教える者たちと思考
セアネシェレ達に指導をする三人は各々自己紹介を始め……。
ここは宿の掃除用具などが置かれている倉庫の通路側。現在ここにはセアネシェレとレンヴィーノとエミネデウスの他に男性二人に女性一人がいる。
そう、この三人の男女はセアネシェレ達に仕事を教える者たちだ。
「アタシはハルナシア・ベルテ、よろしくね。レンヴィーノさんって、どっちかしら?」
そう言いハルナシアはレンヴィーノとエミネデウスへ人差し指を向けながら交互にみる。
「オレだが、お前が教えてくれるのか?」
「あら……アタシでは不満なのかしら?」
「いや構わないが……なんでオレだけ女なんだ?」
不思議に思いレンヴィーノは首を傾げる。
「さあ、アタシには分からないわ。勝手に決められたから」
「ルゼバスが決めたのか?」
「ええ、そうね。まあ、アタシは誰と組もうと関係ないわ」
微笑みハルナシアはレンヴィーノを見据えた。
「なるほど、それにこの匂いは……まあいいか……あとでもな。改めてレンヴィーノ・ティスバスだ、よろしく頼む」
「匂い……なんのことか分からないけど、よろしくね」
それを聞きレンヴィーノは頷き笑みを浮かべる。
「そうなると儂が教えるエミネデウスってのはお前か」
「ええ、エミネデウス・ハインジェルと申します」
「儂はボブポール・グイクプだ! まあ気楽にやろうや」
風貌と体格のせいかボブポールの言い方が余計に適当のように聞こえた。
「ハハハ……仕事ですので気楽とはいかないかと」
「お前、真面目すぎだぞ。もう少し肩の力を抜け!」
そう言われエミネデウスは大丈夫なのかと不安になる。
「僕が教えるのは貴女か。話では何も知らないお嬢様らしいな。まあ……だからって甘やかすつもりはない」
「勿論それで構いませんわ。それはそうと自己紹介ですわね。私はセアネシェレ・ラルリャーク、よろしくお願いします」
「フッ、それならいい。あーそうそう……僕はギルヴィス・フェルムト、呼ぶときはギルでいいですよ」
クイッと眼鏡をあげギルヴィスは、セアネシェレを見据えた。
「じゃあ、サッサと始めましょう」
ハルナシアに言われ五人は頷く。
それを確認したハルナシアは持ち場へと向かうため歩きだした。
レンヴィーノはハルナシアを追いかける。
追うように四人も持ち場に向かい歩きだした。
✦*✦*✦
「あいているのが、あの三人だけだった。まあ……大丈夫だと思うんだが」
椅子に座り机に向かいルゼバスは、ハァーっと深い溜息をついている。
そう、ここはルゼバスの書斎だ。
(だが、まさかレンヴィーノを働かせることになるとはな。それはそうと……なんでハルナシアは自分からやるって言ったんだ? それもレンヴィーノの名前を出した途端にやるって言いだした。
んー……それにレンヴィーノが竜人だと知っている。まあ……ハルナシアは――――だからなぁ。どこかでレンヴィーノの噂を聞いていたのかもしれん)
色々思考を巡らせながら机上の一点を無作為にみる。
(それよりも……勇者が現れた。それも、この時期にだ。偶然なのか? それとも……神の導きか……。だが、あの様子じゃ今のセアネシェレにこの国を救うことは無理だろう。
どうする? その前にレンヴィーノは、この国で何が起きているのか知っているのか? 知っていたらセアネシェレを連れてこない。
そうなると、このことを知ったらレンヴィーノは必ず動く……みていられんだろうからな)
頭を抱えルゼバスは自問自答していた。
読んで頂きありがとうございます(^▽^)/
いよい各自掃除開始となるが、どうなるのか?
それも気になるが、ハルナシアは何者なのか? レンヴィーノが匂いって言っていた。それにルゼバスも何か知っているようだ。
それとハルナシアはレンヴィーノの名前と竜人であることを知っている。
謎がまた増えましたね。いやまだある……この国で何か起きているらしい。そうなるとルゼバスが心配する通りセアネシェレ達は巻き込まれるだろう。
本当にどうなっていくのか……(;^ω^)
と、いう事で……(=゜ω゜)ノ
では、次話もよろしくお願いします(*^^*)




