川井昂さんに聞いてみた
著作
傭兵団の料理番 1-4刊 以下続刊
著者ページ
https://mypage.syosetu.com/344698/
「まずはお名前をお願いします」
川井昂と言います。読み方は「かわいこう」。その前のペンネームは語利人。「かたりびと」と読みます。
読みにくくてごめんよ。前はゴリビトとかゴリジンとか呼ばれてたんだ。
あはは、笑えよ……。
「書籍化作品までにどんなジャンルの作品を書かれていましたか?」
ファンタジー全般は色々と。復讐系、隠れ最強系と書いてました。まんまベルセルクとゼロの使い魔の影響です。あと.hackも好きでちょいちょい影響を受けてました。
書き始めたのがモバ〇ーケータイ小説サイトが最初だったので(年齢バレるかな?)十年近くは書いてます。そこら辺の影響もありますね。
「デビュー作と、その経緯など。どのような形でデビューが決まりましたか?」
デビュー作は今も書いている「傭兵団の料理番」です。
執筆当時、鉄鍋のジャンと異世界食堂と信長のシェフに夢中だった自分が、なろう作品として悪魔合体させたのがこれです。とか言いたいけど、単純に復讐系とか隠れ最強系を書いてたんですけど、気力と趣味に合わないのでなんとなく手を出したのがこれです。
そしたらある日、いつもは一日500PVで嬉しい状況なのに一日300000PVと知らせが来て、「とうとうバグったか!?」と驚いたら読者の方から「日間ランキング一位おめでとうございます!」とメッセージが来て、あれよあれよと年間と累計以外で素晴らしい順位をいただき、それが落ち着いたら今度は書籍化打診のお知らせが来ました。
それでヒーロー文庫さんと縁がありまして、そちらで書籍化させていただきました。
「デビュー作を書き始めた時、ぶっちゃけ今みたいな人気がでると思っていました?」
あるわけない! 人気が低空飛行の状態で、書きたいもんだけ書いてて楽しいなぁとか暢気に構えてマイペースで書いてましたから、いきなりこんな風に注目されるなんて夢にも思いませんでした。
そもそも人気が爆発した理由だって明確にわかってませんし、どうしていきなりこんなことになったのかすら理解できてません。
「どんな点を売りにしようと思って書きましたか?」
主人公はとにかく料理です。主人公は一切戦いません。料理技術と根性があるだけの地球人を意識しました。料理が主目的なのに戦えたり軍団を率いたりすることができない、しない、やろうとも思わない主人公を書くことに集中してます。これで戦えたりしたら、料理番としての趣旨が台無しで作品がゴミ以下になることはわかってましたから。
それ以外、戦いや権謀術数といったファンタジーの花形は他のキャラに任せ、それぞれの視点で書いています。
だから、主人公は地球の常識から見た世界を、仲間はファンタジーの常識から見た世界を、と書き分けています。
「周囲の評価、評判は、その売りと一致しましたか?」
概ねは。しかし、前後編で同じ場面を別の視点で書いていると「くどい」や「しつこい」、「文字稼ぎ」と言われることも多いです。
そこは自分の作風をきちんと押さえられてなかった、未熟な技術力と文章力の露呈なので、反省をしてます。
「普段から、面白いものを書くためにどんな工夫をしていますか?」
とにかく妄想する。空想する。書きたい場面を脳内に浮かべ、アニメ調で頭の中で上映して、それを小説作品に創造する。常に頭の中を空想だらけにしてます。
なので普通に友達と過ごしてても仕事をしてても「ズレてるアホ」扱いです。
「読書はどれぐらいの頻度で読んでいますか? 月に何冊ぐらい」
だいたい5冊くらいかと。それもマンガとか、WEBで読んでる小説の書籍版ですね。なろう作品以外のライトノベルは、時間がなくて読めてません。
もっと読みたいんですけどねー。時間がない。仕事とかで時間がない。
「読書量は書く際の面白さに比例すると思いますか?」
全く比例しません。全然関係ないと思います。「だったらこれだけ読んでる俺は小説家になれるな!」とか思う人のために言いますがなれません。たくさんのなろう作品を読んで傾向を知ろうが、アニメ化作品を見て原作を読み漁ろうが無駄だと思います。そんなことをしてる暇があったら、ちゃんと勉強や技能を身に付けて社会で働いた方が自分や世間のためになります。
