表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
97/113

中村、次期佐藤の座へ―― 研修という名の拷問

中村、呼び出される朝

佐藤:「中村さん、来年度から厨房長をお願いしたいんです」

中村:「……張り紙じゃだめですか」

佐藤:「だめです。今日から“実務研修”、入ります。いつもより厳しくいきます。」


厨房の空気が、一瞬ぴきりと張りつめる。

それは、いくさの匂いだった。


午前の部:怒涛の揚げ物ゾーン

・時間との戦い

・油との睨み合い

・はねるしぶき、焦げる音


中村:「※高温注意※じゃ足りない……この揚げ物、生きてやがる……!」


田中:「中村さん!そのアジ、裏返さないと!!」


佐藤:「まだだ、まだだぞ中村!そのコロッケ、今だッ!!」


まるでタイミング芸人と化した戦士のように、彼は揚げ続けた。


午後の部:スピード盛り付け訓練

目の前に並ぶ、

・5種類の小鉢

・ご飯(大・中・小)

・今日のメイン(カレー・魚・唐揚げ・謎)


中村:「だ、誰だこんなに選択肢作ったのは……!!」


佐藤:「それ、お前の張り紙のせいだよ。“選べます”ってな!」


田中:「中村さん、早くしないと影山さんが“あれ”って言いながらプレッシャーかけてきます!」


精神崩壊寸前の夕刻

影山:「……あれ、お願いします」


中村:「……“あれ”が何だかわからない……でも、もう、“あれ”しか信じられない……」


そこに、


ののか:「中村さん、今日の張り紙ないの? さみしいよ〜」

中村:「……ああ。今日だけは、書ける気がしない……」


終業後――佐藤、静かに語る

佐藤:「厨房は、“時間”との戦い。

でもね、張り紙の中村さんじゃなきゃできないこともある。

だからこそ、中村さんに頼みたいんですよ、次の現場を」


中村:「……やっぱり、地獄の研修でしたね」


佐藤:「ええ。厨房は、毎日が戦場ですから」


その夜、残された張り紙

【中村より】

本日の営業、心を込めて揚げました。

胃もたれしたらすみません。僕も胃がやられました。


明日はもう少し、うまくやれますように。

― 次期・佐藤(予定)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