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ニュクスの灯ビザーファイル・黒蝶の羽撃きは、異世界の煌めき。  作者: 七枝 繁
イスー連続少女殺人事件編
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第十話 バケーションが長期休暇へ

第十話 バケーションが長期休暇へ



翌朝、日が昇り惰眠をむさぼっているとノックの音が部屋に響く。

んー?もう一旦、掃除などの為に部屋を出ていく時間にでもなったんだろうか?

そんな事をぼんやり考えていると、宿屋を切り盛りしている夫婦の娘の声がドアごしに声を掛けてくる。

それに応えドアを開けて話を聞く。どうやらリーミアが訪ねて来たようだ。

リーミアには少し待っててもらう事にして、軽く身だしなみを整え下の階に向かうことにする。


「おはようございます、朝早くから申し訳ありません」


昨日とはリーミアから切迫した気配を感じる。


「おはようございます。リーミアさん、今日はいかがいたしました?」


「その・・・。仕事の話なのですが、ノアさん朝食済んでいなければ外で朝食を取りながらお話させて頂いてよろしいでしょうか?」


うん?やっぱりなんだか変な感じだな。そう思いながらリーミアの案内でカフェに向かう。

途中、慌ただしく走っていく兵士や、緊張感のある騎士達とすれ違う。

リーミアだけでなく街の様子も何処か昨日よりも緊張感がある気がするのは気のせいだろうか? 

そんな様子を見ながらたどり着いたところは何故か昨日ガルヴァスが朝食を取っていたカフェであった。

そんなに人気のカフェなのかね?まぁ確かに昨日カルヴァスが食べてた大盛りベーコンエッグセットはおいしそうだった。

中々の繁盛しているようで店内席は埋まっている。寒くも暑くもない丁度いい気温なので気にせず店外席へ向かう。

何を頼むか色々悩んだ結果 "ランドリザードの厚切りベーコンとエッグベネディグトセット" を注文した。

注文を待っている間にも騎士が忙しそうに行きかう姿が目に映る。昨日のカルヴァスが優雅に食事をしていたのを考えると別世界だ。


「なんだか、今朝は騎士や兵士の皆さんの往来が多くて街が慌ただしく見えますわね」


「はい、その事なのですが・・・」


どうやら話ずらそうにしている。ふむ、そんな返答に困る世間話だったであろうか?

