説得と覚悟と目覚めと
夢の中でセアネシェレは説得されるも納得がいかず……。
レンヴィーノとエミネデウスとの間に変な友情が芽生え始めている頃、セアネシェレは夢をみていた。
……――ここはセアネシェレの夢の中。そこには光球があり、プカプカ浮きながら何やらセアネシェレに話しかけているようだ。
“セアネシェレ、大変でしたね。ですが本当に大変なのはこれからです。それでも貴女は、この試練を乗り越えなければいけない”
誰が自分に話しかけているのかと不思議に思い問いかける。
“あなたは誰ですの? もしかして神さまなのですか? もしそうならば聖剣を元の場所に戻してください。私が勇者なんてあり得ないもの”
“いいえ、これは貴女にしかできないことなのです”
“なぜですの? 私は剣など使ったことなどないのに……”
なぜそう言うのか分からないセアネシェレは困惑していた。
“今は何もできないでしょう。ですが今の貴女は一人ではありません”
“それはどういう事ですの?”
“セアネシェレ……貴女は聖剣に助けられただけじゃなく二人の男性にも救われました。一人は人間、もう一人が竜人です”
それを聞きセアネシェレは驚き……いや、なぜか逢ってみたいと胸躍らせている。
“二人の男性……それだけじゃない。一人は竜人、いったいどんな人なのかしら……早く逢ってみたいですわ”
セアネシェレは変わり者だったらしい。
“フフ……そうですね。それならばこの夢の中に、こもってはいられませんよ”
“そうね……ですが目を覚ましたら私は勇者にならないといけない”
“まだ迷っているのですか? 先程も一人ではないと言いました。剣の扱いや戦い方を学ぶことはできますよ”
そう言われるもセアネシェレは本当にできるのか不安で一歩が踏み出せないでいる。
“どうしても私でなくてはいけないのでしょうか?”
“貴女は普通の人間ではないのです。勇者の魂を宿し産まれたのですよ”
“決まっていたと云うのですか?”
それを聞くもセアネシェレは、どうしても納得できない。
“そうですよ。そのため聖剣は貴女を助けたのですから”
“それならば、なぜ私は女なの? いえ、それだけじゃないわ。どうして女性でも剣を使っていい……戦いをしても問題のない国に産まれなかったのです?”
“勇者になり得る魂には男女の区別などありません。そして聖剣はこの国に刺さっていた”
セアネシェレは何が言いたいのか分からず困惑してくる。
“男女の区別がないのは分かりました。ですが、なぜこの国に聖剣があるのですか?”
“かつての勇者のことは、どこまで知っていますか?”
“確か魔王を倒したあと、この国に辿り着き……あーそういう事ですのね”
言いたいことが分かりセアネシェレは納得した。
“では私の前の勇者が選んだ……新たな勇者をこの地にへと”
“それはどうでしょう。そこまで考えてはいなかったと思いますよ”
“そうなのですね……その勇者のことが知りたくなりました。私の魂が……その勇者からのものであるなら。何か私の祖先と関係するのかもしれません”
話をしているうちにセアネシェレは色々なことが脳裏に浮かんでくる。そのため色々なことが知りたくなって来ていた。
“分かりましたわ。私にしかできないのでしたら、なんとかなりますよね”
“そうですね……ですが覚悟は決めてください。本当に覚醒するまでは色々な苦難を乗り越えなければいけません”
“……それは、今までの勇者が通って来た道なのですよね?”
もう覚悟を決めると思っていたが一瞬セアネシェレは不安になりそう問いかける。
“ええ、勿論です。皆が、その道を辿り勇者となり英雄と云われたのですから”
“では私のように最初から勇者と言われた訳ではないのですか?”
“そうなりますね。ただ全てがそうだった訳ではありません”
それを聞きセアネシェレは自分だけじゃないと思い安心した。
“それならば私は認められるまで勇者だと名乗りません”
“それがいいでしょう。最初から誰も認めてはくれません。ですが貴女は運がいい……一人じゃないのですからね”
“はい、徐々に認めさせます”
もう迷いはなくなっていた。今は何もできなくても、いずれやれるようになる。そう思いセアネシェレは目覚めて勇者になる決心をした。
その後、セアネシェレは徐々に意識を戻していく――……
……――そしてセアネシェレは目覚めると周囲を見渡し上体を起こした後、レンヴィーノとエミネデウスの方へ視線を向ける。
「おっ、起きたな」
「ええ、そのようですね」
レンヴィーノとエミネデウスはそう言い笑みを浮かべセアネシェレをみた。
読んで頂きありがとうございます(^▽^)/
セアネシェレはやっと納得し目覚めると夢の中で言われていた二人がいて……。
さて、どうなるのか? 次話がたのしみですね。
と、いう事で……(=゜ω゜)ノ
では、次話もよろしくお願いします(^^♪




