから、侯爵はポツリポツリと公爵の事を語り出した。

彼女の名は、フーロゥ・アルファウトル。アルファウトル家の一人娘であり、若くして両親が亡くなった後は女一人で公爵として励んでいた。

かつてはテンプレーベード家とも交友が深く、歳も大きく離れているわけでもなかったので子供の頃はフー(ねぇ)とタク坊と呼ぶ中だったらしい。

面倒見もよく、民を思い、善政を敷き、またその外見の美しさも相まって民からの信頼も厚かった。

だがある時、彼女はとあるエルフに恋をした。そしてそのエルフと恋人関係になった物の、結局、家柄と何より、"命の長さ" という宿命に結婚は断られてしまった。

エルフは1000年をも長い時を生きる事もあるが、この世界のヒューマーは100年生きることは少ない。それが切っ掛けで彼女は、不老と求めるようになったのだとか。

それからというもの、彼女の行為は日に日にエスカレートし今に至ったとの事。


「僕がもっと気に掛けていれば・・・、あのエルフになんか恋させないくらいにイケてたなら・・・、或いはフー姉を止められたかもしれないんだな・・・」


そう、珍しく弱気にぼやいていた。


「侯爵様も珍しく弱気ですのね。でも私、"なら"、"れば"、の話でウジウジしている男の方を魅力的だなんて思いませんの。それは、かつての公爵様も同じではないかしら?」


そういうと、侯爵は目を丸くして此方を見つめてくる。


「デュフフ・・・驚きなんだな。フー姉にもかつて言われたよ。男なら "たら"、"れば"、なんて分からない可能性なんか妄想してないで、今、何をすべきかを妄想しなさいって」


そうだな。でも悲しいかな、その言葉の主でさえ "不老だったら" に捕らわれてこんな結果になったのだから。

私自身も、クリスティアの時も、そして向うの世界での彼女の時も、"こうだったら"、"していれば" って心の何処かで強く思ってた。

でも有り難いことにこの事件で私も吹っ切れたかな。これから何処かで心が弱くなればまた、"たら"、"れば"、って思うかもしれないけど、もう過去に負けて捕らわれる事はないだろう。

セバスとの決着も悲しい結果だったけど、今度、もし生まれ変わって会う事があるならば絶対に負けはしない。

根拠なんて何処にもないけどな!








さて、これにて、連続少女殺人事件編は終わりです。

初めてですかねー。こんなに真面目に長い文章を書いたのは。

そして不特定多数の皆さまに読んでもらえるようにメディアに投稿したのは。

つまり、私のアマチュアデビュー作でした。

急いで作ったり、無理して作ったところもあって、多分一から読み直したら直したい所だらけでしょうね。

絵の方も無理してロリキャラ風になるようにしたので、ばらつきが激しいです。

次の新編では少しキャラデザを描きやすくしようかなーとか、もう絵は捨てようかなーとか色々考え中であります。

また連続少女殺人事件編では女の子ばかりの登場でしたので、次の新編ではイケメン並べるのもいいかなぁとか画策中。

そんなアマデビュー作、飽きずに懲りずに読んでくれた皆様、良ければ次の新編もよろしくお願いいたします。

それでは、新編に向けて、暫しの休息を挟んだのちにまたお会いして頂けるならお会いしましょう。

サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ~


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