プロローグ⑩❈余裕の勝利
再びレンヴィーノはオルカリックと戦うも……。
エミネデウスとバンベルは話をしたあとお互い睨み合った。
その後、戦闘を開始する。だが、二人は本気を出していない。
その様子をみてレンヴィーノは馬鹿らしいと呆れていた。
「どこをみてる!」
ムッとした顔でオルカリックはレンヴィーノを睨んだ。
「あっ、悪い。そういえば戦闘中だったな。じゃあ言われた通りにやるか」
それを聞きオルカリックはエミネデウスに何か指示をもらったのかと思った。
互いに見合い戦闘体勢に入る。
(少しぐらい本気で攻撃しても大丈夫そうだな。それに、どれほどの者か確かめたくなった)
オルカリックは剣に片手を添えると呪文を唱え始めた。
(フッ、魔術か。そうなるとあとの二人も使える。なるほど、だいたいよめた。この国は剣術よりも魔術に優れている者が多いってことだな。まあ推測にすぎないから断定はできないが)
そう考えるとレンヴィーノは短剣を普通の持ち方に構え直しオルカリックの動きを見据える。
「火の世界 存在し炎 獅子の如く燃え 剣に宿れ!!」
魔法陣と共に轟々と燃え盛る炎が現れオルカリックの剣身を覆った。
(なるほど赤き獅子は、ここから来てるのか? どんだけの威力があるか試してみるのもアリだな)
ニヤリと不敵な笑みをうかべレンヴィーノは短剣を無造作に構える。キッと鋭い眼光になり力み体の中心へ気を集中させた。そうオルカリックの攻撃を、わざと受けようとしている。やっぱりレンヴィーノは普通じゃない。
オルカリックは剣身に炎が点ると体を捻り剣を振り上げた。
《獅子王の火炎斬!!》
剣を殴り下ろすように振りきり剣身に纏う炎をレンヴィーノへ向けて放つとオルカリックは、そのまま体を回転させながら剣を振るい獅子の如く驀進する。
オルカニックが放った炎の斬魔は真面にレンヴィーノに中った。
炎の斬魔を真面にくらいながらレンヴィーノは余裕で耐えている。
(まさか、こんなもんじゃねえよな? もっと楽しませてくれねえと燃えねえだろうが)
余程レンヴィーノは戦闘が好きなようだ。
そう思っているとオルカリックの炎を纏った剣がレンヴィーノを襲った。
即座にそれに反応しレンヴィーノは短剣でオルカニックの振り下ろした刃を弾き防いだ。
オルカリックの凄まじい攻撃はレンヴィーノへ連続で襲いくる。
それを必死に……いや、半余裕で耐えていた。
(まあ……人間にしては、いい方か。いい加減、反撃していいよな? フゥー、殺さないようにって……厳しい要求だ。でも、やるしかない)
不貞腐れながらもレンヴィーノは表情に出さず向かってくる剣の刃へ短剣を中てていく。
「おいおい、どうした? 急に攻撃しなくなったようだが、まさか何もできない訳じゃないだろうな」
「……さあな、まあこの辺でいいだろう」
不敵な笑みをみせるとレンヴィーノは短剣のグリップを力いっぱい握る。素早く短剣を振り向かいくるオルカリックの剣の刃に中てた。
――カーンッ!!――
気持ちがいいほどに良い音が周囲に響き渡る。
楕円を描くように回転してオルカリックの剣は宙に舞った。
周囲の者たちは何が起きたのか分からず呆然としている。
だがオルカリックはそれで怯むことなくレンヴィーノへ殴りかかった。
ヒョイッとレンヴィーノは避けオルカリックの腕を掴んだ。
「悪いが……遊びは終わりだ」
そのままの体勢でオルカニックの襟をもう片方の手で掴むとレンヴィーノは軽々背負い投げ飛ばした。
かなり力加減をしたためオルカニックはレンヴィーノから数十センチの所に落下する。
「グハッ!?――……」
一瞬だけ意識があった。だがオルカリックは、すぐに気を失ってしまう。
戦いながら二人の様子を窺っていたエミネデウスとバンベルは青ざめ呆然と佇んでいる。
「……やり過ぎたが、まあいっか」
頭を掻きながらレンヴィーノは周囲の視線から目を逸らし苦笑した。
読んで頂きありがとうございます(^▽^)/
オルカリックが本気を出すもレンヴィーノの相手ではなかった。
本当にレンヴィーノは何者なのか?
そしてこのあと、どうなるのでしょう?
と、いう事で……(/・ω・)/
では、次話もよろしくお願いします( *´艸`)




