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「悲しいなぁ。規則を守るのは社会生活の基本なんだけどね。まぁ、とりあえず頭を冷やしてくるんだね」


 そんな嫌味を背に、三太は商組合会館を追い出された。もちろん、文七と市村ヨネは一緒だ。橘天に関しては、流石に同行していない。抜刀したという理由で商組合会館で拘束されている。三太の方は刃を誰かに向けたわけではないのでお咎めなしだった。

 

「結局、こうなっちまったか」


 文七の屋敷への道すがら、沈黙を破ったのはやはり文七だった。誰しもが何も話さず、重い沈黙のままだったため三太はようやく肩の力を抜くことができた。


「すいません。僕のせいで」


「あー、まぁ、なんだ。お前だってわけがわかんねだろ? 俺だって色々こんがらがちまってるんだ」


 文七の言葉に三太は吹き出しそうになった。

 実際三太も同じ気持ちだったし、


「だから、隠し事なしで話しちゃくれないか? だんまりはやめてくれよ。流石の俺にも限度ってもんがある」

 

 文七が市村ヨネに言った言葉もまさしく三太の代弁でもあった。

 市村ヨネは何故か不思議そうに首を傾げた。


「あら、隠し事なんてしていないわよ。ただ昔馴染みってだけ」


 いけしゃあしゃあと言ったものだ。

 三太はもちろん、文七もこの言葉を信じていないはずだ。あれだけ関係者間の繋がりを匂わせられて、何もないと言われて信じられるはずがない。

 三太個人としては、父親との関係は死ぬほどどうでもいいがどうしても聞き出さなければならないことがある。


 『市村ヨネの娘』の件について。


「娘さんに何があったんですか?」

 

「ん? え、そこ聞く? もっと聞きたいことあるでしょ?」


「いいえ」


「だって、それが貴女にとって一番大事なことなんですよね? だったら、それを教えてもらわないといけないじゃないですか」


「…そっか、うん。けど、ちょっと話が長くなっちゃうかな。少し、私も話を整理したいかな」


「構わねえさ。家までまだ距離がある。その間に準備をするこった」


 穏やかながら有無を言わさぬ眼光で文七は市村ヨネに圧をかけている。それを苦笑しながら市村ヨネは受け流し、軽やかな歩調で進む。三太は余計なことを考えるのをやめて天気や周囲の景色に意識を向けた。

 そこからはまた沈黙が場を支配した。

 商組合会館から文七の屋敷までは、文七の言う通り大分距離がある。

 まだ中間地点にもきていないから、三太自身も心の余裕を取り戻すには十分な時間があるはずだ。

 今日は空も快晴で風もちょうどいい。

 通りを練り歩く人たちもどこか浮き足立っているように見えた。

 

 そこで三太は気づいた。そういえば、今日は休日だったのだ。

 

 最近は色々なことがあって曜日感覚すら狂っていた。というか、流石に実家を追い出されたこと自体が思った以上に衝撃だったのだろう。

 

 とりあえず衣食住の確保を考えていたが食住は奇跡が起きて確保できたので、後は衣を確保するために働きで貢献するしかない。今回の件についても三太自身食いつきすぎた気はするが、もはや、そんなことを気にしている状況でもなくなった。

 とにかく、市村ヨネの話を聞いて早急に対応を練らなければならない。まずは一つずつだ、と三太は自分自身に言い聞かせ、


「あれ?」


 視線の先で黒い煙が一筋、青い空に向かって伸びているのが見えた。


 それは、明らかに文七の屋敷がある場所から発生していて。


 文七の駆け足に合わせ、三太達も慌てて付いていった。



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