ふむ、これには何かあるのだろう。そもそもリーミアが訪ねて来たこと自体が不自然である。

さてどうしたものか。自分の状況、会話内容、リーミアの様子、街の雰囲気から推理して思いつく限りで話を促してみる。


「うーん。そうですね。例えば街で何らかの事件が起きていてそれに関して私が関わっている、あるいは関わってほしい。そういう話でしょうか?」


「え?ええ。そうですねぇ」


突飛な発言が来たのでリーミアは一瞬驚き、そこから覚悟を決めたのか事のあらましを話し出す。

ここ数か月、見目麗しい少女が失踪しその後、凄惨な死体と変わり果てて発見されるという事件が連続して起こっていた。

警備団、騎士団、ギルドの一部も協力し総力を挙げて犯人を捜していたが見つけることはできていない。それ以前に犯人の目星すらつかない。

そんな中、昨日とある少女に護衛を騎士団が付けていたが、その騎士が切り刻まれた死体となってあがった。

そして今朝、その騎士が護衛していた少女もまた凄惨な死体に変わり果てて見つかったとのこと。

その騎士はリーミアも良く知った中だったという。

昨日ガルヴァスが仕事だと私に言って冒険者ギルドから慌てて出て行ったのも恐らくこの件だろう。

もしかするとカルヴァスとも仲が良かったのかもしれないな。普段の様子や戦い方もあんな感じのカルヴァスがあそこまで顔を歪ませたのだから。

うん?話を聞きながら色々な情報をかき集めてると、リーミアが何やら声を詰まらせている。

どうやらそういう事件があるから気を付けて下さいという話ではないようだ。

そういえば仕事とか最初にいっていたな。なるほど、予想が正しければ確かにそういう仕事を頼みづらいな。私でもさらっと言える気がしない。

高い能力があるのも知っていて、それがそういう仕事についても大丈夫なように自分自身が指導した "美衣菜" だとしても。


「話はわかりました。なるほど、私の予想が正しければ仕事というのは囮捜査ですか? そうですね、そういう仕事であれば受けさせて頂きますわ」


目を大きくして驚く。


「え、ええ!? そ、そうですが、よろしいのですか?」


「ええ、そのかわり、お代はタンマリ頂きますわ」


そういって微笑み、お金のサインを右手でするとリーミアは肩の荷が下りたのか顔をゆるませる。

そうして先ほどより穏やかな雰囲気になった中でゆっくり食事をしながら詳しい話を聞く。

狙われる少女は、可愛らしい、以外にも "珍しい" という特徴があるとのこと。ハイエルフや、アニマのアルビノ、貴族の少女などである。

確かに私の黒髪黒眼も珍しいとの事で丁度いいということか。ついでに戦闘能力もある。

そして、その条件に当てはまるクリスティアも囮として参加しているとの事。ただしまだ犯人は引っかかってくれないようだ。

年齢がバレているのか、戦闘種族とのことで避けているのか、あるいはたまたまなのかは不明だが。


ちなみに依頼元は、騎士団でもギルドでもなく侯爵だ。これは遠慮なくお金を請求できそうだ。

ちなみにギルドの様に完全な請負報酬ではないとの事なので、経費として色々買って請求するのもありかもしれない。

それから今後の事をまとめながら、食事をすませ店をリーミアと出る。

そしてそのままショッピングに向かう。特に少女らしい服が置いてあるお店の通りに。

それからのリーミアのテンションはアゲアゲで思った以上に振り回された。「あらあらまぁまぁ、これかわいいですぅ」とか「キャーっかわいーいー」

などとさっきまで悩んでいた姿とは別人で声をあげ私を着せ替え人形にして楽しんでいた。

なんとなく慣れてくるとこれはこれで楽しい物である。向こうの世界でもそれなりに "萌え" は理解ていたつもりだしな。

いくつか、ザ・ロリ系少女というような服をいくつか "経費" で買った。

今日の衣装は無難に黒のふんわりシースルーブラウスにフリルのついた黒に赤のアクセントのあるスカートに決まった。

履物もキュートなそれっぽい靴にして、リーミア行きつけの美容院で髪型もいじる。

最終的に簡単なツーサイドアップとなった。ついでに自分でも出来るよう教わった。

へぇ。中々に馬子にも衣裳といったところか。全身を鏡で自分を見て思う。

元々この造られた身体自体そこそこの容姿であるから、ドレスアップすればかなりの物になるな。

そんな事を考えながら、リーミアと侯爵の館へと向かう。

館にたどり着いて思う。侯爵は、間違いなく侯爵閣下であった。一体これだけのサイズに住む必要がどこにあるのだろうか?

セレブ街を抜けてようやく着いた館。だがそこはあくまで館の門であり建屋の入口ではない。そこからまた歩くのかと思うとうんざりする程の広さの庭だ。

そんな顔が出ていたのかリーミアがくすりと笑う。


「あらあらまぁまぁ、そんな顔をしなくても大丈夫ですよぉ」


そういうと馬車を指す。なんと門から屋敷の入口まで専用の馬車があるのだ。権力をもった金持ちのやることは違う。

そんなこんなで馬車に乗り、建屋までいき、リーミアの顔パスでまで侯爵の部屋まで向かっていく。

廊下には調度品のツボや花瓶、大きな皿が飾られている。

どれもビビッドカラーの様に美しい発色をしながらも目をチカチカさせない配色で金の装飾が施されている。

どれもこれも職人技が見受けられる一品一品で、それが美術館のように並んでいて壮麗な通路を生み出している。

そう言えば庭の植物たちの配色も美しいながらも強調しすぎず、もの侘しさをさせずと絶妙な配置であったのを思い出していた。

侯爵は美術に置いて秀でているのだろうか?それともただ管理者のセンスがいいだけなのだろうか?

