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第2話 アリアの城

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彼女の城(家)はそれなりの大きさの規模の一軒家だった.

「私,これ自分で手に入れたの,凄いでしょ.使用人も3人雇ってるのよ.」

アリアさんは,そう言ってドヤ顔をしていた.


「……凄いですね.」

普通に驚いた.彼女が貴族の家を出て一人暮らしを始めて,数年で自力でこの家を手に入れるのは,並みの努力と才能では不可能である.学院時代も天才だった.一度も模擬戦でも,ペーパーテストでも勝てた事がなかった.万年2位だった僕が彼女をライバルと思っていたのは愚かな行為だったらしい.現実,凄まじい差が生まれていた.


「とりあえず,レオ君にはこの家の警備と私の警護をして欲しいの」

アリアさんは,鍵を開けながらそう言ってこっちを振り返った.


「……僕よりも強い人の護衛ですか?」


「近接線は苦手だから私.それに,君は私より強いと思うわよ.」

アリアさんは,鍵を開けると手招きをしながら,こっちを眺めた.


僕の方がアリアさんより強いわけがない.まあ,多分死にそうな僕を見かねて適当に役職を用意してくれたのだろう.

「……お気遣いどうも.それで今何をしてるんですか?」

彼女の城の中は綺麗に掃除が行き届いており,家具も美しく統一されていた.久しぶりに美しい家を見た.


アリアさんはパッと笑顔になり

「興味ある?仕事は冒険者かな?今は.」

そう言ってドヤ顔をしていた.


冒険者は,確かダンジョンに潜る職業だ.昔,魔法騎士が無かった時代は,国の兵力として計算されていたが,今は,何をしているか良く分からない.

そこまで割の良い仕事ではないし,学歴も資格も不問だ.


「……こんな儲かるの?」

この家が建つほど儲かる仕事に思えない.


「私は,S級ですからね.」


「?」

何それ?まあ,最近変わったのかもしれない,冒険者の内情は,少なくとも魔法騎士で働いている間は外の情報を手に入れる余裕無かったし.仕事と魔法の鍛錬以外する暇が無かったから.まあなんか凄いのだろう.


「本当に冒険者には興味なかったんだね.レオ君.あとで教えてあげよう.私の凄さをね.」


「いや,十分知ってますよ.凄いって.」

学院時代に十分みた.圧倒的な強さと圧倒的な知能と貴族である事を驕らず万人に優しい人格.最終的には,貴族をやめて自分で自立するって言うから……その凄さは十分知っていた.


「ふふふ,でしょ.でも,もっと教えるの私の凄さを」

アリアさんは,そう言うとご機嫌に鼻歌を歌いながら右手を思いっきり引っ張った.


それから僕をジッと見て

「とりあえず,君は,お風呂に入ろう.多分準備してあるから.それに……まあこれは後で良いや.」


ここまで一緒にアリアさんとは歩いて来たし

「……いつの間に.」

連絡を出来るタイミングなんて無かった.


「ふふ,私の魔力は光だよ.高速での連絡は,余裕よ.」

……やっぱりこの人護衛要らないのでは?


「待っておくから,その後でご飯を食べましょう.準備しておくから」


「使用人さんがですか?」

反射で言葉が出た.


「……そういう事は言わなくて良いじゃん.」


「……すいません.」


「謝るくらいなら最初から言わなければ良いでしょ,もう.」

アリアさんは少し口を膨らませてこっちを睨んだ.機嫌が良さそうだった.


指を指された方向に向かうとそこには,その部屋の前にメイド服を着た仮面を被った亜人の少女が立っており

「着替えの準備はしております.洗濯いたしますので服は,そこの籠に入れておいてください.それと,アリア様に何かがあれば貴方を殺します.」

そう言い残して何処かに去っていった.


「……護衛要らないのに,まあ死にそうな人を助けた優しさか.」

そんな事を呟きつつ,久しぶりにゆっくりとお風呂に入った.


それから紆余曲折いろいろあって夕食の席にたどり着いた.

「おそいよ,レオ君.普通に心配になったじゃん」


「……」

遅くなったのは僕が悪いわけではない.


「まあ,良いや,ご飯食べましょ.」

アリアさんは流れるように話を進めようとしたがそうは問屋が降ろさない.


「いや,いろいろと言いたい.」


「何?レオくん」


「まず,何でこの執事の服,」


「それは,私の趣味,前髪も切って貰ったのね.」


アリアさんはそう言って夕食を食べ始めていた.

服装が執事服で,髪を強制的に切られるとか思って無かった.それに使用人が怖い.3人いる使用人は全て仮面を被った亜人の少女でアリアをかなり慕っている.ハサミを持っている時に恐怖を感じた.


「ええ,命の危機を感じながら」


「……えへへ」


「今もその,めちゃくちゃ使用人の子たちに睨まれてるんですけど」

そして今僕は夕食を目の前にして,その使用人に睨まれている.


「……そのうち,なつくと思うわよ.とりあえず,ご飯食べましょ.レオ君.」




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