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井の中の井守さんに聞いてみた

著作

『信長の妹が俺の嫁』1-4(5は4月予定)

『戦国犬姫!~信長の妹と新婚ライフ~』

『戦国妖狐綺譚~もののけ巫女と武田の忍び~』

『太閤Re:志伝』

『徳川料理人の事件簿』(小説家になろう公式WEB雑誌N-Star)


著者ページ(ノクターンのリンクになるので、18禁です)

xmypage.syosetu.com/x4361o/

(お願い)

*質問内容には、すべてブッチャケちゃってください。

お答えするのに問題がありそうな項目は、お答えいただかなくて結構です。


「まずはお名前をお願いします」

――井の中の井守です。「いのなかのいもり」と読みます。普段は井守とだけ呼ばれています。


「書籍化作品までにどんなジャンルの作品を書かれていましたか?」

――小さい頃にアルセーヌ・ルパンの二次小説をちまちま書いていました。ただし取るに足らないもので、まともに書いた作品はデビュー作までありません。


「デビュー作と、その経緯など。どのような形でデビューが決まりましたか?」

――『信長の妹が俺の嫁』という、なろう(ノクターンノベルズ)ではじめての作品にオファーをいただきました。投稿して3日目から複数のレーベルさんから依頼が来るようになり、そのうちの一社に出版をお願いすることになった訳です。


「デビュー作を書き始めた時、ぶっちゃけ今みたいな人気がでると思っていました?」

――ぼくにとって『信長の妹が俺の嫁』執筆動機は第一に「日本語の練習」でした。「日本語を物語という枠組みでアウトプットしていけば上手くなるんじゃないか」という発想です。

 そんな訳ですので、人気が出る出ないはまるで考慮の外にありました。

 しかし投稿以降15日連続で日刊1位、4日目で月間1位ですぐに年間1位という塩梅だったので、存外に人気が出ているなとは思っていましたけれども。


「どんな点を売りにしようと思って書きましたか?」

――とにかく「日本語を書く」ということが至上命題でした。商業で定期的に仕事をしているなかで分かったことは、「日本人でも日本語が書けない/分からない」という方が存外に多いということです。

 なので、基本的にできるだけ平易な文章で。しかし時々難しい語彙を使ってレパートリーを増やして貰う。そんな作者⇔筆者で成長できるような作品にしたいと思いました。

 ただそれ以上に当時のぼくの頭のなかにあったのは、日本の家族モデルの崩壊と、日本における生死観の変容でした。

 元々はなろうで書こうと思ったのですが、「家族」ないしは「男女」という課題を書くとなると絶対に「性」を書かなければいけない。そうなると当時はミッドナイトもなかったので、ノクターンで書かざるを得なくなった訳です。

 そしてノクターンという場所で、現代のジェンダー論を踏まえた上で「家族」を描き、その単位における「生と死」を書くこと。それがぼくの命題となりました。


「周囲の評価、評判は、その売りと一致しましたか?」

――幸いにしてぼくの読者さんたちは、ぼくの書きたいことを理解した上で楽しんで下さっています。

 そういった方々の存在があるこそ、なろうの公式WEB雑誌で書く機会を頂いたりしている訳ですから感謝の念しかありません。

 ぼくは日本語を「音」で捉えてしまうので漢字の間違いが極めて多く、更新する度に誤字報告をお寄せいただくのですが、そんなやりとりも非常に嬉しいものです。


「普段から、面白いものを書くためにどんな工夫をしていますか?」

――①その物語で訴求したいテーマを明白にすること。②それを描くために文字を費やすこと。

 この2点を大切にしています。読者に自分が何を訴えたいのか。それを明白にしないまま書くことは、時間と労力を無駄に使うことだと思っています。


「読書はどれぐらいの頻度で読んでいますか? 月に何冊ぐらい」

――ライトノベルや小説の類は編集者に紹介されたもの、あるいはツイッターなどで交流している方の物は基本的に購入して読んでいます。

 ただ語学上の問題で、邦書よりも洋書の割合が多いかもしれません。その場合は社会科学や自然科学(基礎科学)の書籍ばかりで、たぶん読者の方々には面白みに欠けると思います。

