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どうしようもねえんだ


 どくんどくんどくん。

 

 ひとつ、ふたつ、みっつ。


 微かではあっても、確かに鼓動を感じる。

 それが何処からなのかまではわからない。けれど、ひとつ確かなことはこの鼓動を発している本人は生きているということだ。


 血塗れに倒れ伏した少女。


 その鼓動を、なぜか三太は自分のことのように感じている。


「さてと。そんじゃ戻るか」


「ちょ、ちょっと待ってください! 戻るって…?」


「? そりゃ、こんなとこにいつまでも居てもしょうがねえだろ」


「あ、いや、そりゃ、そうですけど! あの、戻ったら、その」


「どうした?」


「ど、どうなるんですかね? あの子、市村ヨネとか、あの球体とか」


「…まずは落ち着け。お前さんはどうにも周りくどい。もっと思ったことをそのまま話してみたらどうだい?」


 文七の言葉に三太は押し黙る。三太自身も自分の言動が明らかにおかしいのはわかっていたが、だからといってどう説明すればいいのかも良くわからないのだ。


 どくん、どくんと脈打つ鼓動。

 

 そう、まるで心臓の鼓動のようなものを感じるのだ。それもよく知らない他人のもの。

 けれど、懸命に生き続けていることだけはわかる。その事実に三太は自分のことでもないのに、なぜか酷くどうにかしなければならないと焦っている。本当に、どうしてなのか三太自身にもまるでわからないけれど。

 

 とにもかくにも伝えなければはじまらない。三太は懸命に言葉を選びながら、自身の語彙力のなさに絶望しながら文七へと訴えた。


「鼓動だぁ? お前、本気で言ってんのか?」


 三太の話を根気良く聞いてくれていた文七が初めて怒気を露わにした。いや、三太自身仕方がないことだとはわかっている。これだけ支離滅裂な話を聞かされた上に、その結論がこれじゃ時間の無駄と思われるのも当たり前だ。三太が逆の立場でもそう感じたかもしれない。

 三太は文七の険しい表情を初めてみた気がする。

 いや、まぁ、ほとんど猫の姿だったのだから当然ではあるんだけれど。


「はい。その、信じてもらえないかもしれないですけど、本当に死んじゃいそうで」


「別に疑ってるわけじゃねえ。そういう話じゃねえよ。…じゃねえんだが」


 文七はその豊満な胸を抑えつけるように腕を組んだ。腕から溢れるように張り詰める…だめだ。三太は思わず目を逸らした。というかやばい。いくらなんでも目に毒だ。

 思い悩むように唸る文七。

 三太はなんとか際どい部分が視界に入らないように、文七の顔を見つめる。

 数秒の間が空いて、


「お前の言いたいことはわかった。けど、助けたいって話は無理だ」

 

 文七はそう言った。


「そんな、どうして」


「いや、ぶっちゃけな」



「正直、そいつが何処にいるかわかんねえんだ。そもそも、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()




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