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Mission6 「学と魔王↑」

「……ん? なんだ? 火事か?」


 学は、遠い場所から白い煙が上がっているのを見て立ち上がり確認する。

 赤く燃えている炎が見えた。


「炎でも吐く化け物が居るのか? ……ドラゴン? いいな、是非とも欲しい」


 学は、炎を吐き大きくてガタイが良い翼の生えたドラゴンを従える姿を想像して、にやついた。

 周囲にいる化け物も、炎が上がっていることに気付き、その方向へ去っていく。


「……あいつら、行ってしまったな……」


 これは、チャンスだ。ここから出れる。周囲を確認する。……見た限り化け物はいない。

 念のため、地面のコンクリートに耳をあてて足音がないか確認した。……足音もしない。


「……よし。行くか」


 目標は、オカルト部員と合流すること。部長として、責任もって脱出しなければならない。

 恐る恐る、魔法陣から出て、すぐさま家の側に行く。壁伝いに行く事にした。


「バイオハザー○のレオ○は、こんな緊張感を味わうのか……。

精神的に疲れるが心地良いなオカルト感がたまらん。

化け物に囲まれているよりは何倍もマシだ」


 そうだ。オレの足跡を残しておけば誰かと合流するかもしれないな。

 学は、学生のリュックに入っているオカルト道具からチョークを取り出す。

 屋外用チョーク、10本入り270円のもの。雨に濡れても直ぐに消えない代物だ。


「なんて書こうか……そうだ」


 学は、この状況下で楽しそうに、コンクリートの地面に目印を書いた。

『魔王↑』と、学は、自分の名前を書けば良いのに意味不明な文字を書く。


「さて、先へ進むか」


 壁伝いに音を出来る限り立てずに歩いていく。

 カタカタ……カタカタ……と、進む方向から音がする。

学は近くの家の庭に入り込んだ。身を潜め、ジッとやり過ごすまで待つ。


「…………」


 自分の早い鼓動の音と、カタカタ……カタカタ……と言う音だけが聞こえている。

 カタカタ……カタカタ……と言う音が近くまで来た。


 あと少しでやり過ごせる。オレに気付くな、どこかへ行け……!


 小さな声が聞こえる。あの気味悪い笑い声ではない。……人なのだろうか?

 ……こちらには気付いてないようだし、少しくらいなら確認しても大丈夫……だよな?

 学は、そう思って、ゆっくりと壁から顔を出して確認する。


 目が合った。……人の姿だった。

 ……だが、何かが違った。

……ありえないほど真っ白な肌、金髪の長い髪、

青いガラス玉の目、手には血に染まった包丁を握っている。フランス人形が、動いている。


「見ィツケタァ……アハハハハハハハ!!」


 人形は、俺に向かってそう言って、包丁の先を俺の方へ向けて勢いよく走ってきた!


「おわぁっ!」


 至近距離だったが、ギリギリの所で避けた。横腹あたりのシャツが破れた。


「死ネ! 死ネェ! 死ネェェエエ!!」


 フランス人形は、狂った幼女の声で、包丁を右、左と振り回した後、突き刺そうと前に出す。

何とか避けた。抵抗する術も無い。とにかく、逃げなければ。人形に背を向け全力で走る。

 カタカタカタカタカタカタ! と、人形が追いかけてくる足音が聞こえる。


「はぁっ、はぁっ、はぁっ、魔方陣から出なきゃ良かったっ……!」


 逃げる方向に、人影が見える。……また人形か!


「人形ばっかだなっ、ちきしょう!」


 オレは、そのまま真っ直ぐには行かずに、曲がって走っていった。

意味のわからない行動をするのが学君クオリティー!

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