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立ち直れたきっかけ〜死にたがりの男が透明少女に出会う〜

作者: 1号


 ……外出するか……


 俺は浩二、高校卒業後何もしていない。所謂ニートというものだ……


 ……何も……考えるな……考えるな……


 少しでも頭を使うと()()()()()()がフラッシュバックしてしまう。


 呆然と歩いていると横断歩道にゆらゆらと立っている少女が見えた、そして左から車が迫る……


『浩二……!危ない!』


 頭痛が走る程の思い出が蘇る……そして同時に頭にこんな言葉が刻まれる


 次は……俺の番だ……


「がぁぉおぁ"あ"あ"っ!」


 普段動かさない足のリミッターを外し、恐怖を振り払う為に叫び、腕を空気をかき分けるように動かして少女に迫る!


 がばっ!


 俺は少女を抱き留め歩道に転がり込んだ



「とても悲しいことを伝えなくてはなりません……父さんは……」


 医師が俯きながらそういうと……


「浩二……あなたのせいで……!」


 癇癪を起こした母さんは僕に右腕を振り上げ……


「お兄さん!お兄さん!」


「びぁぅっ!」


 声にならない声を上げて目を覚ますと……


 自分の体の上にまたがる少女が居た……


 それと同時に


 死にきれなかったな……


 と脳裏によぎる


 一人の少女の為に命を捨てればどれほどいい死に様だっただろうか……かっこよく楽になれたのに……


「大丈夫?顔色が悪いよ?」

「大丈……」


 久しぶりに心配されてドキリと胸が鳴るそして目線を少女の顔に向けると


「ぅっ……」


 あまりにも……可愛らしかった……あどけない可愛さ、いやあどけなさの暴力と言って良いほどの幼い顔立ちを前に大丈夫の「夫」の部分がおかしくなってしまうほど取り乱してしまった


「そ……その……そろそろ離れてっ!恥ずかしい!」


 俺は少女を取り敢えず離れてもらうことにした


「立てる?大丈夫……?」


「うん、なんとか……」


 この程度の運動で全身に痛みが走る……情けない……死にたい……


「……私の事……見えるの?」

「……?見えるけど?」


 だきっ!


「あぁっ!」


 俺は少女に抱きつかれてしまった、俺はおかしな声が出てしまった……


 あ……あ……暖かい……


 ずっと……ずっと……記憶の底に隠していた人の温もりを掘り起こされる……


「ずっと……ずっと……探していたの……私の事が見える人を……!」


「ぁ……あぁうっ?!」

 

 どうにか理性を取り戻した、どうしてこう俺は年端もない少女に抱きつかれて堕ちそうになっているんだろう……情けない……


「やっと……生きる意味を見つけたの……!」

「その……話が分からないよ……何で見えてるかどうかなんて……」


「その……私……透明人間なの、ずっとひとりぼっちだったの」


 ……唐突にとんでも無い事言わないで?ニートの腐った頭じゃ理解できないよ?


 取り敢えず周りを見渡す


 確かに道端で俺に跨りながら俺を揺すっていたら今頃ポリスメンが俺を務所に叩き込んでいるだろう。しかし現実はポリスもいなければ疑わしい視線すら感じない


「その……私!何でもします!だからお兄さんの家に住まわせて下さい!」


「ええっ!いや……その……」


「だ……だめ……?」


 目をうるうるさせながら俺を見ないでくれ……!