 日々が慌ただしいため、月に読めて10が今のところ限界です。


「読書量は書く際の面白さに比例すると思いますか?」

――読書量は比例します、という立場です。

 人間は自分の知ること以上のものは書けませんから、どれだけの言い回しを知っているかで叙述の精度も変わってきます。執筆速度も大幅に違ってくるでしょう。そういった意味において、面白さに比例します。読者に物語を正しくプレゼンできるようになるのですから。下手くそなプレゼンが聞くに堪えないのと一緒です。

 ただ、むやみに読書をすることは無駄な行為です。量だけこなせばいいと言う訳ではありません。物語の主題を自分なりに理解し、プロット単位に分解してみる。そして作者がプロットの点と点をいかなる線(叙述)で結び付け、読者の心を揺り動かそうとしているのか――これを解析する必要があります。

 そこまで行って、はじめて読書をしたということになる。ぼくはそう考えるので、なかなか読書をこなすことはしんどい作業です。

 いずれにせよ、まずは自分のお気に入りの本を引っ張り出し、上記の作業を踏まえて分解した上で「自分はどのような事象の連鎖に感動を覚えて楽しいと感じるのか」を正しく認識する必要があります。

 そこに至ってはじめて、読書というものが価値を持っていくように思えるのです。そうすると、「たのしかった」「つまらなかった」という表層的な評価から抜け出し、書評が可能な地平に踏み出せます。

 その力が叙述に直結するのは、言うまでもありません。自分の作品も突き放して見れるようになるわけですから。


「どんな本がお勧めですか?」(影響を受けた本や、参考になる資料など)

――邦書(et 訳書が出ている)ものに限り回答します。

 アクションについては内田弘樹先生の本。集団戦闘描写については佐藤大輔先生の本。ミステリについてはモーリス・ルブラン先生の本。歴史小説については山岡荘八先生を押さえておけばよろしいと思います。ファンタジーについてはJ.K.ローリング先生を応用すれば問題はないと考えます。ただ、SFや恋愛小説については評価を下し難いところがあります。

 しかしながら、ぼくは小説家を目指す人には是非「歴史学の本」を読んでいただきたいと思うのです。どうでもいい書評家や評論家や経済人が書いた疑似歴史本ではありません。一次史料に立脚し、専門的な教育を受けた歴史家が書いた著作を、です。というのも、そこには過去を生きた「生の人間」が(「史料批判を行った歴史家のフィルター」を経た上で)描かれているからです。

 小説というものは難儀なもので、「人格」を書かねばなりません。人間ではなく動物や石ころを主人公にした小説もありますが、あれも人格化を付与した上で物語の構成単位に組み込んでいます。

 従って、物語が「人格」を描くという営みであるからには「人格のモデル」をどれだけ作家が内在化できるかにかかっていると考えます。そういった意味合いにおいて、過去の人々が描かれた「歴史学の本」は小説家を志す方に有用だと思うのです。


「面白いものを書くために必要な質って何が考えられますか?」

――先の読書の項でも触れましたが、「自分が何を面白いと思っているかを理解しているか否か」が肝要であると考えます。自分が面白がっているものでなければ、相手を歓楽の輪に引きずり込めないからです。


「デビュー後の今、デビュー前の自分にアドバイスするとしたら、どんなことを言いますか?」

――兼業で作家業をすると時間的に窮地に追いやられるので、その辺りもしっかりと考慮しなさい。


「どんな環境で書いていますか?」(自宅か・喫茶店か。また、どのようなハード・ソフトを使用してるか)

――基本的に、ポメラで打ったものをワードに落としてから打ち直すという工程を踏んでいます。いつもは自宅で執筆しますが、時々は外に出て釣りに行ったり虫を取りに行ったりするついでにしていますね。


「どうやってネタを考えているの?」

――その時々、自分に関心があるテーマです。友人とカフェや自宅で議論をしている時に派生したテーマを転用したりもしています。たとえば「異性間における共依存は是か非か」などといったように。


「自分の中で小説の書き方の軸は決まってますか?」

――自分が関心を持ったテーマで、自分が面白いと思うギミックで、しっかりと人間を書く。これが基本軸となります。


「読書以外の趣味と、その趣味が作品へ影響している可能性はありますか?」

――色々ありますが、「アクアテラリウムを作ってそこで生き物を累代飼育する」のが主たる趣味です。そのため物語を書く際の箱庭(環境)は極めて重要視します。一体どうすれば生き物が生きて行けるのか、それを考えることは小説においても無縁ではないのです。

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