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第1章 奈良公園あたり 6 奈良町あたりの散歩コース

今日は白毫寺から新薬師寺を通り、

奈良町に向かいましょう。

新薬師を通り過ぎると福智院があります。

このお寺は、もとは興福寺大乗院の地蔵堂で、

ここの地蔵菩薩は右足を安座にした丈六の座像で、

5Mの舟型の光背一ぱいに小形の化仏をつけた、

千仏光背を背負う見上げるようなお像がです。


さらに東に進むと元興寺旧境内の南東隅に位置する

十輪院があります。

十輪院は真言宗醍醐派の寺院でこじんまりしていながらも、

鎌倉時代の本堂は国宝であり、

本尊はすべて花崗岩の切石を用いた

日本では非常に珍しい石仏龕で有名です。

これは本堂が背後の覆堂内に安置された

石仏龕を拝むための礼堂として建立された

鎌倉時代の住宅風仏堂で、お寺としては珍しいです。


ここから北西にある元興寺は、

日本最古の本格的仏教寺院である

法興寺(今は飛鳥寺)がその前身で

平城京遷都に伴って飛鳥から移って元興寺となり、

往時は東大寺、興福寺と並ぶ大寺院であったそうですが、

現在はかっての僧坊が

極楽坊として残っているのみの小さなお寺になっています。


この辺はもう奈良町の中心で、

「ならまち格子の家」、「奈良町資料館」、「庚申堂」、

「御霊神社」などを足の向くまま散歩するのがいいでしょう。

疲れたら「名勝大乗院庭園文化館(無料)」で

休んでもいいのですが、

今西酒造の隣にある室町時代の書院の遺構の

「今西家書院」で庭を見ながら

お茶をゆっくり頂いてもいいですね。

また奈良ホテルのロビーで休んでもいいです。

ここは明治42年創業以来

100年の歴史と伝統を誇る名門ホテルで、

皇族の奈良宿泊の際には

このホテルが利用されることが多いということです。

瓦屋根の本館は桃山御殿風総桧造り、

新館は奈良県吉野地方の「吉野建て」を取り入れた建物です。




また猿沢池のあたりで

ぼんやりと興福寺の五重塔を眺めるのもいいですね。

このお池の西北の隅に鳥居を背にした

珍しい後ろ向きの神社があります。

これが「采女神社うねめしんじゃ」で説明版によりますと、

奈良時代に帝に仕えていた采女(後宮で帝の給仕をする女官)が、

帝のご寵愛が衰えたのを嘆いて

猿沢池の池畔の柳に衣を掛け、

入水したので、

その霊を慰めるために社を建てたということです。

しかし、采女は我が身を投じた池を見るにしのびないと

一夜のうちに社を後ろ向きにしたと伝えられています。

ところでこのあたりの道を覚えておくと散策するのに便利です。

近鉄奈良駅を降りて

行基菩薩像のある噴水を横切り

奈良町の方へ行くときに通るアケード街が「東向通り」です。

ここがなんで東向通りというのかですが、

昔は興福寺の勢力が絶大で、

お寺の伽藍が並んでいるあの辺りには

家を建てることが出来なかった。

それで道の西側だけに家が並んでいるので

「東向町」という町名が出来たのが由来だというのです。

いずれにしても

ここはいわば近鉄奈良駅そばの代表的な商店街で

道幅もそこそこあります。


ところが三条通りを越して

「もちいどの」通りになると俄然狭くなりますが

ともかくも奈良町に行くメインの通りです。

「もちいどの」は餅飯殿と書くのだそうです。

その町の名前の由来は

平安時代の話から説き起こさねばなりません。

えんの行者が大峰山を開いてから、

二百年ほどたった時、

山中の滝に大蛇がすんで人に危害を加えますので、

大峰へ登山する人も少なくなり、

霊場も荒れ果ててしまいました。 

そこで、理源大師は勅命を受け、

奈良に住んでいた武勇の先達で、

箱屋堪兵衛という人を連れて行きました。

大師は法力で大蛇を縛り付け、

その間に堪兵衛は大きなオノをふるって二つに切り、

それからは大峰登山の道も再開される事になったということです。

この堪兵衛さんは

奈良に住んでいて理源大師のもとへ参る時は

いつも大師の好物の餅や飯などを持って行ったので、

大師さんが堪兵衛さんの事を戯れて

餅飯殿、餅飯殿と呼ばれてたのが

いつしか堪兵衛さんの住んでいる町の名も

餅飯殿町となったのだということです。


さてこの二つの通りの真ん中を東西に走っているのが

三条通りです。

そこを西に向かいますがそれは次回にします。

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