第3話伝説級の聖剣と、満月の夜明け
最近寒くなりましたねー
それでは本編どうぞ!
さて、鱗は手に入った。あとは『満月の夜明け』のタイミングを合わせるのと、『伝説級の聖剣』だな」
世界樹の山頂にある雪原で、俺――カイト・アサヒナは、手に入れたばかりのドラゴンの銀鱗を太陽に透かしながら呟いた。リリアは、その場で小さな焚き火を起こし、持参した携帯用鍋に雪を入れて溶かし始めていた。
「カイト様、次の満月は……」リリアは首にかけていたペンダント型の魔道具を覗き込んだ。「ちょうど二週間後です。夜明けの時間は……日の出の正確な時刻を知る必要がありますね」
「二週間か。思ったより早いな」
世界樹の頂上付近は、空気は薄いが、万年筆のスキルのおかげで快適に過ごせていた。問題は、その二週間で「伝説級の聖剣」なるものをどうやって手に入れるかだ。
「伝説級の聖剣なんて、そこらの武器屋に売ってるわけないしな……」
「ええ。それに、『小指の爪を切る』という条件を満たすためには、その聖剣は『使える状態』でなければなりません。つまり、封印されているものを解いたり、折れたものを直したりする必要があるかもしれません」
またしても無理ゲー感が押し寄せる。「世界のどこかにある、封印された聖剣を、二週間以内に見つけて、使えるようにしろってか? 女神様、俺のこと嫌いだったのか?」
「そんなことはありません。あなたの特性『無限の可能性』は、その条件の難易度に見合った力を持っています。きっと道は開けます」
リリアの励ましは嬉しいが、現実は厳しい。俺たちはとりあえず、世界の時刻を確認できる街を目指して、山を降りることにした。
山を降りる途中、俺たちは偶然、小さな洞窟を発見した。魔物の巣窟かと思いきや、中には古びた祭壇があり、埃をかぶった一冊の本が置かれていた。
「これは……『聖剣使いの指南書』?」
俺が手に取ると、本は勝手にページを開き、内容が頭の中に流れ込んできた。
【スキル:聖剣の知識(Lv. Max)】
【スキル:剣術の極意(Lv. Max)】
万年筆が再び光った。洞窟に足を踏み入れた「経験」が、スキルとして記録されたのだ。この万年筆、本当に優秀だな。
指南書には、聖剣とは単なる武器ではなく、使い手の「信念」を映し出すものであること、そして、世界に存在する伝説級の聖剣のありかが記されていた。
「これだ! 俺たちが探してた情報!」
指南書によると、最も近くにある伝説級の聖剣は、「錆びついた英雄の墓所」と呼ばれるダンジョンの最深部に封印されているという。しかも、封印を解く方法は「使い手の強い信念を示すこと」だけらしい。
「信念、か……」
俺の信念。「最強になってやる!」これしかないだろう。
俺たちは急いで街へ向かい、情報を集めてダンジョンへと急いだ。
英雄の墓所は、予想以上に手強いダンジョンだった。内部は複雑に入り組んでおり、通常の冒険者なら足を踏み入れた瞬間に迷子になるだろう。しかし、俺には万年筆がくれた「聖剣の知識」に含まれていたダンジョンの構造マップがあった。
「カイト様、そっちは罠です! マップの通り、左に曲がってください!」リリアが指示を出す。
「おう!」
罠や魔物の群れをスキルで回避しながら、俺たちは最深部へと到達した。そこには、台座に深く突き刺さった、見るも無残に錆びついた剣があった。これが伝説級の聖剣「エクスカリバー・イミテーション」……って名前、偽物っぽいな!
「これ、本当に使えるのか?」
「伝説級に間違いありません。錆びているのは、使い手の信念が宿っていないからです」リリアが真剣な顔で言った。
俺は剣の柄に手をかけた。冷たく、重い。
「俺は、最強になりたい! そのために、この剣の力が必要だ!」
俺は強く念じながら、剣を引き抜こうとする。しかし、剣は微動だにしない。
「信念が足りない……?」
俺は考えた。なぜ最強になりたいのか? 他の転移者たちを見返したい? いや、それだけじゃない。この世界で出会った大切な人たち、リリアや村人たちを守りたい。そして何より、この退屈な人生を、最高にスリリングな冒険に変えたいんだ!
「俺は、俺の人生を面白くするために、最強になるんだ! 力を貸してくれ!」
次の瞬間、剣の錆びが一気に剥がれ落ち、内部から眩いばかりの銀色の光が溢れ出した。剣は真の姿、美しい銀色の長剣へと姿を変えた。
「やった……!」
剣を構えると、俺の体に馴染むようにしっくりと収まった。これぞ伝説級の聖剣だ!
残るは「満月の夜明け」のタイミングだけだ。街に戻り、正確な日付と時刻を確認する。満月まであと三日。
俺たちは急いで世界樹の山頂へと戻った。
満月の夜。俺たちは世界樹の頂上で、夜明けを待っていた。手元には、煎じる準備を終えたドラゴンの鱗と、万年筆、そして真の姿を取り戻した聖剣。
空には満月が煌々と輝いている。東の空が少しずつ白み始める。夜明けだ。
「カイト様、今です!」
俺は手際よく鱗を煎じた薬を飲み干し、聖剣を構えた。そして、自分の左手の小指を薬指で押さえつけ、狙いを定める。
「特性が覚醒したら最強になれるだけど、覚醒条件むずすぎる! けど、やってやる!」
俺は聖剣を振り下ろし、自分の小指の爪を……
キンッ!
鮮やかな音を立てて、小指の爪が宙を舞った。条件達成の瞬間だった。
次の瞬間、俺の体から強烈な光が放たれ、世界樹全体が呼応するように輝き始めた。俺のステータス画面には、「特性:無限の可能性」の文字が、覚醒済みを示す光を放っていた。
ついに、最強への第一歩を踏み出したのだ。
どうでしたか?楽しんでいただけると幸いです。
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