第二十六話 なんだかとってもなんだかなぁ
第二十六話 なんだかとってもなんだかなぁ
さて、何とかしましょうと言ったものの馬車は横にコロリと転がっている。
何か、都合のいい魔術か道具でもない物かなぁと考えているとガルヴァスがやってくる。
「あの馬車を建て直せばよろしいのですかな?」
「ええ、何とか元に戻さねばいけませんわね」
「某にお任せください」
「何か方法でも?」
「フフッ、伊達に肉体を鍛えている分けではありません。"金剛力士"」
おお、なんかマッスルなオーラを漂わせている。マッチョスキルなんてあるのか。
ガルヴァスは、馬車に近づくと地面に接触している屋根の縁を掴むとスキルで向上した筋力だけで馬車を立て直してしまった。
「おお、すごいですわ。サー・ガルヴァス」
「何のこれしき」
そう答えると自慢げにボディビルダーの様にポーズを取っている。まぁ金属の鎧来てるから肉の鎧は全然見えないんだけどね。
すると、先ほどのアニマーの少女が馬車の中に入って行き、暫くしてからアニマーの女性と共に馬車から出てくる。
「ふぅ。中々酷い目にあったわ。だけれど、その御蔭で面白いモノに会えたわね」
「はい、爆炎魔法を使うのに嬉々としてゴブリンを撲殺する黒髪黒眼の少女・・・」
「面白いわね、私の使用人にならないかしら?」
「デュフフ、相変わらず人の物を欲しがる癖は治らないんだな、リィノー卿」
背後から突然現れ会話を始める侯爵。どうやら知り合いというか名前に卿をつけているという事は爵位持ちの貴族だな。
恐らく今回の定例会の参加者だろう。アルビノと思われるアニマーのメイドも条件に一致するしな。
「これはこれは、タクルゥティオ卿ではありませんか。もしや、彼女は卿のお手付きかな?」
「デュフフ、そういう関係はやぶさかではないが、残念ながら雇っているだけなんだな」
「ほほぅ。なら、私が頂いても構わないかな?」
「デュフフ・・・彼女は安くないんだな。それに、ほら、その子のマスターでもある」
そういうと、リリィが飛んできて頭に乗っかる。
「ソレは・・・ゲェ、ブルースカイアークドラゴン!」
「そういう事なんだな。確か、リィノー卿の所は数年前にその種の成体にちょっかいだして街が一つ壊滅したはずなんだな」
「あ、ああ・・・」
リリィの姿を見て完全に青ざめてるリィノー卿と呼ばれる女性。子供の姿ですら怯えるとは、相当こっぴどくやられたようだな。
「それで、侯爵様?あちらの方は?」
「デュフフ。彼女は、リィノー・スターガ。クロフィー州を治める、伯爵なんだな」
「伯爵様でしたか。大変失礼いたしました。私、タクルゥティオ家のメイドをしております、プロテノア・スパングルと申します。以後お見知りおきをお願いしますわ」
「ほぅ、これは面白い。名前があの伝説の歌姫と同じいい、凶暴なドラゴンすら懐かせる能力といい、ますます気に入った。是非とも私の愛玩メイドにならないか?」
げ、コイツ愛玩とか入れてきやがった。完全ヤベェ奴じゃねーか。
「申し訳御座いませんが、今はタクルゥティオ家に雇われる身。それにそれ以外に誰かにメイドとして雇われるつもりはありませんわ」
「ふむ、私の元に来れば、タクルゥティオ卿には与える事の出来ない耽美な世界が待っていると言うのに・・・」
なんなんだよ。領主ってのはロクな奴がいないな!おい。
「リィノー?ナイト・ドエムローを助けたほうがいい」
少し心配気にアルビノアニマーメイドが声を掛ける。
そう言えば、単騎奮闘してた騎士がいたな。はて、そう言えばすっかり忘れてた。生きてはいると思うが。
「あん?ああ、アイツはアレくらいじゃ死なないだろう?ドエムロー此方に!」
「ハッ!」
おい!このドエムローどこからともなく現れたぞ!?でも、どう見てもボロボロじゃないか。頭から血を流してるし。哀れになるくらいの忠義心だな・・・。
「まだまだ、私の護衛は可能だな?」
「ハッ!このドエムロー、リィノー様の為ならこの身朽ち果てるまで戦えまする!」
おいおい、比喩じゃなく本気で朽ち果てるまで頑張るつもりか?もうお前フラフラじゃないかよ。
あ・・・ドエムロー倒れた。生きろドエムロォォォーーー!
(何、心の中で変な叫びしてるのよ~?)
(あのドエムローの忠義心を見て心が叫ばないのか!?とりあえず、叫びたくなるのが様式美というものだろう?)
(ねぇ、ノアちゃん、貴方大丈夫?だいぶ汚染されてるわよ?)
(そんなまさか・・・あの伯爵にSAN値持ってかれた?)
そんなこんなで、ドエムローの忠義に心を打たれていると、サラっと倒れるドエムローを無視して侯爵達が話をまとめる。
何?この人達、倒れる部下をほっといて話をまとめるとか鬼なの?悪魔なの?
(・・・流石の私もぶっ倒れているのを無視されてる彼を見てると思うところがあるわね~。でも何故かしらこの騎士、幸せそうな顔してない?)
そんな幸せそうな顔をしているドエムローは、何故かこちらの荷馬車に乗せられることになる。
目的地が一緒なので共同で州都ロンガースプリング向かう事が決まり、どの荷台に乗ろうが一緒っちゃ一緒なんだけど・・・。
なんというかね?釈然としないよね?
そんなドエムローの余りに雑な扱を哀れに思い多少の手当てをするのだが、その結果手当て中に目覚めたドエムローに何故か聖女様と拝まれる羽目になる。
もう、なんだかとってもなんだかなぁ。
困難で全ての黒幕という疑惑のついたアルファウトル公爵家と対峙できるのだろうか?
やっぱ絵を描いてると文字が追いつきませんね・・・。
でも頑張ります。次回もどうぞよろしく。




