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最後は本音

作者: えるむ

 成人式、久しぶりに地元に帰る事になった。

 小学校の連中と会うのも久しぶりだ。

 

「おお! 久しぶりー。」


 周りにはそんな声で溢れていた。

 式自体は恙なく終わり、その後はどうせ人も居るんだしと、小学校の同窓会になった。

 艶やかな着物姿から一辺、女の子連中はお色直しをしている。

 まぁ、これが普段着なんだろうけども……。

「わぁ、ノブ君じゃん、久しぶり!」

「えーと、のどかちゃん?」

「そうそう、卒業式以来じゃない?」

「あはは、そうかも……綺麗になったねー。」

「やだー、ホントー?」

 そんな他愛のない会話を続けていた。

 ちなみにのどかちゃんは僕の初恋の相手だったりもする。


「今日は久々に集まった事だし、騒ぎましょー!」


 そんな乾杯のセリフと共に一斉に飲みだした。

 成人式後だからという特別感もあったのだろう、皆もハメを外していたように思う。


「それで、オレ働いてるんだけどさー。あんまり稼げてなくて……。」


 そんな会話も聞こえ出した。


「私、結婚するなら、年収1000万以上の人がいいなー。」

「マジそれー。そのくらいないと怖くて生活していけなーい。」


 その時はそんなもんなのかとどこか別のところから見ていた。


「のどかちゃんも、やっぱ結婚するなら年収それくらい無いと不安?」


 興味本位だった。


「そうだねー。あるに越した事は無いけど……正直分かんないや。」

「確かに分からんかも……。」


 そんな会話をした5年前。


 今では社会人として、普通に働いている。

 年収は、300万に行くか行かないかといったところ……。


 ここで一つの線引きが出来た。


「なぁ、ぶっちゃけ年収ってどのくらいよ?」


 5年前とほぼ、同じ面子での同窓会でそんな話題が上がる。


「そんなの聞くもんじゃねーだろ。」

「そういや、成人式の後の同窓会じゃ1000万ないと不安とか、女連中が言ってたな。」

「あはは……働いてみると難しさを実感するわ……。」


「そういえば、のどかちゃん、結婚したんだって?」


 え?


「相手は何とト〇タ社員らしいぜ、しかも院卒でエリートまっしぐら。」

「そう、なんだ……。」

「あそこは主任クラスになれば年収1000万行くらしいしなー。」


 ……。


 その後の会話は頭に入ってこなかった。

 僕の大好きだったのどかちゃん、どこぞのエリートと結婚してしまったらしい。

 やはり、お金が無いと幸せは掴めないのだろうか……。


 自己嫌悪と鼻っ柱を折られた感じを背負いながら、今後は生きていくのだろうか。


 宝くじでもあたんねーかな……

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