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坂道

ここはまだ道の途中

作者: 日浦海里

着慣れた制服

袖に腕を通して

突き抜けて

指先が冷たい空気に触れる


紺色のコートを羽織って

カイロを手にして

すっかり柔らかくなった革靴を履く


玄関先で駆けていく同級生を目にした

そんなに焦らなくても

間に合うことぐらい分かっても良さそうなのに

それとも気持ちが逸ってるのか


少し歩いてると

坂の上に友達の背中が見えた


ほんの少しだけ歩みを早める


ほんの少しだけ


そう思っていたけど

友達の横に並ぶ時には

いつの間にか小走りになってた


弾む息を整えながら友達の肩を叩く


笑顔で振り向いてくれて


当たり前のような毎日

でもこんな日々も今日が最後


いつも通りに見えて

いつも通りじゃない日


今日、みんなは卒業して

それぞれの未来に歩いてく


これが今生のお別れってわけじゃないけど

制服を着て

この坂道で肩を叩いて

おはようって言える日々は

きっと今日で最後


でもそれだけ


明日も明後日もその先も

道はずっと続いてる


今日はほんの少し特別


けれど今日もまだ道の途中


この坂の上から見える景色と同じで

道の先はどこまでも広がっているから


ほんの少し特別だけど

いつも一緒の友達と

変わらぬ今日を過ごしてく


さようなら、でもなく

またあした、でもなく


じゃあねって


いつも通りの終わりを迎えられるように


変わってくけど変わらないもの


大切だからあいまいなまま


そんなふうにしておきたいから

卒業式シーズンですね。


今年、卒業される皆様、おめでとうございます。

これから新しい生活が始まる事になりますが

これまで築いてきたものは

きっと皆さんの支えになってくれると思います。


これから先の毎日が

楽しい日々であるよう祈っています。

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― 新着の感想 ―
大切だからあいまいなまま ⇧ そう そうなんです 自作の連載が卒業式近辺でして 「今日でおしまい。」って認識を本人達が持たないんじゃないか。なんとなく、「今」は続くと思うのではないか。自分も当時、そう…
[良い点]  門出を迎え、変わる日々と変わらぬ日々。  最後とわかっていても、いつもと少し違うだけ。実感するのはあとになってからかもしれませんね。  悲しむのではなく。  その時間を大事にできたらい…
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