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青井硝子さんに聞いてみた

著書

「異自然世界の非常食フェアリアフィリア


著者ページ

http://ncode.syosetu.com/n0340bw/


ブログ:「車上生活で本を書く 青井硝子のケイトライフ」

http://garassan.blog.fc2.com/


twitter:「手動うそあらすじ生成機『がらっさん』」

https://twitter.com/garassan


アニメ:「ひじょーしょくっ!」(旧三章後、再転送された現代)

ニコニコ

http://www.nicovideo.jp/watch/sm25712898

ようつべ

https://www.youtube.com/watch?v=fel20XTGrCQ

■「まずはお名前をお願いします」


 青井硝子と申しますです。


 由来は単純。おジャ魔女どれみどっかーん40話の細田守監督回で出てきた、魔法を使わない魔女のくれた青いビー玉からです。




■「書籍化作品までにどんなジャンルの作品を書かれていましたか?」


・大学生が、見た目八歳のかわいい女神さまの庇護下となって起業したり株で儲ける話とか、

・小学生女子が戦争で中二病こじらせたおじいちゃんのもとでリアルモンハンする話とか、

・プログラマーが過労死後、黄泉の国で人を黄泉送りにするプログラム開発に携わる話とかとか。


 つまりジュブナイルですね。



 もうちょっとさかのぼれば、


・浦島太郎が北朝鮮にわたって反革命する話とか、

・桃太郎が南北問題の当事者になって麻薬のシンジケートを作る話とか、

・かちかち山のタヌキがウサギの手引きでお爺さんと泥沼の代理戦争やる話とかとか。


 つまり二次創作ですね。




■「デビュー作と、その経緯など。どのような形でデビューが決まりましたか?」


 デビュー作は「異自然世界の非常食フェアリアフィリア」です。


 旧三章の書きはじめの頃に、エンターブレインのF田さんとS原さんがヒナプロジェクトさんを通してコンタクトを取ってくれました。

 あまりにも嬉しかったので、そのままそれを本編の内容に組み入れちゃったくらいです。


 当時わたしは下高井戸の駐車場に住んでおりました。自作の軽トラハウスで。

 長い放浪生活の果てになけなしの金も尽き、そろそろバイトでもするかーみたいな状況でした。

 書き始めてから二年弱。先行きの見えない状況下で、「まあこのまま書き続けて40までに芽が出なかったら樹海に行くかー。あーでも樹海に行ったら行ったで何事もなかったかのようにサバイバルして暮らしそうだしなー自分」とか自嘲してました。


 だからこそもう嬉しさはひとしおですよね。




■「デビュー作を書き始めた時、ぶっちゃけ今みたいな人気がでると思っていました?」


 思ってましたし、常に思ってますよ。

 だって面白いでしょう。書きながら大爆笑してましたもん。セックス相撲のところとか焼き肉さんのよしゅあきくんとか特に。


 というか自分の発明品の販促のために書いているので、人気が出ると思わなければ書き始めませんし、プロット段階で捨てちゃいますですよ。


 だって失礼でしょう。自分がつまらないと思っている小説を人に何時間も費やさせて読ませるの。たとえそれがロハででも、ですよ。


 だから絶対面白いです。

 合う合わないは別にして(笑)




■「どんな点を売りにしようと思って書きましたか?」


 友人に言わせれば、「普通の人にはない経験がお前にある」っぽいので、そこを引き出すように書きました。あと「20代としての時代の最前線」には常に立っているように書きました。

 意識高い系(笑)


 あとはそうですね、様々な二次創作的展開のフックを作りました。

 地元ラブなんで、ついでに伊勢うどんを普及させようとしました。

 かわいい妖精さんたちがたくさん出てきて、かわいいモンスターさんたちもたくさん出てきて、ほんわからぶな日常系の作品に仕上がったと思います。




■「周囲の評価、評判は、その売りと一致しましたか?」


 いやー、一致しないすねー(笑)


 というか自分の感覚がズレているのはそこそこ自覚していたのですが、「絶対面白いってこれ絶対王道! まちがいない! だって自分で読み返してみて超楽しいもん!」と思って書いた作品なんですよ? 


 それの評価が「超コア向け」って。「マジキチ」て。


 「えーー?」ですよ本人。ねえ?



