プロローグ①❈成果と始まり【表紙絵】
セアネシェレは約二年前のことを思い返していた……。
「これでいい。私は……これを成すために、ここまで数々の試練を乗り越えて来たのだから。ですが、やることは……まだ残っている」
そう言いシルバーピンクの髪色をした女性は手に持つ聖剣ホーリーエステルスを地面に突き立てた。そして聖剣……大剣を杖の替わりに立ち上がる。
その大剣には至る所に血が付いていた。それだけではない……その女性の体の至る所にも血がついている。それも自分以外の者の血痕だ。
よくみると女性の周囲には大勢の人間や魔族らしい者たちが倒れていた。
そう殆どの者たちを、この女性が倒したのである。それも無傷にだ。
この女性はセアネシェレ・ラルリャーク、十八歳。聖剣ホーリーエステルスを所持する女勇者である。だが、それは……。
「流石だ……セアネ。お前一人で殆どの者を倒したんだからな」
そう言いグレイで長い髪の男はセアネシェレへと歩み寄った。
この男性はレンヴィーノ・ティスバス、年齢不詳で見た目だけなら二十代だ。そして現在、人間の姿に化けている。何者なのかは、後々話すとしよう。
「レン、まだよ。倒すべき相手は他にも居るのですから」
「ああ、そうだったな。そのためにオレは、お前の傍にいた」
「それ本心かしら? 他に目的があったのでしょう」
セアネシェレはそう言いながら大剣を背負った。
「さあ、どうだろうな。フッ、まあ……そんなのどうでもいいだろ」
「そうね。今は、やるべきことを先にしないと」
「あ、そういう事だ。じゃあ……行くとするか」
それを聞きセアネシェレは頷き歩きだす。
レンヴィーノはそれをみて、ニヤッと笑みを浮かべた。その後、セアネシェレのあとを追いかける。
そしてセアネシェレは歩きながら約二年前のことを思い返していた。
――……約二年前に遡る……――
「うわぁ~お母さま……今日は何かお祝いですの?」
そう言いセアネシェレは目の前のご馳走をみて燥いでいる。
「セアネ、はしたないわよ。もう少し女性らしく振舞いなさい」
この女性はセリカネーシャ、セアネシェレの母親だ。
因みにセアネシェレの家は代々男爵の家系である。
「はーい、分かりましたわ。それで何がありますの?」
「相変わらずね。今日は急遽お父さまと、お兄さまが帰ってくるらしいわ」
この上品な雰囲気の女性はハルニアスと云い、セアネシェレの姉だ。
「お姉さま、それは本当ですの? それなら……花を沢山かざらなければですわ」
そう言いセアネシェレは胸躍らせながら外へと向かった。
それをみたセリカネーシャとハルニアスは呆れ果て頭を抱える。
✦*✦*✦
ここはゼノゼルガ草原。辺りには草花や木々が生い茂っていた。
「持てるだけしか無理だわ。どうしましょう……」
セアネシェレはそう言いながら周囲を見回す。
「方法がありませんわ。持てるだけにしましょう」
そう言い持てるだけ花を摘んでいる。
すると遥か先の丘で、ピカッと何かが光った。
「あれは聖なる剣の丘。あそこには聖剣があるはず。それなら……いえ、反射して光っているようにはみえないわ」
考えていたがセアネシェレは、なぜ光っているのか気になる。どうしても知りたくなり、それがなんなのか確認するため丘へ向かい駆けだした。
読んで頂きありがとうございます(^▽^)/
今回は後書きの会話を書きません。
その代わり、なんらかのコメントを残したいと考えています。
そして、いよいよ一話目の投稿です。
さてセアネシェレは、いったい何と戦っているのか。周囲に倒れ死んでいる者たちの中には魔族以外に人間もいた。
過去で何があり、どうして今の状況になったのか。それらを踏まえ書いていければと思っております。
と、いう事で……(^▽^)/
では、次話もよろしくお願いします('◇')ゞ