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ブチギレ

明けましておめでとうございます。

今年も何卒よろしくお願いします。

投稿ペースは少しずつですが早めていくので今後ともお付き合いください。


「因果の改変、いや、事象の再編成か? そんな真似を人間が出来るわけがねえ。だが、この状況はどう考えても…。ったく、わけがわからねえ…!」


 三太の言葉を理解することを放棄したのか、文七は独り言を呟いたまま考え込んでしまった。三太が声をかけようとしたら凄まじい目で睨み返された。迫力が凄い。邪魔をするなということなんだろうが、いくらなんでも怖すぎる。三太は眼光に負けて、文七から目を逸らした。

 大丈夫、三太はこういう状況には慣れている。

 背筋に走った悪寒は過去一酷かったが、それでも異質じゃない。父親や使用人たちから浴びせられ続けた経験があれば堪え切れる。三太は自身にそう言い聞かせ、そもそもこの状況で一番大事な少女(こと)に意識を集中させた。

 

 ()()()()は未だに寝息を立てている。


『き…さ、ま…なにぃいをし、たぁあああああ…』


 不意に声が聞こえた。

 ただ不思議なことにどこか音が遠く、しかも所々が妙に甲高い。まるで山彦を聞いた時のようだと三太は思った。出稽古の時に一度だけやったことがあって覚えている。三太自身が驚くほど馬鹿でかい声を上げたせいで、父親にぼこぼこにされたのだった。

 どうでもいいことを思い出したな、と三太は意識を切り替えた。

  

「すごいな。まだしゃべれるんだ」

 

 テーブルの一角。

 ところ狭しに並んだ色とりどりのお菓子の中に、そいつはいた。三太はしゃべったことには驚いたが、そこにいたことに驚きはない。そもそもそうなるように斬ったのだから、驚きようもなかった。

 喋る球体。

 いや、球体というにはあまりに歪つに変形している。目と思しき部分が割れ、ところどころが欠けている。もはや死骸というか残骸でしかない物体には、しぶといことに未だに意志が宿っているようだった。


『おま、おま、えのせいで…し…だ』


「なに?」


 ふと三太は気づいた。

 先ほどとはどうにも雰囲気が違う。ボロボロになってすわ本性を出しやがったかとも思ったが、どうにもそうでもないようである。というか、聞きづらくてわからなかったが声が全く別物になっているような。


『おまえのせいで、俺の使用人は無駄死にだぞ…っ! どうしてくれる、この野蛮人がっ!』


 ばちり、と火花が散った。

 と、同時に罵声が響く。

 ここまでくれば流石に三太も気づいた。どうやら中の人が入れ替わったらしい。しかも、さっきまでしゃべってた人は死んだとのこと。

 三太は一瞬だけ言葉に詰まったが、


「いや、勝手に爆発したのはそっちじゃないか」


 思わずそう言い返してしまった。

 いや、実際、三太からすればそうとしか言いようがないのだ。いくら怒りをぶつけられてもお角違いでしかない。


『うるせえっ! 口答えしてんじゃんねえ、クソ土人っ! ああ、くそっ! なんで俺様がこんなクソどもと口をきかなきゃなんねえんだ、カス! あああああああ、いらいらするぜぇええええ!』

 

 三太はドン引きした。

 さすがにこの反応は初めてだ。

 ぎゃんぎゃん叫ぶ球体もどきを見ながら、三太は気が重くなった。

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