三日目
結局、その日は作戦会議だけで終わった。
市村ヨネから得た情報は大まかに言って三つ。
一つ目は、彼女の生きる世界には『魔法』があること。呪術よりも汎用性が高く、日常生活や民間療法に幅広く用いられる技術とのこと。二つ目は彼女の家族構成について。父親が王であること。また、兄弟は妾腹を含めて3桁近くおり、彼女の母親が正妃でありかつ彼女が一人娘であったため王位継承権を保持していたこと。三つ目は騎士と呼ばれる存在について。
騎士は不死身の存在だという。文字通りの意味で。
それ以上のことは市村ヨネもわからないと言っていた。
不死身ときた。どうすればいいんだっての。
三太はそれ以上考えても仕方がないと思考を切り替え、そこで会議はお開きとなったのだ。
その後は夕飯を食べ、各々床に着いた。
翌朝には三太と文七、市村ヨネで商組合会館へ出向くこととなった。
目的は依頼の進捗報告。
また、今後起こりうる事態解決へ向けての応援要請。
三太は会頭であるあの男に会うのはあまり気が進まなかったが、この状況では仕方がないと割り切っている。
だから、商組合について、実際に顔を合わせた時もそつのない挨拶をしたし、奥に案内された時も嫌な顔を見せずに座ったのだ。
なのに、
「それでは、彼女の身柄は預からせていただきます。依頼もこれで終了ということ、報酬は今からお持ちしますのでお待ちください」
開口一番、そんなわけのわからないことを言われたのだった。
いやいやいや、ちょっと待った。
「おい、ちょっと待て。身柄を引き受けるってのはどういうこった? 俺が受けたのは立ち退きのはずだよな?」
「ん? どちらも似たようなものだろう。気が変わらないように手続きが終わるまでの間は拘束した方がいいと思うが?」
「そんなの、横暴じゃないですかっ!」
思わず、三太は叫んでしまった。
会頭である男──鏑木亮平は特に動じることなく答えた。
「元々法を破ったのは彼女の方です。むしろ穏便に事を済ませているつもりなんですがね」
「だからって…っ!」
「確かにあなたのいうことも一理あるかもしれませんが」
三太の言葉を遮るように、市村ヨネが言葉を紡いだ。普段の声音とは違う、見た目よりも遥かに成熟した女性の言葉遣いと雰囲気を醸し出している。
「その権限はあなた方にはないはずでしょう? それとも無理やり拘束するつもりなのかしら? そんなに私が欲しいのかしら、鏑木のお坊ちゃん?」
「はは、ご冗談を。我々はあくまで異界化の防止のために依頼したのでね、あなたを所望しているのは別の方々だ」
鏑木亮平どこか芝居がかった仕草で応接室の扉を見た。
と同時に、ノックもなしに扉が開いた。
入ってきたのは一人の女性だった。
「げ」
思わず三太は声に出していった。
そこにいたのが月夜野家の使用人だった橘天だったからだ。
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