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第2章 佐保道、佐紀路 2 磐之媛命陵、法華寺、海龍王寺

お寺巡りとしては不退寺を出て、

法華寺を目指して西に向かって歩きますが、

JR関西本線をまたぐとすぐに、大きな古墳が現れます。

東側にあるのが全長255mの宇和奈辺ウワナベ古墳で、

西側が全長204mの小奈辺コナベ古墳です。

ともに古墳時代中期の前方後円墳で、

被葬者は不明です。

ここから、平城宮跡の西の神功皇后陵までの

大規模古墳群を総称して佐紀盾列古墳群と呼ぶそうで、

古墳が集まるところです。

その中でも有名なのが

磐之媛命陵いわのひめのみことりょうです。

磐之媛は大豪族である葛城氏の出身で

仁徳天皇の皇后でしたが、

なによりも磐之媛は「嫉妬深い皇后」として有名で、

古事記や日本書紀にそのありさまが書かれているというお話です。

しかし嫉妬深いということは

それだけ愛情が深いと言うことかもしれません。

御陵の近くに歌姫越という街道がありますが、

これは磐之媛を偲んで名付けられたとされたというほど

優れた歌人として万葉集にも詠まれていて、

その歌の一つに

「ありつつも君をば待たむ 

うちうちなびく我が黒髪に霜の置くまでに。

(じっとこうして、あの人の帰りを待とう。

床に投げ出した私の黒髪に、

白いものが交じるようになるまでも。)」

という愛情溢れる歌があります。


さて次の、マガモや川鵜、オシドリ、

カワセミなど野鳥の宝庫である水上池を左に見て

南に歩くと法華寺に着きます。

この十一面観音様も教科書に載るほど有名で

御写真は何度も見てきましたが

実物を見てびっくりなんと小柄なお姿ですね。

まず特徴である長い右腕に注目です。

その指先はスカートをつまんでいる感じで愛らしいお姿です。

唇に残る朱色はやはり目を引き付けられますが

最近の女性にはみられないルージュの引きかたですね。

しばし美貌の光明皇后を思い浮かべました。

大和三門跡の一つに数えられる尼寺の法華寺は

言うまでもなく聖武天皇の皇后、

光明皇后発願により

日本総国分尼寺として創建されたお寺です。



「東大寺」が総国分寺「金光明四天王護国之寺」

と呼ばれたのに対し、

総国分尼寺「法華滅罪之寺」と呼ばれた大寺でありました。

しかし今は壮大な伽藍だった総国分尼寺の面影は今はなく、

こじんまりとしていて「清浄な尼寺」にふさわしい

静かな佇まいとなっております。

このお寺の正式名称の「法華滅罪寺」と言うのは

罪深い女性のためのお寺であるというお話です。

女性が男より罪深いかどうかについて

議論するするつもりはありませんが、

やはりすごい名前の寺だと思います。

本堂をお参りした後には、

悲田院、施薬院などの福祉施設を創設された

「光明皇后」が、

千人の施浴のご誓願を立てられ建設された「カラ風呂 」を眺めたり、

華楽園という四季の花が楽しめる庭を

ゆっくりと拝観するのもいいですね。


法華寺のすぐ北側に海龍王寺があります。

天平3年(731年)、光明皇后の発願で創建したお寺で、

僧・玄ぼうが唐から帰国後、

遣唐使たちの渡航の無事を願って開基したと言われる古寺です。

平城宮の東北隅にあったことから、

隅寺とも呼ばれているそうです。

境内にある西金堂(重要文化財)には、

高さ4mのまるで模型のような五重小塔があります。

しかし正真正銘の国宝の五重の塔です。

細部の様式は薬師寺の東塔と似ており、

当時の建築を知る貴重な手がかりとなっているそうです。

また、本堂に安置された十一面観音像(重要文化財)は、

開扉される時期が限定されていますが、

金泥の身体に精緻な装具品が美しいお像です。


ここから西に5分ほど歩けば平城宮跡ですが

それは次回にします。

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