母だから
午後にまた投稿します!
ぜひご一読願います!
「で、連れて帰って来たって? 何考えてんの、あんた?」
わけがわからない、と瀬菜の冷たい視線が三太を責めてくる。
三太自身もなぜこうなったのかまるで理解できなかったが、それでも膝枕をされるというのは悪い気分ではなかったので、ただ黙って後頭部の感触を堪能していた。
そんな三太の思考を読んだのかはわからないが、瀬菜は呆れた表情のまま三太を睨んでいる。
「気色悪い。あんた、そういうとこ全然変わらないわよね。普段のぺらっとしてるくせに欲望には忠実なとこ」
「まぁ、そうつんけんすんなや。俺が連れて来ていいって言ったんだ。色々聞かなきゃいけないことがあるからな」
刻々と冷たくなっていく瀬菜の視線に文七が助け舟を出してくれた。
三太としてはほっとしたものの油断してはいけない。文七は猫に戻っていつも通りになったが、それは表面上だけだ。これまでの短い期間での対応とはまるで違うものになっていることを三太は自覚している。
でなければ、猫の姿で三太に擦り寄っているはずがない。膝枕で仰向けになった三太の腹に乗っているのだ。前足を揃えてひっついている姿は愛らしいが、その目が違っていた。
その目には明らかに無邪気さとは違う強い何かが込められている。
「ちょっと! さっきからうるさいわよ! さんちゃんがお昼寝できないじゃないっ!」
ものすごい圧に晒されて逃げ出そうか思案していた三太にまた別の助け舟が来た。というか元凶からさらに爆弾が投下されたのだった。
ここは文七の屋敷である。
市村ヨネの邸宅での出来事の後。球体もどきは完全に反応もなくなり、撤収する運びとなったのだ。
目を覚ました市村ヨネの言動と行動が明らかに常軌を逸していたための措置だ。文七は後日改めて場を設けることを提案したが、市村ヨネが了承しなかった。
というか、三太に付いていくのが当たり前だと言い放ったのである。自分は母だからと。
三太はなんとか説得しようとしたがどうにも出来なかった。そもそも、三太からすれば自分の母親を名乗る他人をどう説得すればいいのかもわからなかったというのもあるが。
そんな次第で、市村ヨネは文七の屋敷へとやって来たのだった。
今は居室で三太を膝枕している。
「あんたこそ無駄に声がでかいのよ。大の男を赤ちゃん扱いして何が楽しいの、おばさん」
「いやいや。この女、これでも孫もいるらしいからな。お婆ちゃんでいいんだよ」
「ちがいまーすー。今はさんちゃんのお母さんですー」
何がどうなっているのか。
膝枕を堪能しながら三太は現実逃避を決め込むことにした。
それにしても、腹が減った。
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