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少女は根に持つ

作者: 螺旋さかな

最後まで読んで頂けたら幸いです。最後の方に展開詰まってるので。

いじめに賛成してるわけではありません。

「ねぇ?後村さん、廊下の真ん中歩かないで?汚いから。」

「……」

また別の日。

(あれ、教科書が無い……)

「後村さん、ひょっとして教科書忘れたんじゃ無い?歴史の先生、忘れ物にはすごく厳しいよ?(笑)」

「前田さん、私の教科書知らない?捨ててない?」

(前田さんめんどくさいし、聞きたく無いけど、本当どうしたらいいんだろ。)

「私がぁ、泥棒みたいなぁ?決めつけないでよぉ。後村さんっ、酷いっ。」

(前田のぶりっ子、マジで気持ち悪いんだよなあ)

「ほんと、前田ちゃん可哀想〜〜〜」

取り巻きの女子達が騒ぎ出す。

誰も私の事は想ってくれない。

下唇を噛み締める。目をぎゅっと細める。

もう、もう、居なくなりたい。すっとこのまま消えたら気持ちいいだろうな。

何かにこの感情をぶつけたくて、何かに、この気持ちで傷つけたくて、結局夜になれば、リスカしてしまう。何だろうか、もうリスカでは物足りない。泣きながら毎晩私は泣くのだ。明日が来ませんようにと。

鏡に向かって笑ってみる。自分が惨めに見えるのだ。

「休みだいよ。行きたく無いよ。」

翌朝布団に篭って父に言った。

「何でだ!」

「前田さんが、いじめてくる……。」

言ってしまった。そして、涙がドバドバ出て来て止まらない。

「いじめなんて、何処にでもあるぞ!そんなんじゃ社会で生きていけないぞ。」

親にすら見放されたようである。絶望しかない。もう死にたい。死にたいよ。

這うかのようにして学校に行った。私はその日から、前田さんが何をして来たかを全てノートに書くことにした。いつか絶対に復讐してやると。授業中ならば、先生の前では良い子ぶっている前田さんにバレない。

復讐心で私はめでたく高校生になった。高校では、私は地獄のような中学時代からは想像もつかないような華やかな生活だった。

高校2年生が始まった時。5階から見下ろす桜も味がある。

「編入生を紹介する。」

ドアが開いて、見覚えのある女子が入って来た。

「前田きりかです。よろしくお願いします。」

前田さんは、教室をキョロキョロとしたが、イメチェンした私には気付かなかった。

ついに来た。復讐の時が。私の身体は喜びに悶えた。

休憩時間、皆んなは前田さんに興味津々。

「ねぇ、後村ちゃん、前田さんの所行ってみようよ。」

「うん、いいよ。」

「久しぶりだね。前田さん。覚えてる?私の事、散々いじめてたことをさ。」

教室の空気に電気が走る。

「も、しかして、後村さんっっ?!」

「前田さんが、ぶりっ子して、クラスの男子とかに媚び売ってたことも言おうか?って言っちゃった〜。」

「違う、私、そ、そんなことしてねぇよ!後村ぁぁ。調子にのるな。」

前田さんは短気ですぐに怒るっていうことは中学時代に嫌という程実感した。

「ほら、これが証拠だよ。さらにさらに♪♪私のこのノートに、悪行書いてあるよ。」

私はノートを広げてみせた。

「なっ?!」

前田さんは半泣きになって教室を飛び出した。皆んなはクスクス笑っている。このクラスは私のもの。前田さんの居場所なんて、作ってあげない。

翌日から、ノートに書かれたいじめを、そのまま前田にしてあげた。トイレに閉じ込めたり、お弁当捨てたり、教科書を焼いたりした。

「後村さん……。本当にあの時は悪かった。すみません!だから、だからもう辞めて……。」

「前田さん、あのさあ、中学時代に、私が辞めてと言っても辞めなかったよね?だ〜か〜ら〜。辞めないよ。(笑)」


三学期になっても、まだまだいじめる内容があった。

「あれ?前田さん休み?」

「明日まで溜めようか。」

翌日。

「ねえ、何で前田さんの机に花があるの?」

皆んな私を見てくれない。何でなの?誰か教えて。前田さん、生きてるよね?

先生が入って来た。

「前田が自殺した。誰か心当たりはないか?」

いつも私と一緒にいる子が、手を上げて

「私、後村さんが前田さんいじめてたの、知ってます。」

と言ったのだ。

それに続いて、ぞくぞくと、流石にやり過ぎだったよねとか、前田さん、最後の方可哀想だったねとか聞こえて来た。

「みんな、加担したじゃん!」

ついつい私は叫んで居た。

「え?だって、加担しなきゃ後村ちゃん、私たちの事いじめてくるでしょ?」

「てゆうか、8割後村ちゃんが1人でしてた感じだよね。」

皆んなの態度は手のひらを返したようであった。

「そんなっ。私、私は!ただただ!たださ、前田さんがして来たことを、そのまま、そのまま!しただけなのに。どうして。どうじでぇぇ、前田は可哀想で私はそうじゃないの……。何でなの!!!」

私が泣きじゃかる周りでクラスメートは冷たい顔をするのだった。

「後村。職員室来い。」

私はしょぼしょぼと、先生の後をついて行った。復讐の為に今まで生きて来たのに。復讐のせいで社会的に死ぬのなら。私はある決心をした。

(前田さん♪まだ復讐は終わらないんだよ。(笑)地獄の果てまで追いかけるから。)

職員室から帰って来た。当然ながら居場所なんてない。でも、それでいいのだ。居場所なんて要らないから。

ノートを持って窓へ寄る。よく見えないけど、桜の冬芽がパンパンなのだろう。上を見る。空は青く青く澄んでいる。それが私の最後に見たものとなった。すっと目を閉じて身を全力で乗り出す。

前田さん、逃げるなんて許さないからね。

いじめは、双方にダメージが行くので、するべきではありません。

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― 新着の感想 ―
[一言] いじめる人で、こんなに弱い人はいませんよ? あの人たち、神経がかなり図太くて、世界は自分のために回っていると思っている人たちですから。 そして、反省することを知りません。 まず、自殺なんてし…
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