そんな事を考えながら沢山のメイドと如何にもセバスチャンな執事に挨拶をし、リーミアに案内されるままに侯爵の部屋に入る。


「デュフフ、ご苦労なんだな、リーミ・・・」


侯爵は振りながら声をかけるが、こちらを見ると途中でねぎらう言葉を止める。何やら侯爵の時が止まってしまったかのようだ。


「ごきげんよう、侯爵様。先日は御世話になりました、今一度厚く御礼もうしあげますわ」


それっぽい言葉を掛けながらにこやかに、スカートの裾をつかみ礼をする。


「はぁはぁ・・・なんてキュートで可憐なんだ!!!ノアたーーーん!」


突然、叫びながら侯爵がダッシュ&ダイブをしてくるのをつい反射で足を前に出して防ごうとする。思った通りに侯爵の顔面は足に直撃してしまう。


「あ・・・」


いや、事故ですよ?挨拶した直後突然襲ってくるとはおもわないでしょう?しかも顔面ダイブとか。


「デュゥフフ・・・はぁはぁ、ノアたんの顔ドン(蹴り)はぁはぁ・・・たまらん・・・」


こいつはやべぇな、ガチで喜んでやがる。その横でもう一人息が荒いやつがいる。リーミアだ。


「ああ・・・いいでわぁ。可憐な少女に甚振られる侯爵様。たまらないですぅ・・・」


・・・おいおい、どっちも救えない変態だな?

そんな様子を見ていたセバスチャン風執事が、なんの躊躇もなく侯爵の首根っこをつかんで引きずり元いた椅子に座らせる。


「これは大変失礼いたしました。これは当家の主の悪い病気でして、お気になさらないでください」


気になりすぎるわ!と心の中で突っ込んでおく。


「デュフ、デュフ、デュフフフ・・・」


侯爵は、未だどこかの世界から帰ってこない様子である。これで仕事の話ができるのだろうか?心配すぎてしょうがない。

そんな不安を抱えているとまた一人部屋に入ってくる。


「あ、ノアだー。あ、かわいいー」


そういって入ってきたのは、同じく可愛い服を着たクリスティアだ。

肩まで掛かる白髪を左右で小さい三つ編みにしていたりと私同様オシャレしてるのが見える。


「こんにちわ、クリスティアさん。そのフリルのついた服もいいですね。似合っていますわ」


「そ、そうかな?ボクみたいな武骨な娘が来ても大丈夫かな?」


「ええ、素敵ですよ」


不安そうに見えるクリスティアを安心させる為に微笑んでみると、クリスティアは少し恥ずかしそうに顔を赤くしてる。

まぁもともとピンクの肌でそう見えてるだけかもしれないが。


「デュフ、デュフフ、これだけでも依頼した価値はあるんだな、デュフフフ・・・」


「それでは、依頼の成否にかかわらずお代はタンマリいただけるという訳ですわね?」


「デュフフ、もちろん。僕を誰だとおもってるのかな?他の領主とは違うんだな。"ただ税金を回収して" 懐を肥やしてるわけではないんだな。ノアたんは、ここに来るまでに見てきたはずなんだな」



結局 "たん" 呼びにされた。この手の訂正はめんどくさいので華麗にスルーするしかない。

しかし、ここに来るまで?ほほぅ、あの口ぶりからすると・・・。

ふむ、あるいは、あの通路に並んでいた品々は侯爵が高級調度品を産業として手がけていた可能性が出てくるな。


「あの美しい焼き物達ですか?侯爵様が手掛けているとは知りませんでした。驚きですわ」



「デュフフ、驚くのは僕の方なんだな。僕は "ここに来るまでに見たはずなんだな" としか言ってないんだな。なのに普通なら只の金持ちの見栄としか思わない調度品をこの街で僕が興した産業として見抜き答え返してきたんだな。10代半ばにして武と魔の妙技だけでなくその慧眼、本当に君はスパングルを名乗るのに相応しいんだな」



むう、少し不用心にしゃべりすぎたか?だが、小娘姿の私を見ても侮らず会話の中で推し量ってくるとは、この侯爵ただの変態ではないようだ。

そう考えていると、隣でクリスティアが裾を軽く引っ張ってどういうことなのか分からないから教えてほしそうな顔で見つめてくる。


「あらあらまぁまぁ、普段はこういう話には全然興味ないクリスが気になるなんて珍しいわね」


「みんな分かった風に話し進めて仲間はずれっぽいんだもん。ノアだってわかってるのに・・・」


「それでは不肖、この館の筆頭執事セバスがご説明しましょう」


そう話に入ってきたのは涼しい顔で軽く首根っこを持って侯爵を片手で引きずれる程の剛腕の持ち主、セバスチャン(仮)であった。いや、どうやら驚くことに(仮)でなく、セバスまでは確定した老紳士であった。