 でも一周回ってほめ言葉かな、と思えるようになりました(笑)


 あ、あと歴史小説作家二十四年の大ベテランの先生に献本してみたんですが、超長文で返信が来て「ずいぶん昔の安部公房にこんな感じのものがなくはないけれど既視感もない。前例がないから評価のしようがない」とか「一般文芸だったら純文学に入れるタイプの作品」と評価されました。まさかとびっくりしました。


 本当、みなさんお忙しい中読んでいただいて感謝感激です。





■「普段から、面白いものを書くためにどんな工夫をしていますか?」


 ビジネスプランを練ることですね。

 超楽しいことを思いついたときは、大体金もうけに絡めるようにしてます。そうすることでぐっとリアリティが増しますし、段取りを組むのはプロットを立てるのと似ていますし。


 んで、実際に実現する段階まで練ったあとに「ん~、これ法に触れるなー」とか「あ~手持ちの資源が足りねー」とか、諸般の事情で実現不可の烙印を押されてしまったら、もったいないので小説に書くようにしてます。


 たとえば最近の例ですと、日光にあてずに育てた白いニラがめちゃくちゃ高価格で取引されてるんですね。手間暇と技術がかかるからなんですけれど、それをコンテナと紫外線LEDとクエン酸とハイポで自動化できないかなーとか詰めてました。これは栄養供給の面で詰め切れていないのでお蔵入りしているネタですね。


 実際に実践しようとしているネタとしては、新型グリーンハウスを用いた四季成りイチゴ栽培をおとーさんハウスの横に建設、とかですね。

 非電化冷蔵庫 http://www.hidenka.net/hidenkaseihin/frig/frig.htm と一本かまどと中空シリカと赤外線反射素材を組み合わせて、蓄冷蓄熱に巨大コンパネ水槽を使って。

 でもこれ過去にやろうとしたら、県庁と揉めに揉めて。んで残念ながらお蔵入りしています。

 1000万単位の資本がいるので、金稼いだら山梨県北杜市あたりでもいっかい着手したいですねー。あ、kickstarterとかで応募してみたら面白い?





■「読書はどれぐらいの頻度で読んでいますか? 月に何冊ぐらい」


 最近はとんと読んでませんねー。今まで溜めたものを吐き出すのに忙しくて。


 実はなろう作品をまだ一作も読んでなくて。

 だから文脈がわからないんですよ。


 異自然世界の非常食を書き始めたのが、「異世界」で「一人称」で「毎日二回更新」すればランキングの上に行けるよ、やれればの話だけどね。と言われたからなんです。

 残念ながら途中でランキングのためだけに更新するのに飽きて、月間5位内には入らなかったんですけれどもね。内容を充実させたくて更新頻度を落としたことが敗因だったと分析しています。


 あ、でも編集さんから「読んどいてください」と渡された四冊、オーバーロードと幼女戦記とこの世界がゲームだと俺だけが知っているとログホライズンだけは読みました。


 最近読んで面白かったのは、コミケで買った「ペットショップは俺の食糧庫」ですかねー。古代魚とか食べてレポートしてるんです。あれは最強のインパクトでしたね。美味しいらしいですよ。

 あと自分の中で聖書レベルなのが、同じくコミケで買ったどうかんやまきかくさんの「詳説 どれみと魔女をやめた魔女」ですね。あれは本当に密度濃い。筆者の「好き」が伝わってくる解説本です。




■「読書量は書く際の面白さに比例すると思いますか?」


 量かー。量は相関関係低いんじゃないかなーとか。

 もちろんそれまでの人生のどこかで片っ端から乱読した時期があることは前提としてですよ。

 面白いものを書けるようになるための条件は、以下の三点だと思っています。


・自分の人生を変えるほど「面白い!」と思う作品に出会う(自分はドーキンスの『利己的な遺伝子』と、ホーガンの『星を継ぐもの』でした)

・その領域に至ろうとして書き続ける(至らなくても大丈夫。書き続ける)

・出たアイデアは自分で実際にやってみる


 最後の一つは余分かな?

