あなたがそんなことを言うから
「ママは寂しいなぁ〜、女の子の方がいいんだもんな〜、やっぱりおっとこのこ〜」
三太が居間に戻ると市村ヨネは拗ねていた。
どこまで本気の言葉かわからなかったが、それでも文七を膝に乗せて撫で回す姿は本気で拗ねている態度なんだろうなと三太が察するには十分すぎた。
どこまでもわざとらしい。
文七もされるがままとなっているが、どこか気持ちよさそうなのは気のせいじゃないだろう。
おそらくは年の功。
見た目は幼い少女でも中身は数百歳以上のババアだ。水月とはまるで違う手の動きは紛れもなく熟練の技。指先の動きからなにまでが違うと三太は死ぬほどどうでもいい違いを見せつけられた。
意外だったのは瀬菜が大人しかったこと。
なぜか普段は絶対にしない正座で背筋を伸ばし、お茶を淹れいてる。
「三太」
「え?」
瀬菜と視線が合う。
相変わらず燃えているが、その目力のせいなのか目線を外せない。三太が自分のことをしっかり見ていることを確信したのか、瀬菜はなぜか意味深に頷いた。
「この人は、あなたのママよ」
「洗脳されてるっ!?」
一番ありえない人物がありえなさすぎる発言をした。
三太は思わず叫んだが、瀬名の目は真剣そのもので洗脳の恐ろしさを見せつけられた気がした。というか、あのババアは何をしやがった。
「ちょっと、何したんですか!」
「お話し合い」
「それだけでここまで頭がおかしくなるわけないでしょっ!?」
なにもわかってないのね、的な瀬菜の視線に三太は恐怖に近い何かを覚えた。
というか、なんだこの変わり身の速さは。
三太が水月と会話をしていたわずかな時間で様変わりした空間に、三太は困惑しかなかった。
これが年の功…っ!
それでもこの空間から逃げ出すわけにもいかず、三太はゆっくり腰を下ろした。
そうだ、腰を据えて話さなければならない。
ここからが、三太にとっての最も重要な話なのだから。
「あら、あらあら? 怖い顔をしてどうしたの? ママのおっぱいが欲しいの?」
…三太はこのままこの屋敷から飛び出したくなった。言動が頭おかしすぎる。
けれども、逃げ出すことだけは出来ない。既に、三太は市村ヨネの味方をすると決めたのだから。
「あのずっと聞きたかったんですが?」
「なに? なんでも教えちゃうわよ?」
「なんで、母親になりたいんですか? その、僕の母親なんかに」
三太にとって、というか、この態度の彼女を見れば誰だって思う疑問。明らかに頭がおかしい人間に聞くことではないのかも知れないが、まずはそこから聞かなければならない。
そんな三太の思いを理解してはいないだろう市村ヨネは、なぜか真剣な表情をしていた。
「あなたがそんなことを言うから、かな」
また、市村は意味のわからないことを言う。三太にはその言葉の意味がよくわからなかった。
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