「通常、貴族という方々は領地を管理しそこから得られる税金だけでやりくりをするので、自らが産業をおこしたり商業をすることはまずありません」


「うんうん、それはボクも知ってる。お金と治安を収めるのが仕事なんだよね」


「ですがタクルティオ様は、その常識を覆し産業を興しました。しかもお金を持っている貴族、豪商などの裕福層を狙いとしたブランド高級調度品をです」


「あ、それで他の貴族からは変わり者扱いされているっていう噂があるんだ」


「そうでございますね。一部ではそう言う話がありますが、それでもブランド中でも特に高級品をほしがり寄ってくる貴族も後を絶ちません。もともと侯爵は爵位の中で上から2番目という立場もありますが、今ではそれ以上の理由で親交を深めたいと思う裕福層は多いでしょうな」


「なるほどー。それとノアがどう関係してるの?」


「はい、それはですね。ここにノア様が来られたのは初めてでございます。それにどこまでノア様が事前情報があったかは分かりませんが、案内についてきただけの少女が調度品を確認し、タクルティオ様が一言おっしゃっただけでその内容を理解しここに来るまで得た情報で先ほど申し上げた答えをまとめて返したという事実に感服されたという事でございますね」


「へぇーそうなんだ。そっかーあのお皿とかそんなすごい物だったなんて全然わからないしね。ノアは凄いや」


セバスの説明を本当に理解してるのか、してないのか分からない答えを返すクリスティア。

ただ、本当に頭が良ければここで素性がばれないようにすっとぼけるんだろうけどな。

生憎そこまの頭脳や役者力は持ってないのでつい喋ってしまう。しかし、セバスの言ってる通りであるならやはりこのオタク侯爵はやはり侮れない。

何より、金持ちを狙った商売ってのは相手の資金力を奪っている事に他ならない。もちろん物が存在し相手も喜んでいるのだから問題はないのだが。

うん、侯爵は敵にまわさないほうがいいな。

・・・うん?あるいは、"敵にまわさないほうがいい" という答えを再認識させるためにわざわざこの話題を持ってきたのか?

だとすると、とんでもなく面倒な相手に出会ってしまったものだな。たまたまの可能性も捨てきれないが。

まぁ、それだけの聡明さがあればこちらにも無体な事は言ってこないだろう。いや、無体な事を言わなくても勝手にこっちでやってしまうように差し向けられる可能性もあるな。


「デュフフ、そんな分けでだ、それ程の天才美少女を危険に晒すのは心苦しいのだが、こちらとしてもかなり厳しい立場なんだな。何せ隣国の男爵家の娘が被害に遭ってしまった」


「はい、既に被害者は16名。クアイトヒル騎士団、イスー警備団の信頼も揺らいでおります。このような危険な依頼は主同様ワタクシも心ぐるしいのですが、その腕と慧眼を以て犯人を捕まえてほしいのです」


「うむ、犯人と確認取れるのであれば生死は問わないんだな。どうかよろしく頼む」


「まかせてよ、侯爵様!ボク達はそんなゲスな悪党には負けないんだからね」


クリスティアは強きにやる気満々だが、果たしてうまくいくのだろうか?そもそもガルヴァスもあんなんだが、その腕は並々ならぬ物があるだろう。

そのガルヴァスが在籍してる騎士団が遅れを取っている。少し・・・否、思った以上に厳しい捜査になりそうだ。

私はクリスティアとは対照的にネガティブな思考で依頼を正式に受ける返事をした。

この依頼がこの世界で流れる大きな渦に飛び込んでしまう切っ掛けとは知らずに。

そうして、私のバケーションは休暇届をだして何処かにバケーションに行ってしまうのだった。


挿絵(By みてみん)




はい。日曜に進める予定が、うっかり午後から棚架先生の「転生したら剣でした」を読んでいて何もしませんでした!しょうがないじゃん!本でいつも買って読んでて凄く大好きでしてね、その続きがこの小説家になろうであるんですよ?もう気になってしょうがないじゃん。すぐ読み終わるだろうと思ったけど、思いきり続きが長いのね。睡眠時間削って読んだけどまだ、終わらないのね。どーしましょ。

今日はだから、読むのを我慢してすすめたわけですよ。文は既に終わっているので絵を一から描いてダッシュで終わらしたのですけどね。もう日付をまたいでしまったのです。

文章のチェックもかなりザルなので後でチマチマ直します・・・。

何か変なの見つけたら教えて下さると助かります。

ちなみに初めて予約掲載つかってみまーす。上手くいきますように。

ちなみに、この時のプロテノアの衣装がプロローグのカラー絵の服です。

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