 いやでも実際やってみないとわからないことってあるし。


 魔法のような実現不可のものでも、たとえば工業高校に行ってロケットエンジン間近で見たりとか、自衛隊の広報の人にアポ取ってP3Cに乗せてくれと頼んだりとか。すごかったっすよ乗り心地。でっかい鳥類が出てきたら作中で詳述します。


 あとこれは企業秘密ですけれども、面白さの種が詰まっている自己総括・自己批判の場があるんですよ。しかもほぼ女性専用。そういうアブナイ場所に顔を突っ込んでみたりとか、軽トラハウスを何の断りもなく開けてきた宗教者に討論吹っかけてみたりとか。キャラの心情なんかの造詣を深めるには一番手っ取り早いっす。


 そういう独自経験って面白さの種じゃないっすかね? やってて超楽しいですしね。




■「どんな本がお勧めですか?」


 それは自分の作品を作るときに、ってことですよね?


・骨子を形作るときは関連した論文とか、科学エッセイとかを。

・肉付けは自分の大好きな古典から。

・皮を張るなら最近流行りのもので、うまくくるみつつ。



 これをフェアリアフィリアで言うと、


・骨子は

http://www.jstor.org/discover/10.2307/2462573?sid=21105567239351&uid=2&uid=4&uid=3738328

 とかから。マイオティックドライブ(分離比ゆがみ)による蚊の性比歪曲についてです。

 これを基本骨格として、「ロマン主義を一切排して個人が利己的振る舞いを見せる時、ラノベ様のヒロインとの共生はあり得るのか」を意識しながら書いてます。うそです。これを骨子にしたら勝手にそうなっただけです。


・肉付けは『星を継ぐもの』です。ただ、まだまだこの域に至りません。月まで続く階段を上り始めたばかりです。そもそも主人公ぜんぜん探索しませんしね!


・皮張りに参考になったのは「ネギま!」の出席簿と、各種エロ同人ですね。


 そうそう! 読み返してみてびっくりしたんですけれども、冒頭20話くらいまでが尊敬するロリエロ作家さんのオマージュになってて、「あー無意識でやっちゃったんだなこれー」とか思いました。

 それって鬼畜系なんですけれど、最後一ページで少女が熟女に成長してて子供三人産んでるんですよ。そこで彼我の立場が逆転してて「早く稼いでこいよオラー」って言ってるんです。んで読後感がなぜかすっきり!というやつ。




■「面白いものを書くために必要な質って何が考えられますか?」


 質、とは才能の意味? それとも性質?

 面白いもの、の定義もよくわからないかも。


 なので、場合分けしました。


・面白さが「共感あるあるネタ」に依拠する場合の才能:

  →親が親として一般的に機能していて、一族に特殊な遺伝子や脳みそを持たない。


・その性質

  →職につきつつチマチマ書いて、新人賞とかでデビューし、埋め草作家からスタート。小ヒットを重ねて職業作家になる。何か人類共通の悩みにとことん焦げ付けばヒット作をバンバン生み出せるようになる?


・面白さが「奇抜で斬新」に依拠する場合の才能:

  →親が親として完璧に機能し、あるいは全く機能せず、一族に特殊な遺伝子や脳みそを由来する。


・その性質

  →職に就けず、あるいは就かず、自分独自の宗教と生き方を確信し、あるいは確信せず、その魂を彫刻のように彫り出しながら書く。一発でかいのを当てたら続きがなかったり、全く売れないと思ったら死後評価されたりする。社会とのすり合わせに力を注ぐことを前提として、ありとあらゆる条件がうまく整った場合、ヒット作をばんばん出せる大作家に。



 まあこれだけじゃないんだろうけれどもとりあえず四つ。

 あー間違ってる可能性の方が高いので真に受けないでくださいね!(予防線)

 どうせ立証できないんだからと手づかみの感触を超適当に書いただけですから。




■「デビュー後の今、デビュー前の自分にアドバイスするとしたら、どんなことを言いますか?」


 確定申告を三年前からし続けて、赤字申告しまくっとけよー。

 特許費用も全部そこに突っ込んどけよー。

 読者を愚弄するようなストーリーは絶対に受けないからやめとけよー。

 師匠と兄弟子の話をよく聞いとけってのー。特に一章終了直後ー。

 原子力発電の交付金を日本人でない町長がポッケナイナイしようとしてるところなんて鉄火場すぎて手に負えないに決まってるだろうが首突っ込むのやめとけってー!



