表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界帰りのハーレム王  作者: 津田智弘
ハーレムファミリー結成編
3/373

第3話 サッカー場に舞い降りた俺





「……ほぉ、プロってのはこんなふうに練習するんだな。」



 人工芝のグラウンドを疾風のごとく駆け抜けるプロサッカー選手たち。

 その動きを観察しながら、俺は軽く腕を組んでニヤリと笑った。


 目的はただ一つ――プロサッカー選手に挑み、そして勝つことだ。


 え?サッカーはやらないって言ってたじゃないかって?



 

「モテるならやるに決まってるだろうが!!」




 自分でも驚くほどの声量でそう叫びたくなった。

 いや、モテるって素晴らしいことだろ?そのためならサッカーでも卓球でも、いや、宇宙飛行士にだってなってやるさ。


 俺の目標はただ一つ――美少女ハーレムを作ること!

 それ以外のことなんて細かい話だ。変わってもいいし、むしろ進化してくれるならどんどん変わってくれて構わない。



 

「――――――集中集中だ!!」



 

 異世界で数々の戦場を駆け抜けた俺にとって、ここは新たなるフィールド。プロサッカー選手たちが汗を流す練習場だ。彼らの動き一つ一つを、俺の目が鋭く捉えていく。


 ドリブルのステップ、シュートのフォーム、そしてパスのタイミング――。確かに彼らの技術はすごい。いや、超一流と言っていいだろう。


 だが――俺の異世界仕込みの目からは逃れられない!



 

「解析完了――」




 俺は夕暮れまでじっくりと観察を続け、選手たちの動きを完全に自分のものにした。そう、これが異世界で培った観察力と戦術眼の力だ。夕陽が俺のオールバックを照らし、まるで主役の登場シーンのようにドラマチックな雰囲気を醸し出している。


 そして、いよいよ俺の出番だ。


 


〈ドンッ!!〉




 その音は練習場に響き渡った。プロ選手が放った豪速シュートに、俺のシュートが真正面からぶつかったのだ。



 

「なっ……!?」


「嘘だろ!?村岡のシュートが止まった……!?」




 選手たちの驚きの声が飛び交う中、俺は観客席から軽やかに飛び降り、ボールをトントンとリフティングしながらさも当然のように言い放った。


 


「よぉ!!俺も混ぜてくれよ!!」




 その瞬間、練習場全体がざわつく。



 

「なんだ、あいつ……?」

「村岡のシュートに自分のシュートをぶつけただと!?」

「しかも、めっちゃオールバック決まってるぞ!」




 選手たちの視線が一斉に俺に集中する。俺はそんな彼らを一瞥し、ボールを蹴り上げ、片足でピタリと止めた。そして、静かにこう続けた。


 


「俺は異世界で魔王を倒した男だ……その俺がサッカーに挑戦しに来てやったんだ。そっちも本気で頼むぜ!」




 一瞬の静寂――そして、誰かがボソッと呟いた。



 

「……異世界?魔王?」




 周囲は「何言ってんだコイツ」みたいな顔だが、すぐに練習場のリーダー格っぽい男――村岡が前に出てきた。



 

「面白ぇじゃねぇか。そこまで言うなら見せてもらおうぜ、その実力を!」




 俺はニヤリと笑い、ボールを蹴り上げた。



 

「後悔すんなよ――プロ!」




 異世界仕込みの雷丸伝説、ここに開幕だ!

 





 ――――――――――


 



「――3点先取の1対1だな?」




 俺は村岡の前に立ち、ボールを足元で軽く転がした。これから始まるのは俺と村岡のガチンコ勝負。プロ選手 vs 謎の高校生、異色すぎるカードだ。


 村岡はニヤリと笑いながら腕を組む。



 

「お前、俺の練習見てたんだろ?」


「まぁな。プロの動きは参考になるからな」


「ハッ、いい度胸だ。けどな、実戦じゃ話が別だぜ!」




 彼の目にはプロ特有の余裕と自信が宿っている。だが――俺には異世界仕込みの”解析”がある。村岡の練習を見て、クセからプレイスタイルまで完全に叩き込んでいる俺に、スキなんかない。


 


「じゃあ、始めるぞ!」




 ――――――――試合開始!