「……良いよ」


 折れた。ポキリと。アッサリと。だってこんなに可愛い子にこんな目をさせられたら……


「それと……名前は?俺は浩二」

「私は真白、これからよろしく!」


 もう真白はとても嬉しそうだ……俺の理性は大丈夫なのだろうか……



「どうぞ上がって」

「ここが兄さんの家?」


「浩二で良いんだぞ?」


「いや……お兄さんで定着しちゃって……」


 すまん。性癖に刺さる。「お兄ちゃん」にされたらもうヤバい気しかしない。


 取り敢えず家に入った


 俺の家はpcとキッチン、そして最低限の水回りとベット以外何も無い、ただ不自然な空きスペースが幾つもある。歪さを感じる家だった


「……その……」


「俺の部家の感想なんていいんだぞ」


 そう、全てはこの家の記憶を呼び起こさない為に全て片付けた。


「その……私!何か!」


 真白は健気に自分に何かを要求してくる……ダメ……ふんすって感じが可愛い……


「取り敢えず、料理出来る?サラダ作ろうか」

「……がんばる!」


 冷蔵庫からキャベツを取り出す


 過去にいい加減な食生活で体調不良を起こしたからな。野菜。肉。これが無いと俺はゆっくりと苦しんで死ぬ。それは嫌だ。


「包丁使える?」

「……!」


 真白は不安な手つきで渡された包丁を構える……


「いたっ!」

「大丈夫か?!」


 案の定。指を切った


 俺は絆創膏を取り出す


「全く……慣れない事はするもんじゃ無いよ……」

「……はい……」


 さっきまでの調子はどうしたのか、真白はしゅんとしてしまった……


「……取り敢えず食べよう!ご飯は冷蔵庫にあるしサラダチキンもある、それを付けて朝ご飯にしよう!」


「う……うん」


 真白のあどけない顔は曇ってしまった……しかし俺にはそれを何とかする勇気は無かった……情けないな……俺……



「ごちそうさま……」


「その……聞いていい?」

「何だ?」


 真白は恐る恐ると……


「この家に……()()がいたんじゃ無いのかな……?」


「やめてくれッ!」


 俺の脳に亀裂が入るような頭痛が走る


 ドサッ……


「あっ……あっ……あぁぁっ……」


 俺は頭を抱えて地面に崩れ落ちる


「お兄さん?!」


「もう……もう……いない……母さんも……父さんも……居ない……俺は……俺には……もう生きる意味が……何も無い……」


 そうだ……俺は……不注意で父さんを亡くして……そのショックでお母さんをおかしくしてしまった……それを……償いたかった……だけどお母さんはこの家のベランダから身を投げた……


 残ったのは逃れられない罪の意識だけ、両親を失ったのは理由は全て……この俺なんだ……


 ……もう……もう……耐えられない……!死に様なんてどうでも良い!早く楽になりたい……!


 俺はのろりとベランダへ行こうとすると……


 ぎゅうっ!


 真白は俺に抱きついた、そして耳元で……


「浩二……生きる意味が無いって辛いよね……分かるよ……私も浩二に助けてもらうまではこんなふうになってたの……ひとりぼっちで苦しかったの……でもね……私は浩二に助けてくれた時、あなたの為に生きたいって思ったの……だから浩二も……私の為に生きてくれない……かな?」


「まし……ろ……」


 ダメだよ……そんな事……ニートのダメ人間に言っていい事じゃ無い……俺の為になんか……


 俺の瞳からは涙が流れていた


「真白……」

「なぁに?」


 俺の頭を埋め尽くしていた罪の意識と孤独感は全て真白への想いに変わり……もう耐えきれなくなっていた……


「大好……き……」


 言った……言ってしまった恥ずかしさに耐えきれず真っ赤になった顔を真白の胸にを埋めてしまう。


 ……?ちょっと待って……すごく……大きい……!顔もスタイルも反則だろ……!


「……実は私も……命の恩人にころっと好きになっちゃった」


 ぎゅっと顔を抱き抱えられてしまう……


 邪な考えが一瞬で真白の暖かさに塗り替えられてしまった


「……頑張る……俺は真白の為に生きる。」


 ここから俺はやっと罪の意識から立ち直れた、罪の意識は消えはしないが向き合う決意が出来た、そしてようやく前に進めるようになれた。


 続きは画面の前みんなの頭の中で



 おまけ


「……その……はぁ……もっと『大好き』って言って欲しいな……はぁ……」

「っ?!」


 真白は何だか妖しげな息遣いで俺を抱き留めながら言い出す


 真白にはそっちの方向の才能があった、あってしまったのだ……


 ……俺は真白なしでは生きられないくらいに『大好き』と言わされた。恥ずかしすぎて少しの間立ち直れなくなった。

もしかしたらR18作品が出るかも。何かの間違えで気になる人がいたらブックマークでもして更新を待ってると急いで書きます。

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