柳野かなたさんに聞いてみた
著作
最果てのパラディン 現在3巻まで刊行。以下続刊
作者 小説家になろうページ
http://mypage.syosetu.com/491287/
「まずはお名前をお願いします」
柳野かなたです。
肥前さんとはTwitterでお話して、ネット将棋で対局などしたご縁がありまして、アンケートのお話を頂きました。
あまりこういうことを語るのは得手ではありませんので、どうかお手柔らかに。
「書籍化作品までにどんなジャンルの作品を書かれていましたか?」
こまごま空想するだけしたり、書きかけて数ページで放り出した小説などはありますが、完結させた小説は『最果てのパラディン』がはじめてになります。
「デビュー作と、その経緯など。どのような形でデビューが決まりましたか?」
TRPG仲間のKさんが小説の新人賞にチャレンジなさって、いい結果を出していらしたことに触発されまして。
私も「こんな感じで何かに打ち込んでみたいな、書いてみるかな」と思って『最果てのパラディン』を書き始めました。
『最果てのパラディン』は、新人賞応募作を作る前の、軽い腕試しというか、「作品を完結させる練習」のつもりでした。
三週間くらい仲間内でああだこうだ言いつつ楽しく書いてたら、どこで情報が広まったのか、ある日突然ポイントが一気に跳ねて。
沢山の方に読んでもらえるようになって、感想が増え、ランキングを駆け上がって、追って書籍化の打診なども舞い込んできて……大混乱でしたね、当時。
ロケットに縛り付けられて打ち上げられるような気分、といえばいいのか。
かなり混乱気味でしたが、友人たちにも「書籍化するにしろ、来た話にそのまま食いつくな、精査しろ、できれば条件交渉」という風に言われまして、
何社さんかのお話を伺って、若干の条件交渉めいたものもして(緊張で心臓が破れそうになりました)、最終的にオーバーラップ文庫さんよりの書籍化、ということになりました。
「デビュー作を書き始めた時、ぶっちゃけ今みたいな人気がでると思っていました?」
小説を書いて『小説家になろう』さんに載せる以上は、やっぱり誰もが一度はするであろう、
「人気が出てー、ランキングのってー、書籍化打診とかきちゃったりしてー」みたいな他愛ない空想は一通りしました。
しかし同時に、「現実的に考えれば、まぁ、無いな」とも思っていました。
『無職転生』が好きだったので「自分なりの異世界転生ものを」とはじめましたが、習作ということで趣味に走り、ガチファンタジー系要素満載、筋肉賛美、女の子は出ない。
どう考えても私がイメージする『小説家になろう』で人気になる小説像を、私の小説は満たしていませんでした。
だから「感想がいくらか来れば嬉しいなー、無反応はやだなー、ていうかそもそも最初の章を終わらせられればいいなぁ」と。
……まさか瓢箪から駒、灰吹きから竜が出るとは。
テンプレしか受けないだなんて言われていますが、『小説家になろう』はとても寛容な土壌なのだと学びました。
「どんな点を売りにしようと思って書きましたか?」
『無職転生』のような「生き直し」「家族愛」要素。
ゲームっぽくない、古風なファンタジー要素。
あとガチの神官主人公はあんまり見ないので、ちゃんとした信仰でも書いてみるかなぁ、とかそんな感じで薄ぼんやりと考えていた気がします。
それと萌えをうっちゃるぶん、感動したり燃える展開重視で。
「周囲の評価、評判は、その売りと一致しましたか?」
おおよそ一致していたように思います。
私の拙い筆でも、書きたいものがなんとか伝わったということで、とてもありがたいことだと思います。
「普段から、面白いものを書くためにどんな工夫をしていますか?」
お話を書く前に大筋を友人たちにSkypeチャットで相談する。
一話書き上がったら、投稿前に可能な限りはSkypeチャットで友人たちに見せて指摘をもらう。
友人頼みではありますが、これが自分にとっては最大の工夫でしょうか。
人間、やはり自分だけの視点では限界がありますし、意見を交わせる相手というのは大切です。
グループ内で明確なルールなどがあるわけではないのですが、
「出された話をいきなり否定はしない、いいとこ褒める」
「悪いとこ、どうかと思ったとこを指摘する時はやんわりと」
「自分好みの展開を提案するときは押し付けにならないように」
という感じの暗黙の了解のもと、互いに相手を思いやりつつ意見を交わし合うことは非常に有益です。
友人は大切にしましょう。
かくいう私も苦い決別とか何度かやっちゃったので、ホント大切にしましょう……
「読書はどれぐらいの頻度で読んでいますか? 月に何冊ぐらい」
漫画も含めて月二十冊……くらいでしょうか。
映画などを見たくなって、DVDなどをレンタルしまくる時もあれば、ゲームを遊びまくる時、TRPGやボードゲームをやりこむ時もあり、冊数は一定しません。
しかし、なんらかの物語に週に一度も触れない、ということはありません。
「読書量は書く際の面白さに比例すると思いますか?」
まったく正比例はしないと思いますが、知識の幅は引き出しの数につながります。
エンターテイメントに必要なのは「現実っぽさ」であって、厳密な「現実」じゃない、ということを忘
れさえしなければ、基本、有益なのではないでしょうか。
「どんな本がお勧めですか?」
TRPGのルールブック。
好きな世界観のを買って、あちこちで何度かセッションしてみようぜ! TRPGはいいぞ!
「面白いものを書くために必要な質って何が考えられますか?」
面白い物語が大好きで、そんな物語に触れて、「自分ならああする、こうする」と、しょっちゅう空想する。
そんな、物語が大好きなひとであることでしょうか。
「デビュー後の今、デビュー前の自分にアドバイスするとしたら、どんなことを言いますか?」
愚直であれ、と。
一つのことに集中して、正しい習慣を保ち、まっすぐに進む。
愚かしいほどの真っ直ぐさというのは、ちょっとした機知などよりも、ずっと大切だと思います。
「どんな環境で書いていますか?」
基本的には自室のデスクトップですね。
ポメラなども一つ購入してみたのですが、どうも出先だと上手く集中できない気質のようで。
ただ校正などは近所の喫茶店でやるほうが集中できるので、そちらで。
校正ゲラが届くたび、コーヒー1杯で赤ボールペン片手にいつまでも粘っててスミマセン……
水のおかわりとかして本当にスミマセン……
「どうやってネタを考えているの?」
いろいろな物語に触れる。
何か思いつく。
友人に話す。
刺激をもらって話を広げる。
広げた話に更に意見をもらう。
これを繰り返して、「思いつき」を「ネタ」にしてゆきます。
「自分の中で小説の書き方の軸は決まってますか?」
まだ小説を書き始めて2年にもならない、ド新米です。
さっきから色々と語ってしまいましたが、まだまだ試行錯誤の最中です。
もっと色々と経験して、身につけてゆきたいな、と。
「読書以外の趣味と、その趣味が作品へ影響している可能性はありますか?」
TRPGの影響は恐ろしく濃いです。
TRPGはいいぞ! (二回目)
今回でこの企画も25回目を迎えました。
人それぞれ考え方も違うものです。
まだまだこれからも、色々な方の協力をお願いして、創作の一助となればと思います。