表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/11

第九話:眠る貴方に語り言

唸り声が寝息に変わった頃

私は人間用枕に腰掛けて、あの人の顔を伺いました


「あら、よだれ」

「ちゃんと拭いてあげますからね」

「まだまだお子様です。寝顔もお子様・・・!」


口元から垂れるそれをティッシュで拭い、ゴミはゴミ箱へ投げ捨てる

きちんと入ったことを確認して、もう一度寝顔を見守り始めた


「いつもお疲れ。お仕事は大変なのでしょうか」

「私にもお手伝いできることがあればいいのですが、貴方は絶対に手伝わせてはくれません」

「私だって、荷物運びぐらいできたりするのですから・・・修羅場?な時は手伝わせてくださいよ・・・」


ふにっふにっと、頬をつついておく

もちろん起きる気配はない

しかし、違和感があるらしくて、少し嫌そうな顔をしてから寝返りを打つ


「あら」

「ごめんなさい。眠っている時に嫌な気持ちになるのは嫌ですよね」

「でも、ほっぺがふにふにです」

「もっと触りたいのですが、起きている時にしましょうかね」


私はそのままベッドに戻らず・・・

反対側に顔を向けた貴方の腕の中に滑り込む

大きな腕を枕にして、胸へ額をつけた

布越しだけれども、そこからは作り物では鳴らせない音がする


「・・・とても、心地がいいです」

「聞いているだけで落ち着きますね。貴方が生きている音は」

「・・・私も欲しいなぁ」


作り物の私はなぜか動ける

けれど、この胸からは何も音は響かない

心臓なんて持ち合わせていない

もちろん貴方にある臓器と同じものは存在しない

この身体は、動けるようになっても傀儡らしい骨組みだけなのだ


「・・・ねえ、オーナー」

「私には・・・心があると思いますか?」

「空虚な私の、貴方を思いやるこの心は・・・本物だと思いますか?」


ふと、背中に手が回された

起こしてしまったらしい


「あっ・・・起こして・・・ん?」


ポンポンと、優しく背中を撫でられる


「そうですか。本物だと、言ってくれますか」

「作り物の私でも、心があるらしいです」

「それができたのは、貴方のおかげですね」

「・・・自分が変われたのも、私のおかげ?」

「そうですか」


更に距離を近づけて、目を閉じる

もちろん、あの人も一緒に目をつぶってくれたようです


「私は一年売れ残った人形」

「けれど今は・・・それにも意味があったと思います」

「貴方に巡り合うために、私はずっとあの場所にいたと・・・心から思います」


「一つ、我儘を言ってもいいですか?」

「絶対迷惑だなって思う我儘です」

「いつでもどこでも、私を連れ立ってくれませんか?」

「一瞬でも、離れたくないのです。全部一緒がいいのです」

「なぁんて・・・流石に無理です・・・へ?いいんですか?」

「・・・言ってみるものですね」

「あ、そうですね。明日は一緒にお仕事です」

「早く寝ないとですね」


そうそう。一ついい忘れていた事がありました


「おやすみなさい」

「明日もいい一日にしましょうね?」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