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親不孝


「ようは外交問題も絡んで最悪異世界間での戦争になるってことなんだろ? だから、自分の娘だけど巻き込めないと。とんでもねー厄ネタじゃねーか」


 文七が端的にまとめた現状があまりに酷すぎて、三太ですら頭を抱えたくなった。いくらなんでも重すぎる。

 おそらくは三太の父もこの事態を知らないのではないかと考え、三太は改めて否定する。

 

 おそらく、父はこのことも知っていたはずだ。なにせ、戦争が起こる可能性があるのだから。月夜野家は武家の一角であり、市村ヨネに対して任せろと言ったのはそういうことなのだろう。

 

 未だに父と市村ヨネの繋がりは見えないが、それは心底どうでもいいことだと三太は切り捨てた。


「でも、それは私たちとは関係ないんじゃないんですか? 今のままの方が私たちの世界っていえばいいですか? が巻き込まれちゃうと思うんですけど」


 瀬菜が言う。


「いや、おそらくは商組合の連中が絡んでる時点で変わんねえよ。多分お前さんが元いた世界とこの世界は条約を結んでる。余計な真似をすりゃそれこそ大問題になるだろうな」


「条約ですか? 異世界と?」


 三太は思わず聞き返した。

 初耳だった。

 歴史の授業で習ったこともない。そもそも異世界のことだってあまり詳しく学ぶ機会はないのだから。


「それは今度教えてやる。とにかく、俺らの味方はいないってことだ。俺としては不本意だが、三太、お前さんの方針が大正解だったってことだよ」

 

 大正解。

 わかってる、うまくはぐらかされた。

 けれど、褒められて悪い気がするはずもない。

 三太はとりあえず、


「いえ、そんな…」

 

 と返事にもならない言葉を返した。


「とにかく、こうなった以上はできることも限られてくる。お前さんの思惑通りになってきたんじゃねえか?」


「あら、まるで私が陰謀を企んでいるみたい言い方はやめてくれる? あくまで父親が狂人だったせいでこうなってしまっただけなんだから」


「よく言うぜ。赤の他人に厄ネタ全部おっかぶせやがったくせに」


「ええ、その責任は取るつもりよ。私はママなんですから、ね」


「…はぁ」


 にっこり笑顔を見せられても正直困惑しかない。

 そもそも、三太には母親になってほしいと言った記憶もないのだ。

 繋がった時、と市村ヨネは言うがそもそも三太は全く別な光景を見た。

  

 あれは、一体何だったんだろう。


「まぁ、とにかく王位継承権の件はわかった。次はお前さんの親父さんが何を望んでいるかだな」


「父の望み?」


「ああ。あのおっさんがどうしたいのかが一番大事だろう」


「そう言われても、私にもわからないわね。あの人の考えなんて」


「なら一度、そこを知るためにも連絡くらいとれないかね。その方が手っ取り早いし、ここまで親不孝してきたんだ。一度くらい歩みよってもいいんじゃないか?」

 

 


 

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