 でもそれ、全部やってみないとわからないことだからがんがんやっていいよー。

 とりあえず生き残れるし何とかなるからいけいけードンドンぱふぱふー。



 ……ただし親への感謝を忘れずに。いやまじで。




「どんな環境で書いていますか?」


 主に自作軽トラハウス「エスカル号」の中。

 スーパーごろ寝デスクの上にASUSのEeeとLogicoolのM570を乗っけてます。


 なお喰いたいと思った時にすぐパスタが食べられるようになってます。圧力鍋で2分も煮れば、即ごはん。最高!




■「どうやってネタを考えているの?」


 デスクトップにファイル作って書き始めればポンポン浮かんでくるので、それをただひたすらキーボードで打つ作業を淡々と。


 年に数回、どうしてもネタが浮かばない! なーんてときは、だいたい睡眠時間が長すぎたか短すぎたか栄養が取れてないか心配事があるときだけなので、まずそいつを何とかします。

 心配事の種になっている人に勇気を出して電話して確認し、あと栄養は錠剤で。ステーキ屋を見つけてタンパク質取るのもいいですね。睡眠時間が長すぎたら夜更けまで魚とか釣って遊ぶし、短すぎたら即寝ます。


 あ、そうそう。普段寝ない体勢で寝ると夢の中でキャラが動きますよ。おススメ。

 自分だったら横向いてニコ動のbiim兄貴のRTA動画を見ながらウトッとして、そのあと上向きます。簡単に入眠時ドリームさんが出てきてくれて、平野耕太先生的世界観を形成し、シュールな世界を楽しめます。

 やたら淫夢(ホモ的な意味で)が出てくるのには閉口しますがね。



 あとはドラッグですかねー。どうしてもってときは。

 あ、もちろん合法のものですよ? 酒とかタバコとか煙遊び(雑草丸めて喫う)とか。めtttttったにしませんけどね。酒やタバコとは相性悪いっぽいし。


 あ、そうそう! うつ病対策になるってもっぱらの噂のセントジョーンズワート(弟切草)! あれを巻いて吸ってみたんですよこの前。


 そしたら口内炎が三つできたんすよ(笑)


 おそらく経口摂取した何らかの成分が何らかのビタミンを阻害するのでしょうね。まあすぐに治ったのでよかったのですけれども。




■「自分の中で小説の書き方の軸は決まってますか?」


 骨法やハウツーなどの基礎は全て師匠から教わりました。

 師匠の二段階構成法が9割、あとはハリウッド式シナリオ作成法が五分、マンガのような短い起承転結積み重ね方式が三分。


 ただ日常系が好きなので、伏線回とかはそういうの全部忘れてほのぼの日常を書いてます。主に起承の部分でそれやったりしますね。

 そうするとページ数足りなくなって慌てたりします(笑)


 宮崎監督レベルでもない限り、やっぱり基本に忠実なのが一番だったりしますよ実際。うん。




「読書以外の趣味と、その趣味が作品へ影響している可能性はありますか?」


 あるある! 煙遊びなんかはもう真っ先に入れましたね。

 アウトドアグッズ製作なども入れたというか、そのために書いたというか。

 次は伊勢硝子の人と組んで、アルコール吸引機兼卓上から揚げ器を作って作中に出して売り出そうと思ってます。これはいけるぜ!




■最後に。


 いやー楽しいっすねこういうの! なんか書いてる時だけ有名人になれた気がします。

 尊敬する人が南方熊楠略してぐっすーなんですけれど、その人になれた心持が湧いてきて素敵です。今後もぜひ続けていってください。自分の軌跡が誰かの何かの試金石になれれば幸いです。


 あ、そうそう。一万時間の法則ですけどもね。あれ大体3000時間ほど書けば自分の書きたいものの5~6割は描写できるようになるので、最初慣れなくても書き続けることが大事ですよ。

 あとは自分の趣味や特技で3000時間以上費やしたやつを二つ以上織り交ぜれば、商品は商品足り得ます。ご安心ください。


 そんじゃ、アニメ作ってきますー。

 最近楽しーんだこれが。 ノシ

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