仲間になりたい意外なアイツ
セアネシェレはレンヴィーノと話をしていた魔族をみて再び怯え気弱になってしまい……。
何もできずに悔しがっているレンヴィーノをセアネシェレはエミネデウスのそばからみていた。
(魔族、レンから感じた威圧感よりも……驚異的な何かを感じました。こんな相手と戦うことになるのですね)
再び恐怖心がセアネシェレを襲い身を震わせる。
「セアネ、大丈夫ですか?」
地面に横たわっているエミネデウスはセアネシェレの様子がおかしかったため心配し、そう問いかけた。
「エミネ……ありがとうございます。駄目ですね……勇気を出して勇敢にと思って目覚めたと云うのに魔族をみて恐怖するなんて」
「いきなりは無理だと思いますよ。ですが覚悟を決めたなら、それは前進したという事ですので」
「エミネは優しいですね……それに強いわ。私もエミネやレンのように早く強くなりたい」
首を横に振りエミネデウスは俯き無作為に一点をみつめる。
「いいえ、私は優しくも強くもありません。ですが、そうなろうとはしているつもりでいます」
「やはり思うことは大事なのですね。私も、そう思えるようにしなくてはいけない」
そうこう二人が話しているとレンヴィーノは難しい顔をしながら近づいてきた。因みに人間の姿へと戻っている。
「思えただけじゃ駄目だ! 魔族が……九帝魔族を全て復活させちゃいけねえ。だが、アラクネスやベゼグルフは既に復活している」
「その二人だけですか?」
「分からねえ。だが他にも復活している可能性は大と言っていいだろうな」
それを聞きセアネシェレとエミネデウスの顔は青ざめ身震いした。
「では師匠が魔族を復活させた」
「師匠……そうか、さっきの男のことだな。断言はできないが、そうなるだろう。そのことも踏まえ何処かで、じっくり話してえ」
「はい、そうなると……ここではなく別の場所に移りましょう」
そう言われセアネシェレとレンヴィーノは、コクッと頷いた。
その後、三人は何処で話をしたらいいのかと考える。
「……!?」
背後から嫌な気配を感じレンヴィーノは振り返った。
「そんな顔をするなよ。まあいいか……それよりオレも、お前たちの仲間にしろ」
そう、そこには人間の姿をしたジンフェルスが立っていてレンヴィーノをみている。
「お前を信じろってか……そんなの無理だ。セアネを攫った張本人を許す訳ねえだろうが」
忘れていた怒りが心底から吹き上がりレンヴィーノはジンフォルスを殴りかかろうとする。
「待てよ……そう、ピリピリするなって。アレは仕事で依頼されてやっただけだ」
「じゃあ誰の依頼かは分かってないってことか?」
「ああ、ギルドの依頼で受けただけだ。それも依頼人の名前は匿名だった」
どういうことだと首を傾げレンヴィーノは考える。
「用心のためですね。師匠……あの人なら、そのぐらい警戒すると思います」
「そういう事か。だがジンフェルス、なんでコッチに付こうって思った?」
「どうせ仲間になるなら可愛い女の居る方がいいと思ってな」
まあそうなのだろうが、それだけではない。恐らく本音を自分から言わないと思われるので解説すると。
実はジンフェルスはレンヴィーノを追いかけて里を出たのだ。そのため今は一緒に行動できるかもしれないことを内心、ワクワクしていた。
それと勇者側に付いた方が良さそうって云うのもある。
「それだけか?」
「不満か?」
レンヴィーノとジンフェルスは睨み合い今にも喧嘩になりそうだ。
「待ってください。今は信じても良いと思います。只、裏切った時に制裁を下せばいいだけ」
「ほう、面白いことを言う。まあ、それでいいと思うぜ」
「エミネの言う通りだな。分かった……但し裏切ったら分かってんだろうな」
コクッと頷きジンフェルスは、ニヤリと笑みを浮かべた。
「それで、さっき話が聞こえて来たんだがオレの家にくるか?」
「……まあいいか。適当な所もねえしな」
嫌々ながらレンヴィーノは仕方ないと頷きジンフェルスをみる。
その後、四人はジンフェルスの住居へと向かったのだった。
読んで頂きありがとうございます(^O^)/
九帝魔族とは? レンヴィーノが全て復活させちゃ駄目だと言った。
と言うことは魔王と関係しているのかもしれない。いや違うのか?
まあそれは追々と言うことで……。
それよりも、まさかジンフェルスが仲間になるとは思いもよらなかった。
作者の私も、なぜか急にそうした方がいいと脳裏に浮かんでしまい……アハハハ……( ̄▽ ̄;)
と、いう事で……p(^_^)q
では、次話もよろしくお願いします(^∇^)