 

 村岡が初めにボールをキープ。だが俺はすかさずプレッシャーをかけ、彼の動きを封じる。


「ちっ、速ぇな!」と村岡が舌打ちするが、もう遅い。俺は彼の右足の動きを見て、一瞬のスキを見逃さずにカット。


 そこから全力疾走――異世界で鍛えられた超速ドリブルで村岡を引き離す。ゴール前で軽くフェイントをかけ、シュート!



 

〈バァンッ!!〉


 

「1点目、いただきだ!」




 村岡は軽く汗をぬぐいながら言う。



 

「なるほどな……ちょっとはやるじゃねぇか」



 

 村岡は次のラウンドで慎重にボールを回し始める。だが、俺はもう彼のクセを完全に把握している。


 村岡がドリブルしながら左へ切り返そうとした瞬間――俺はその動きを読んで、逆方向からカットイン!



 

「なっ……読まれてる!?」




 そのままゴール前へ向かい、村岡が必死に追いすがるが、俺は異世界で学んだフェイントで彼をかわす。



 

「……これが俺の動きだ!」




 軽く浮かせたボールを頭で押し込み、2点目をゲット。



 村岡の額には汗が浮かび、息も少し荒くなっている。さすがのプロでも、この状況に焦りを感じているのが分かる。


「次は取らせねぇぞ!」と叫ぶ村岡だが、俺は冷静にボールをキープ。まるで村岡の動きを操るように、俺は彼をゴール前まで誘導していく。



 

「……お前、何者だよ……!」




 村岡の目が警戒に染まる。


 最後の一手、俺は彼の体重がわずかに右にかかった瞬間を見逃さなかった。


 


「これで終わりだ!」




 足元から放ったシュートは、ゴールの隅にピンポイントで突き刺さる。


 


〈バァァァンッ!!〉




 試合終了――雷丸の勝ち




 村岡はその場に膝をつき、笑いながら頭をかいた。



 

「ったく、どこのプロだよお前……!」




 俺は軽く肩をすくめながら答える。



 

「ただの高校生だって……信じるか?」




 その言葉に村岡は苦笑し、手を差し出してきた。



 

「お前……スゲェよ。サッカーやる気があるなら、プロになれるぞ」




 その言葉に、俺の心臓が一瞬でバクバク言い始めた。



 

「マジか!?じゃあ推薦してくれよ!!」




 思わず両手でガッと握手する俺。村岡は一瞬たじろいだ顔を見せつつ、肩をすくめた。


 


「推薦くらいはしてやるけど……プロになってどうするつもりだ?」




 その問いに、俺は迷いなく叫んだ。


 


「決まってるだろ!現実世界で、俺のハーレムを作る。それが俺の最終目標だ!!」




 その場が静まり返った。


 村岡が手を引っ込めようとするが、俺は全力で握りしめたまま。

 選手たちは練習を中断し、グラウンドの端からこちらを見ている。

 村岡の表情がだんだん引きつっていくのが分かる。



 

「……ハーレム……だと?」


「そうだよ!」




 俺は力強く頷く。



 

「俺は異世界で魔王を倒したんだ!だから次は現実世界でハーレムを作る番なんだよ!」




 村岡は一瞬、目を見開いて何かを言おうとしたが――やがて静かに目を閉じ、こう呟いた。


 


「お前……プロとかそういう次元じゃねぇな。」


「だろ!?俺は次元を超えた男だからな!」




 その言葉に村岡は肩を震わせ、やがて爆笑を始めた。

周りの選手たちも「あいつヤベェやつだけど面白いな!」と笑い出す。


 俺は胸を張って宣言した。



 

「プロサッカー選手になって、俺のハーレム計画を実現する!覚えとけよ、村岡!」




 村岡は笑いながら俺の背中を叩いて言った。



 

「……まぁ、お前みたいなやつ、嫌いじゃねぇよ。」




 こうして、俺のサッカー人生――いや、ハーレムへの野望が、プロの世界への扉を叩くことになったのだった。



 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