中村、次期佐藤の座へ―― 研修という名の拷問
中村、呼び出される朝
佐藤:「中村さん、来年度から厨房長をお願いしたいんです」
中村:「……張り紙じゃだめですか」
佐藤:「だめです。今日から“実務研修”、入ります。いつもより厳しくいきます。」
厨房の空気が、一瞬ぴきりと張りつめる。
それは、戦の匂いだった。
午前の部:怒涛の揚げ物ゾーン
・時間との戦い
・油との睨み合い
・はねるしぶき、焦げる音
中村:「※高温注意※じゃ足りない……この揚げ物、生きてやがる……!」
田中:「中村さん!そのアジ、裏返さないと!!」
佐藤:「まだだ、まだだぞ中村!そのコロッケ、今だッ!!」
まるでタイミング芸人と化した戦士のように、彼は揚げ続けた。
午後の部:スピード盛り付け訓練
目の前に並ぶ、
・5種類の小鉢
・ご飯(大・中・小)
・今日のメイン(カレー・魚・唐揚げ・謎)
中村:「だ、誰だこんなに選択肢作ったのは……!!」
佐藤:「それ、お前の張り紙のせいだよ。“選べます”ってな!」
田中:「中村さん、早くしないと影山さんが“あれ”って言いながらプレッシャーかけてきます!」
精神崩壊寸前の夕刻
影山:「……あれ、お願いします」
中村:「……“あれ”が何だかわからない……でも、もう、“あれ”しか信じられない……」
そこに、
ののか:「中村さん、今日の張り紙ないの? さみしいよ〜」
中村:「……ああ。今日だけは、書ける気がしない……」
終業後――佐藤、静かに語る
佐藤:「厨房は、“時間”との戦い。
でもね、張り紙の中村さんじゃなきゃできないこともある。
だからこそ、中村さんに頼みたいんですよ、次の現場を」
中村:「……やっぱり、地獄の研修でしたね」
佐藤:「ええ。厨房は、毎日が戦場ですから」
その夜、残された張り紙
【中村より】
本日の営業、心を込めて揚げました。
胃もたれしたらすみません。僕も胃がやられました。
明日はもう少し、うまくやれますように。
― 次期・佐藤(予定)




