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16/28

16話 牙

配信予定は

月火水木金をメインに活動です!

土曜日はやる時間があれば、投稿します!

日曜日は完全休憩です。

来週の火曜からしばらくお休みさせていただきます。

もし、今のうちにストックがたくさんあれば、投稿だけさせていただきます。

夜が明けるよりも早く、カイトは訓練場に立っていた。

 昨日、アルトリアから見せられた“本当の顔”──淡々とした優等生の仮面の裏に潜む、鋭い眼と冷徹な判断力。

 その姿が脳裏にこびりつき、眠れなかったのだ。

「……来たか、カイト」

 声がして振り向くと、まだ薄暗い訓練場の中央にアルトリアが立っていた。

 黒を基調とした軽装。髪をまとめ、表情は仮面のように静かだが、瞳だけが鋭く光る。

「今日から、お前に“牙”を教える」

「牙……?」

「お前は今まで、力をただ“振るう”だけだった。

 だが──“牙”とは、獲物を仕留めるための技。

 攻撃、防御、間合い、すべてを“殺すため”に最適化する。

 半端な覚悟なら、やめておけ」

 言いながら、アルトリアは腰の剣を抜いた。

 鋭い金属音が、朝の空気を裂く。

「俺は……やる。昨日、あんたに見せられた背中……あれに追いつきたい」

「ふっ。なら──来い」

 瞬間、アルトリアの姿が消えた。

「速──っ!」

 気付くとすでに懐に入り込み、木剣の切っ先がカイトの喉元を狙っている。

 ギリギリで防御した……つもりだった。

「遅い」

 軽く弾かれた衝撃だけで、カイトの足元の土が抉れた。

「“力任せ”はもう卒業しろ。

 お前には動きの無駄が多すぎる」

 アルトリアは淡々と言い放つと、木剣を肩に担ぐ。

「まずは型を壊す。

 お前の癖を、すべて叩き直す」

「癖……?」

「例えば――」

 アルトリアはカイトの背後に回り、腕を軽く引いた。

「こうして振る時、お前は肩に力を入れすぎている。

 それでは速さも鋭さも出ない」

「……っ」

「剣は“押す”な。

 “通す”。

 力を乗せるんじゃなく、流すんだ」

 アルトリアはカイトの手を取り、剣をゆっくり振らせた。

 力を抜くほど、剣の軌道は滑らかになり、空気が切れる音が変わる。

「……これ、が」

「そう。それだ」

 アルトリアが小さく頷く。

「だが、技だけじゃない。

 お前の本当の弱点は――“心”だ」

 カイトは息を飲む。

「戦う理由が曖昧なら、力は伸びない。

 昨日、お前は言ったな?

 『俺は誰かを守りたい』と」

「……言った」

「だが、守りたい“誰か”を曖昧にしたままでは駄目だ。

 本当に守りたい相手の顔を思い浮かべろ。

 その覚悟が“牙”の根だ」

 アルトリアの語気がわずかに強くなる。

「顔を思い浮かべろ。

 名前を、心に刻め。

 守りたいのは誰だ?」

 カイトは唇を噛む。

 ──守りたい人。

 ──守れなかった記憶。

 ──失った背中。

 胸の奥が痛む。

「俺は……」

 絞り出した声は震えていた。

「……守れなかった過去がある。

 その分……今度は、目の前の誰かを絶対に守りたい」

 アルトリアは静かに目を細める。

「いい目をした。

 なら……“牙”は必ず生える」

 剣先が朝日を受けて光った。

「覚悟のある者だけに、私は技を授ける。

 さあ、始めるぞカイト。

 今日からお前は──私の手で、狩人になる」

「……ああ!」

 その瞬間、朝の空気が震えた。

 アルトリアの“真の顔”を知ったカイトは、

 ここから本当に、強くなり始める。

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