朗報と隠しごと
セアネシェレはジンフェルスから毒が消えたことを聞き……。
「そういえばセアネシェレ、毒が消えてたよな?」
セアネシェレが悲しい表情をしていたためジンフェルスは気を使いそう言った。
「毒? なんのことかしら」
「オレが攫った時に結界を触っただろ」
「ええ、あの時は確か聖剣を取ろうとして結界に触ったら痛かったけれど。もしかして、その時に毒が?」
コクッと頷きジンフェルスはセアネシェレを見据える。
「セアネが毒を真面に受けて……それは、すぐに消えたのか?」
「ああ、ビックリしたが勇者なら当然かって思った」
「驚きですね……まるで聖女のようです」
結界を触った時の自分の手をみてセアネシェレは首を傾げた。
「聖女……ですが私は魔力なしの勇者ですよ」
「いや、全然魔力がない訳じゃねえぞ……普通より少ないだけだ」
「そうなのですね。じゃあ回復魔法なら使えるようになるのでしょうか?」
自分の手のひらをみながらセアネシェレは首を傾げる。
「それは分からねえ。只、言えるのはセアネが勇者として覚醒しつつあるってことだ。だが、まだ完全じゃねえからな」
「そうですね。それはそうと、これからどうするのですか?」
「そうだな……どうしたらいい。んー……」
悩みながらレンヴィーノは何気にエミネデウスをみた。
「それよりも、エミネ。なんで監視用の魔道具を作動させている? さっきまではなかったよな」
「ああ、そうですね。壊されたら面倒ですのでバッグの中に仕舞っておいたのです」
「そういう事か……で、誰を監視してるんだ?」
そう問われエミネデウスは宿屋での出来事を説明する。
「なるほど、そういう事か……まさかルゼバスも関係してたとはな。これじゃ下手にセアネが勇者だって言えねえ」
「ええ、ですが既に敵側には知られてしまいましたけど」
「悪い、オレのせいだ。これからは、もっと慎重になる」
申し訳なさそうにレンヴィーノは俯いた。
「いいえ、レンばかりが悪いのではありませんわ。私も、もっと警戒していればよかったのです」
「私も……あの時、警戒しすぎていなければ」
「おい、三人共。今更、悔やんでも仕方ないだろう。それに防音の結界を張ってなくても無理だったろうな」
どういう事なのか分からないセアネシェレとレンヴィーノとエミネデウスは首を傾げる。
「どういう事だ? あの場にはオレも居たんだぞ」
「レンヴィーノ……オレが結界の魔法を得意にしてたことを知ってたよな?」
「なるほどです。知り尽くしているのであれば私の結界も分かっていた。それだけじゃなく結界を張っていなければジンフェルスがしていたという事ですね」
ニヤリと口角をあげジンフェルスは、コクッと頷いた。
「そうだったな……どっちにしろ回避できなかったか。それでハルナシアの様子はどうだ?」
「待ってください……今現在、城らしき所にいます」
「という事は嘘を言っていなかった訳か」
そう言われるもエミネデウスは納得がいかないようである。
「断言できません。一応は、このまま監視をしようと思います」
「まあ慎重になるのはいいことだ。なあレンヴィーノ」
「ジンフェルス、オレには警戒心がねえとでも言いたそうだな」
ムカつきレンヴィーノは、キッとジンフェルスを睨んだ。
「その通りじゃないのか。まあ仕方ないか……元々は育ちが良かったからな」
「育ちが良かった……レンがですか?」
「ああ、そうだ。まさかレンヴィーノから何も聞いていないのか?」
それを聞きレンヴィーノは咄嗟にジンフェルスへ跳びつき覆い被さる。
「言ってみろ……足腰立たなくしてやるからなっ!」
「あーそうだな。言いたくない訳か……悪かった」
「分かればいい。もし言ったら半殺しにするから覚えとけ」
本当に半殺しにされそうな勢いだったためジンフェルスは頷いた。
それを確認するとレンヴィーノは、ジンフェルスから離れる。
「気になりますが……私も聞くのを、やめておいた方が無難ですね」
「私も、やめておきますわ」
レンヴィーノにみられセアネシェレとエミネデウスは睨まれたように思い、そう言ったのだ。
そしてその後も四人は、これからのことを話していたのだった。
読んで頂きありがとうございます(≧∇≦)ノ
セアネシェレは勇者に覚醒しつつあるね。
それよりもレンヴィーノが育ちが良かったって、どういう事だ? レンヴィーノは知られたくないみたいだけど。
まさか……んー、どうだろうね(;^_^A
と、いう事で……(/・ω・)/
では、次話もよろしくお願いします('◇')ゞ




