浸水の恐怖
12時になり、日付としては七夕になった。
ケーブルテレビの川の様子を見て、
念のため、本格的な避難をするために、
1度家に戻ろうと思った。
家に戻ると、もう家の道路は完全に浸水していた。
車で通ることは不可能になっていた。
そのため、僕は歩いて家に向かった、その時、
水は僕のすねの辺りまで来ていた。家に着き、
とにかく、少しでも大事なものは机などの
高いところに置いた。そのときは、せいぜい
浸水したとしても、1階が少し浸水するくらいだろう。
と、甘く判断していたからだ。
猫も、連れていくか、迷ったあげく、2階に
避難させ、エサと水をしっかり置いておくことにした。
連れ出せなくもなかったが、道路は浸水して
いたため、2匹の猫を同時に抱えて出て、
逃げ出したりして、何かあってもという
気持ちがあったためである。
今思えばこの判断が正しかったのか、そうで
なかったのかはわからない。
しかし、すねの辺りまでの浸水でも、
僕は恐怖を感じた。テレビで見ていたら、
大したことないだろうと思っていたことが
現実に起こると、人間わからないものだと、
強く感じた。
猫たちには『頼んだぞ』と、伝えた。
そのとき、どちらの猫とも目がしっかり
合ったのを覚えている。
落ち着いたら絶対助けにいくと誓い。
その場を後にした。
しかし、浸水は止むことなく進んでいた。