弟子と師匠
エミネデウスは黒服の男の背後をとるも躊躇い恐怖してしまい……。
ここはバルフォードの町。そして古びた建物の外側で玄関付近だ。
現在エミネデウスは黒服の男の背後からレイピアの剣先を向け思考を巡らせている。
(実力は確実に私よりも上。どう対処したら……。いえ、それだけではありません。この男のことを私は知っている。
今の口ぶりだと、この男も私のことを知っています。そうなると……同じ国の者。それも私が三帝騎士の一人だという事を知っていました)
いったい誰なのかと思い返すもエミネデウスは余計に混乱してしまった。いや本当は、なんとなくだが分かっている。だが、それを認めたくはないのだ。
「いったい貴方は誰なのです?」
「フッ、なぜ聞く? 気がついているんじゃないのかね」
「まさか……いえ、そんなことが……」
ある人物の顔がエミネデウスの脳裏に徐々に浮かび上がり、それをかき消そうとする。それだけじゃない……動揺もしているようだ。
「相変わらずのようだな。まあ完全には非情になれていないという事か。人を欺くのが得意な、お前にしては動揺しすぎだ」
そう言いながら黒服の男は、スッと消えエミネデウスの背後をとった。
「それとも……これは私だと気づいていての演技か?」
「……!?」
背後をとられエミネデウスは更に確信を得てしまい絶望へと変わる。そう、これは本当に演技じゃないのだ。
この黒服の男が自分の知っている者であれば勝てないとエミネデウスは分かっていたからである。
恐怖しエミネデウスは小刻みに震えていた。それを隠そうと必死になるも黒服の男の強さを知っているエミネデウスの体は反発してしまうのだ。
「演技ではない。だけど……な、なぜ……貴方が……信じられ……ません」
「フンッ、甘いな。かつてから私は色々と他国のことを調べていた。魔王と勇者のこともな」
「なんの……ためにですか?」
そう問いかけエミネデウスの額からは汗が流れ落ちる。
「魔王となり得る者を探すためだよ」
「本気ですか!? そ、そんな存在が復活してしまえば……この世界もろとも破壊されてしまいます」
「ああ、そうなるだろう。私は、この世界を変えたいのだよ。一旦リセットしたうえでね」
仮面の下から黒服の男は何処か遠くをみているようだ。
「あり得ません。一旦リセットしたとしたら貴方も消えるかもしれないのですよ」
「消えるつもりなどない。そこは色々と考えている」
「魔王にでも取り入るつもりですか?」
そう問われ黒服の男は笑みを浮かべ頷いた。
「ああ、そのつもりだ。そのために自ら探しているのだからな」
「まさか……そんなことを考えていたとは思いもよりませんでした」
下唇を噛みエミネデウスはつらそうである。
「貴方のように伯爵の地位を持ちながら、それを鼻にかけない……それに強い騎士で尊敬できる師だったと云うのに……」
何時の間にかエミネデウスから恐怖心は消え怒りが湧いていた。
そう、この黒服の男はエミネデウスにとって剣や魔法と戦術などを教えてくれた師匠であり尊敬に値する者だったのである。
そのため余計に自分が信じて来たものを全否定された気持ちになり絶望するどころか怒りへと変わっていたのだ。
「だからなんだ? 絶望でもしたか……ワハハハッ……まあ、お前はそれだけの存在だったということ」
その言葉を聞きエミネデウスは、プツンと糸が切れたように表情を変える。
その表情は、ニヤリと笑みを浮かべていて異常なほど目が据わっていた。
読んで頂きありがとうございます(^_^)/
なんと黒服の男はエミネデウスの師匠だったようだ。という事はエミネデウスよりも強いという事だよね。
でも、その師匠の言葉にエミネデウスはキレたようだよ。さて、どうなるのかな?
それは、そうと……まだ黒服の男の名前は明かさず。そのうちに……( *´艸`)
と、いう事で……('◇')ゞ
では、次話もよろしくお願いします(*^^*)




