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ニュクスの灯ビザーファイル・黒蝶の羽撃きは、異世界の煌めき。  作者: 七枝 繁
イスー連続少女殺人事件編
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第二話 異世界バケーションのご案内

第二話 異世界バケーションのご案内




真っ白い世界。

これが死ぬって奴なのかね。死ぬ寸前も真っ白い世界にいたけどな。

平凡な家庭に生まれて、特に特色もない名前で、標準かそれよりも低めの生活水準で暮らしてきた。

そんなある日、俺は27歳の時に匣の試練で平安時代に飛ばされる。向こうで様々な出会いと別れ、試練を経て帰ってきた。

それからは一緒に平安時代を旅したマスターと共に沢山のミッションをくりかえしてディサイプルを卒業して一端のエージェントになった。

どうにかこうにか仕事をこなし何とか生きてみれば、いつの間にか今度は弟子を指導しする立場に変わっていた。

その間も色々あった。思い出したくない事、忘れられない事、逆にすっかり忘れてしまった事、本当に色々だ。

人生とは本当に分からないものだ。

人としての欲と享楽におぼれた事もあったし、人も人以外も結構殺してきちまった。そんな生き方だから普通には死なないとは思っていたけどなぁ。

普通に人生を振り返れば天国行きはないだろうなぁ。どちらかといえば地獄行きだろうな。

そんなものがあればの話だが。

・・・・・・

・・・・・

・・・・

・・・

それとなく人生を振り返ってみたけど何も起きないな。

なんか反省とかするお時間とか何かなんですかね?

うーん。

暇だな。

以前、俺のマスターの匣の力 "アカシックリーダー" を共有して "全知"って奴を覗いた事があったけど、死後の世界までは読めなかったな。

それ以前に情報が莫大で形容しがたいとんでもない何かだったので、脳や精神が壊れそうになって途中でやめたんだよな。

そういえば、美衣菜達はどうなったことやら、心残りといえば心残りではあるな。

今は元気な子ではあるがあの子は、目の前で親が殺される所を見てから、長いこと心を塞いでいたからな。

ふぅ、まぁ死者が生者の事を考えても仕方ないな。化けて出るわけにもいかんだろう。

うん?

何だろうか?真っ白い世界の中から誰かが近づいてくるのを感じる。

白髪の爺さんといったところか。まぁその姿と年齢とがあってるとは限らないだろうけど。


「どうやら気が付いているようじゃな」


 そう爺さんが気軽に声をかけてくる。


「死んだ自覚はあるが・・・貴方はここが何処だか知っているのかな?」


「ここか?そうじゃなぁ。お前さんが知っている知識と名称で言うなら "封神台" かのぅ」


「封神台・・・?そりゃー古代の中国で仙人や道士が国を交えて戦ったとかっていう物語に出てくるあの"封神台"?」


「まぁその物語は別としても、お前さんの言葉に合わせればそういう物と同じってことじゃよ」


「つまり、俺は肉体が滅んだあとここに魂魄を封印されたと。しかし何故?」


「それはじゃな、おぬしらの言う匣の力は魂魄に紐づけられている。肉体が生命活動を停止すれば、"形成因子(マトリックス″と呼ばれる情報も消散をはじめ魂魄が匣の力をつなぎ止められなくなり力は欠片に戻る。そうして次の宿主を探すのじゃ。つまりわかるじゃろう?」


「なるほど "匣の力" が "匣の欠片" に戻り、現世で "匣の試練" という名の災害を再度起こさせないように俺の魂魄ごと匣の力を封神台で回収したと」


「概ねそうじゃ、呑み込みが早くて助かるのぅ。それにお主の匣の力は過去の全てを入れても伝説級じゃ、そんな物が心無い物に渡ればどうなることか」


「じゃぁ、俺は永遠と閉じ込められるのか?」


「いや、そうではない。お主の匣の力は今後も必要になる力じゃ。ちょいとチートじゃが神代の力を使ってお主の肉体を復活させようと思ってな」


 おいおい、死者復活なんて事できるのか?まぁ匣の力を考えれば神代の技術ならできそうではあるが。


「それは、大丈夫なのか?普通、死者再生なんて話、ろくでもないことしかおきなというのが相場だが・・・」


「そりゃ中途半端な技術でやるからじゃ」


うーん。死んだ手前、実は生き返りましたー。とかありなのだろうか?なんかそれはそれで戻りづらいぞ。特に紗彩や美衣菜にはなぁ・・・。


「とりあえずわかった。では肉体ができるまでここに閉じこもっていればいいんだな」


「それなのじゃが、実は現世の頑張りぶりがお主の周りから評価されていてな。いわゆるバケーションをという話でまとまっててのぅ」


 はぁ?死んでからバケーションってどういうことなのだろうか?


「意味がわからないのだが?」


「うむ、わしも分からんのだが勝手にどっかで決まったものは仕方あるまい。じゃがバケーションじゃ!きっと楽しいぞ!」


なんだか爺さん一人でテンションあがってるな。


「肉体がないのにか?幽霊にでもなるとかか?」


「ああ、そうではない。地球に戻るには大変じゃが別の世界ならまた話は変わる。どうじゃ!スマホ一つで綺麗な景色が見れる地球などではなく、まったく未知の世界じゃ。素晴らしいバケーションだとは思わんか?ドキがムネムネしてくるじゃろぅ!」


 爺さんテンション高いな。そんなに異世界にいきたいのか?確かに、こんな所にこもりっきりじゃーそうなりそうだが。


「まぁ、体ができるのにどれだけ時間かかるかは知らないが、この真っ白な世界に長いことこもってたら普通は発狂しそうだしな」


「そうじゃそうじゃ、きっと楽しいぞ!なんなら人種や性別もかえられるぞ、幾らか制限はあるが。おお!お主の形成因子なら中々の美少女になれそうじゃ」


「いや・・・そこはいじらんでいい」


「そうか? ほうほう、そうじゃったお主の力は共有だったな。姿形すら制限なく共有できるんじゃったのぅ。それなら確かに新鮮味は薄いかのぅ」


「ああ、まぁそんなところだ。無駄に体のサイズや作りが変わると動きずらいしな。いろいろ面倒なんだよ」


「うむうむ、わかった。それじゃー交渉成立じゃな。では暫し眠るのじゃ。次に起きたころにはあちらの世界じゃよ。向こうでもお前さんの準備はさせておく」


「ああ、なんだかトントン拍子で半ば選択肢がない様な状況で決まってしまったが礼を言う。ありがとう」


「いやいや、かまわんよ。これがわしの仕事じゃからのぅ。ああ、それと向こうでは匣の力は使えんからのぅ」


「わかった。あ、そうだ最後にあんたの名前を聞いていいか?」


「わしか?わしは、姓は姜、氏は呂、字は子牙、じゃよ。フフフ・・・それでは素晴らしいバケーションを」


姜子牙!? なるほどな、あの伝説の釣り好き御仁か・・・。

そこで俺の意識は今一度消える。





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