ただし私論ではありますが、この「全く関係ない」は一部の人だけ当てはまりません。ほとんどの、大多数の人は関係がないという話です。
それは「大人になって当たり前に捨てる空想妄想癖を絵や文章に創造すること、子供の頃に当たり前にあったものを捨てることができなくなってしまうほど」の作品に出会った人が、読書量の面白さの比例に当てはまるのではないかと思います。
ようするに小説家になろう、小説を書こう、マンガを描こう、絵を描こう、創作の世界に入ろうと強く思う作品に出会わない限り、読書量による経験値は入らないかと。創作家の土俵に上がりたくなる、絶対に上がる、そして土俵に上がった人だけが、恩恵を預かるのではないでしょうかね。
それだけの作品に出会い、そこからどれだけ出会うか、それが大切じゃないかと思います。
「どんな本がお勧めですか?」(影響を受けた本や、参考になる資料など)
ファンタジーの基礎なら「ゼロの使い魔」です。転移、ハーレム、戦闘、文章といった基本はこれでわかるかと思います。
戦闘の基礎は「されど罪人は竜と踊る」と「我間乱」。これを読んでから、戦闘における体の動かし方や使い方を学べましたし、それまで自分が書いていた戦闘描写がいかに安っぽくて薄っぺらいかがわかります。
文章の個性は西尾維新先生の作品を読めば良いかと思います。読めば読むほど、狂言回しの独特さ、作者としての個性の大切さを知ることができます。
そして私が、小説家になろうで作品を書こうと思ったきっかけの「ナイツ&マジック」。これが一番のおすすめです。これを書いてる時も録画したナイツ&マジックのアニメを見ながら書いてる。
「面白いものを書くために必要な質って何が考えられますか?」
それは自分にもわかりません。あえて言うなら時間かと。
書いてる時間、考えてる時間、妄想している時間、新しい要素を頭にインプットしてる時間、それをアウトプットしてる時間……使った時間の多さと濃さと使い方が、作者の個性と面白さに繋がるのではないかと思います。
「デビュー後の今、デビュー前の自分にアドバイスするとしたら、どんなことを言いますか?」
とりあえず、地の文をめんどくさがるな! と言いたいです。書かれてないことは存在しないことだから、地の文をサボってたあの頃の小説は何を伝えたいのかさっぱりわかりません。
あと前編後編の視点変更はいいが、クドくならないように工夫しとけ! とも言いたい。
「どんな環境で書いていますか?」(自宅か・喫茶店か。また、どのようなハード・ソフトを使用してるか)
基本的に家のデスクトップで、一太郎を使って書いてます。外で書くときはノートパソコンで一太郎を使ってます。
結論、一太郎は使いやすい。
「どうやってネタを考えているの?」
仕事をしてて肉体と精神が疲れて意識だけでも逃避したくなったときに、体と頭は仕事をして意識は頭の隅っこで妄想してる感じです。そこで延々と小説の続きを考えてます。
よく考えたらこれ、苦痛を得ることでトランス状態になるシャーマンと変わらん。某喧嘩マンガみたいだ。
「自分の中で小説の書き方の軸は決まってますか?」
主人公やキャラには、必ず得意なことと絶対にできない苦手なことを作ります。何でもできて何でも上手くこなしてしまう。それをやっちゃうと他の全てのキャラの存在意義を奪ってしまいます。
なので、何でもできるキャラは作りません。その欠点を補う仲間や敵を必ず作る。その仲間や敵にもできないことがあって、それを補って……それを繰り返すとあら不思議、一作品のキャラがほとんどできちゃう。
「読書以外の趣味と、その趣味が作品へ影響している可能性はありますか?」
食道楽と剣道ですね。食道楽は言わずもがな、食べるのが好きだし食べる知識を得るのも好き。最初の頃はちぐはぐな知識で書いてて困ってたけど、改めて食の歴史や知識を勉強すると、毎日のご飯が楽しいし外国のご飯を通じて世界も知ることができて楽しいです。
剣道は子供の頃からやってて、四段まで取りましたが膝の調子が悪くて辞めてます。しかし、ここで学んだ骨や肉の使い方、力の流れ、気の流れ、礼節や直感、知識と言ったのものはクウガのみならず、作品の戦闘シーンにおける骨子になってます。
あとバイクの趣味もあるから、いつかどこかでこれも生かせればなぁと思ってる今日この頃。
ストックが尽きました。
あと、インタビューお願いするのに精神パワーが要るので、応援メッセージ募集中です。