プロローグ⑥❈処刑当日と各々の思い
城の地下につくられた特別な部屋では鎖で台にくくりつけられている聖剣が暴れていた……。
……――二日後。
空は黒い雲が立ち込め今にも雨が降りそうだ。
時折、大地が激しく揺れる。この揺れは二日前から徐々に激しくなって来ていた。
ここは城の地下にある聖剣が置かれている部屋。
揺れの震源地はここである。
そう鎖で動けなくされ台の上に置かれている聖剣ホーリーエステルスが暴れているのだ。
なぜ鎖で動けなくされているのかは、ここへ運ばれた時に何度もセアネシェレの方へ移動してしまったからである。
まあ本来なら、この時点で勇者と認めないといけないのだろう。だが国としても女を勇者として認めたとあっては国民に示しがつかない。そのため致し方ないのだ。
聖剣は意思があるかのように湯気を出しながら真っ赤になって暴れている。
カタカタカタカタと台に大剣はあたり、その音が部屋中に響き渡っていた。
部屋の外で見張りをしている二人の兵士は恐怖で身を震わせている。
「なあ……この揺れって聖剣が怒っているんじゃねえのか?」
「ああ、そうかもな。もし鎖が解かれたら俺たち……いや国は、どうなるんだ」
不安になりながら二人は顔を見合わせた。
✦*✦*✦
ここはサンビアルの城下町の外側でゼノゼルガ草原だ。そこから少し離れた場所に処刑場がある。
周囲には草花や木々など生えてなく大小様々な岩石が至る所にあるだけだ。見上げると岩壁のような崖が周辺を囲んでいる。
普段は誰も寄り付かない場所だ。だが今日に限っては大勢の人がいる。勿論、大人ばかりだ。
それにしても物好きが多い。そんなに処刑をみたいのかと呆れるほどである。
まあ滅多にない処刑のせいもあるだろう。それも女性が聖剣を抜いた、どんなヤツなのかと興味本位で来ている者もいる。
集まって来た人々を兵士たちは処刑場から離れた場所へ誘導していた。そう余り近づけて何かあったら大変だからだ。
そして人々は今か今かと処刑を待ちわびている。
そんな中、国王カイノヴィスが姿をみせ大臣ミュハルドと共に兵士の誘導で特別に設置された建物の中へと入っていった。
そのあとから三帝騎士の三人が現れる。そして三人は処刑場を囲むように立った。気のせいか、なぜかエミネデウスだけ処刑場に近いようにみえる。
エミネデウスは処刑場を見据え考えごとをしていた。
(先程まで地震が激しかったが……急に静まった)
胸騒ぎを覚えエミネデウスは不安になりながら空を見上げる。
(今までの揺れが神の仕業であるならば……怒っているという事です。空もセアネシェレを捕らえてから曇り続けている。特に今日は酷いですね。そういえば、なぜ急に揺れが治まったのでしょう?)
周囲を見渡し思考を巡らせた。
(考えても分かりません。もし全て神のなされていることならば私はそれに従うまでです)
処刑場を見据えエミネデウスはそう考える。そしてその後もセアネシェレがくるのを待ちながら思考を巡らせていたのだった。
読んで頂きありがとうございますヽ(*´∀`)
いよいよ処刑当日。聖剣かなり興奮しておりますね。国は大丈夫なのでしょうか?
それにしても何処にでも野次馬って現れる。余りにも多いと誘導するにも骨が折れるよね。兵士さんたち、ご苦労さまです。
と、いう事で……o(^_-)O
では、次話もよろしくお願いできます(≧∀≦)