プロローグ⑦❈処刑遂行と聖剣
セアネシェレの処刑が遂行されるも……。
処刑場。中央には太くて長い木の板が立てられていた。その前には一人たてるぐらいの台が置かれている。
時間は刻々と過ぎ周囲の者たちは、セアネシェレのことを待っていた。
崖の上にはレンヴィーノが居て処刑場をみている。
(少し離れてるがオレにとっては丁度いい。さて、どうなる? 揺れが治まったのも気になるしな)
眼を細め無作為に一点をみつめた。
(人間が多い。これだけ多いと臭くて堪らねえ。早く終わらせてくれ、そうじゃないとオレの理性が吹き飛ぶぞ)
顔をしかめながらレンヴィーノは鼻をつまんでいる。
✦*✦*✦
民衆が集まる中、セアネシェレは兵士に連れられ処刑場の手前まで来ていた。
かなり泣いたのであろうセアネシェレの瞼は腫れあがり目も赤くなっている。それだけじゃない、ボサボサの髪に服は処刑をするため白い生地の物を着せられていた。
(いよいよなのね。覚悟は決めている……でも怖い。まだ死にたくない……だけど、それは叶わないわ)
虚ろな目で処刑台の方を見据える。
そんなセアネシェレをみていた人々は化け物のようだと囁いていた。
それだけじゃない。聖剣を抜いた女と云うだけで罵声までとんでくる。
それを聞きながらセアネシェレは処刑台の上に立たされ正面を向かされた。その後、目隠しをされて口には布をくわえさせられる。
目を塞ぐ布は、ジワジワと涙で濡れてきた。
兵士は気づくも、つらい表情を浮かべながらセアネシェレを太い木の板に縄で括りつける。
終えると兵士は台を外し処刑場から離れた。
太い木の板の周辺には点火用の薪が大量に置かれている。
もう一人の兵士が手に持つ松明に火を点けると合図を待った。
ここに居る全ての者たちの視線は処刑台へと集中する。
それを感じ取ったかのように代表でオルカリックが点火の合図をした。
処刑場にいる兵士はそれを確認すると松明の火を薪へ投げ込んだ。それと同時に駆け出し、この場から離れる。
薪に点火された火は轟々と燃え盛り、アッという間にセアネシェレの足元まで炎がきた。
もう駄目だとセアネシェレは諦め覚悟を決める。
(ごめんなさいお父さま、お母さま、お兄さま、お姉さま……私は家に汚点を残してしまった。今になって……私は……)
走馬灯が駆け巡る。今まで楽しかったことが脳裏に浮かび、もっと生きたかったと思い悔やんだ。
燃え盛る炎がセアネシェレを覆った。その時、突如セアネシェレの頭上に聖剣が現れる。それと同時に空へ目掛け眩い光の柱を放った。
すると空一面が発光したあと、ザアーっと強い雨を降らせる。
その雨は、アッという間にセアネシェレを覆っていた炎を消し去った。
それをみていた者たちは息をのみ呆然としている。いや三帝騎士の三人は打ち合わせをしていたかのようにセアネシェレの方へ駆けだした。
走りながらオルカニックは剣を抜き構える。
片やバンベルもバトルアックスを構えながらセアネシェレの方へと向かった。
その二人よりも早くエミネデウスはセアネシェレの所まで来ている。そしてレイピアを構え二人を待ち構えた。
その隣には、なぜかレンヴィーノがいる。
「フンッ、この女を殺させねえぞ!!」
「セアネシェレを殺すことは許しません!!」
ほぼ同時にレンヴィーノとエミネデウスが言い放った。そして二人はお互い見合い首を傾げる。
「お前は何者だ!」
「オレが何者でもいい。それより、これはどうなっているんだ?」
「まあいい……訳はあとで話す。セアネシェレを助けたいなら私の言う通りに動いてください」
そう言われるもレンヴィーノは訳が分からず困惑した。
「よく分からない。だけど、そうした方がよさそうだ。それとオレの方もあとで話す」
「ええ、そうしてくれると助かります」
微かに笑みを浮かべエミネデウスはレンヴィーノに小声で説明する。
それを聞いたレンヴィーノは、なるほどと納得した。そのあとエミネデウスの指示通り短剣を抜き構える。
二人は向かいくるオルカリックとバンベルを待ち構えた。
その間、聖剣はセアネシェレの真上で浮いている。すると光を放ちセアネシェレの体を覆った。
セアネシェレの治療をしているようだ。それは、この四人の戦闘が終わるまで続いたのだった。
読んで頂きありがとうございます(^▽^)/
セアネシェレが処刑されちゃう。と思っていたけど聖剣が現れて助かった。だがオルカリックとバンベルはセアネシェレを殺そうと即座に動く。
しかしエミネデウスはセアネシェレを護るため二人を待ち構える。
それと同時にレンヴィーノまで現れて、どうなるのか?
戦闘が始まるようだけど……なんかありそうだね(;^ω^)
と、いう事で……(/・ω・)/
では、次話もよろしくお願いします(#^.^#)